1Dメッシュ
概要
電流フローの優先経路を特定できる場合は、チューブ状ソリッド導体向けとされている1Dメッシュを選択します。
この方法は、主に分散電流のバスバー、プリント回路基板の銅箔パターン、パワーエレクトロニクスモジュール内部の接続などに適用します。
原理
1Dメッシュでは、下図のように、導体全体を小さい断面を持つ基本導体の集合に分割します。
基本導体はメッシュの1D要素であり、チューブの主方向を優先方向として、この要素の中を電流が流れます。
下図のように、電流密度が均一な電気回路部分を使用して基本導体をモデル化します。
前に説明した解析の式を使用すれば、各基本導体の部分抵抗(Ri)と部分インダクタンス(Li)を計算できます。
複数の基本導体が並列であれば、解析の公式を使用して、これら導体間の部分相互インダクタンス(Mij)を計算できます。これらの導体が互いに一定の角度を成して配置されている場合は、半解析的定式化を使用する必要があります。
等価電気回路
基本導体による部分電気回路を並列に関連付けることによって、チューブ状ソリッド導体の等価電気回路が得られます。
基本導体間の相互連成に表皮効果と近接効果が影響することから、等価電気回路の各種パラメータ値は周波数によって変化します。
さまざまなタイプのメッシュ
いくつかの方法で1D導体の断面をメッシュ化できます。選択できるメッシュ化方法は、断面プロファイルの形状および結果に求める精度によって異なります。
矩形断面プロファイルの導体で広く使用するメッシュは、均一メッシュと形状メッシュの2つです。
ただし、導体の断面がどのような形状でも、その導体のメッシュ化には、均一メッシュによる方法または“不適合”メッシュによる方法を使用できます。
さまざまなタイプのメッシュの主な特徴を次の表に示します。
タイプ | 内容 | 用途 |
---|---|---|
均一な要素を使用したメッシュ | すべての要素が同じ断面を持つメッシュ化 | 低周波数 |
形状要素を使用したメッシュ | 周縁に近い要素ほど断面が小さくなるメッシュ化(K > 1) | 高周波数 |
不適合メッシュ | 断面に適切に適合するように要素の幅と厚みを変えたメッシュ化 | さまざまな形状の断面 |
メッシュの基準
基準:
正確な結果を得るには、要素の厚みを表皮浸透深さ以下にする必要があります。
均一要素を使用したメッシュでは、周波数が高くなると大量の要素(および大量のメモリ)が必要になることが考えられます。
形状要素を使用すると、ソリッド導体の周縁近くできわめて薄い要素によるメッシュを形成できます。このタイプのメッシュでは、ソリッド導体内部で電流密度が大幅に変化する周縁近くでは要素の密度が高くなり、電流密度がほとんど一定の中央付近では要素の密度が低くなります。これにより、最良の結果が得られます。
不適合メッシュは、問題の規模を大きくすることなく、不規則に変化する形状の断面を持つ導体に良好に適合します。このメッシュ化手法は、周波数に合わせて要素を調整することにより、低周波数と高周波数の両方に対応できます。