OS-T:8020 航空機の発散解析

本チュートリアルでは、航空機の発散解析について説明します。

前処理は、OptiStructユーザープロファイルで、Altair HyperWorksを使用して行います。既存の構造データおよび空力弾性データを含むモデルがベースモデルとして使用されます。本チュートリアルでは、発散解析に固有のエンティティの作成について説明します。

空力弾性における発散は、航空機の揚力面のたわみが追加の揚力につながり、その結果、同じ方向にさらにたわみが生じる場合に発生します。発散解析では、直接複素固有値解析から固有値の2乗である発散動圧を求めます。固有値の最小値は臨界発散動圧と相関しています。発散動圧を使用して、臨界速度が算出されます。これが求められると、この臨界速度に近づかない、およびこの速度を超えないことを目指すことができます。

本チュートリアルには以下の演習が含まれています。
  • DIVERGエントリの作成
  • 複素固有値関連エントリの定義
  • ジョブのサブミット
  • 結果の確認

HyperWorksの起動とモデルの読み込み

チュートリアルのモデルファイルの入手方法については、モデルファイルへのアクセスを参照してください。このチュートリアルに必要なモデルファイルはaeroelasticity_diverg.femです。

  1. モデルファイルを作業ディレクトリにコピーします。
  2. HyperWorksを起動します。
  3. メニューバーFile > Import > Solver Deckをクリックします。
  4. モデルファイルを選択してOpenをクリックします。
  5. Solver Import Optionsダイアログで、ReaderでOptiStructを選択します。
    OptiStructユーザープロファイルが読み込まれます。HyperWorksの機能は、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダなどを正しく設定することで、OptiStructモデルを作成することができます。


    図 1. HyperWorksOptiStructユーザープロファイル
  6. Importをクリックします。
    ベースとモデルをHyperWorks Desktopに読み込みます。


    図 2. 航空機のベースモデル

Aeroelasticityブラウザを開く

Aeroelasticityブラウザ は、このチュートリアルの今後のタスクで利用します。

  1. メニューバーView > Ribbons > 空力弾性をクリックします。
    メニューバー空力弾性リボンが表示されます。
  2. 空力弾性リボン上で任意のツールグループにカーソルを合わせ、表示されるサテライトアイコンをクリックします。
    Aeroelasticityブラウザが開きます。


    図 3. Aeroelasticityブラウザへのアクセス

モデルのセットアップ

DIVERGエントリの作成

  1. Aeroelasticityブラウザで、AeroModuleを展開します。
  2. Aero Loads右クリックし、Create > DIVERGを選択します。
    Aero Loads フォルダーにDIVERG用のコレクターが作成されます。
  3. コレクターに任意の名前を入力します。
    このチュートリアルでは、このコレクターをDIVERGと呼びます。
  4. Number of dynamic pressures (NROOT)に、 20と入力します。
  5. Num Factorsに、1と入力します。
  6. Mach number (Mi)に、0.4と入力します。


    図 4. DIVERGエントリーの定義

EIGCエントリの作成

発散解析では、複素固有値解析から固有値である発散動圧を求めます。したがって、EIGC Bulk Data Entryの定義が必要になります。

  1. Aeroelasticityブラウザで、StructureModuleを展開します。
  2. Eigenvalues右クリックし、Create > EIGCを選択します。
    EIGCのコレクターは、Eigenvaluesの下に作成されます。
  3. コレクターに任意の名前を入力します。
    このチュートリアルでは、このコレクターをEIGCと呼びます。
  4. ND0_OPTIONSにドロップダウンメニューからUser Definedを選択します。
  5. ND0(必要な根の数)に、20と入力します。


    図 5. EIGCエントリの定義

拘束の作成

  1. Solverブラウザで、General-Collectorsを展開します。
  2. LoadCollectorを右クリックし、Createを選択します。
  3. 新規荷重コレクターの名前をSPCに設定します。
  4. Analyze リボンを選択します。
  5. Structuralツールグループで BCs > Constraintsを選択します。
    図 6. 拘束ツールへのアクセス
  6. パネルで、選択方法が nodesに設定されていることを確認します。
  7. 機体の底部にあるグリッドを選択します。
    グリッド番号は10593です。
  8. すべての自由度を拘束します。


    図 7. 機体底部のSPC作成
  9. Createを選択します。
  10. SPC が作成されたら、Returnを選択します。

発散解析サブケースの作成

このステップでは、発散解析のサブケースで先に作成したBulk Data Entryを参照させます。

  1. Aeroelasticityブラウザで、SolutionJobSetupを展開します。
  2. Case Controls右クリックし、Create > Subcasesを選択します。
    Case Controlsフォルダーにサブケース用のコレクターが作成されます。
  3. コレクターに任意の名前を入力します。
    このチュートリアルでは、このコレクターをDIVERGと呼びます。
  4. Analysis typeに、ドロップダウンメニューからAeroelastic Divergenceを選択します。
  5. 以前に作成したBulk Data Entriesを参照します(図 8参照)。


    図 8. 静的空力弾性発散解析のためのサブケース定義

入力ファイルのエクスポート

このステップでは、入力ファイルを作業ディレクトリにエクスポートします。このファイルは、後にソルバーOptiStructを使用した解析に使用されます。

  1. メニューバーFile > Export > Solver Deckをクリックします。
  2. ファイル名を入力します。
  3. Saveをクリックします。
    Solver Export Optionsダイアログが開きます。
  4. ここでは、ダイアログのデフォルトのオプション設定をそのまま使用します。
  5. Exportをクリックします。
    これで、このファイルは、作業ディレクトリにエクスポートされます。

ジョブのサブミット

  1. Windowsのスタートメニューで Start > Altair 2022 > Compute Console.
  2. Input fileのを選択し、作業ディレクトリをブラウズして目的の入力ファイルを探します。
  3. Openをクリックします。
  4. Optionsのをクリックします。
    1. Select Solver Optionsダイアログで、-ntチェックボックスをクリックします。
    2. 引数に8を入力します。
    3. OK.をクリックします。
    4. -outのチェックボックスを有効にします。
  5. Apply Selectedをクリックします。
  6. Closeをクリックします。
  7. Runをクリックします。


    図 9. Altair Compute Console

    ジョブが成功した場合、作業ディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーが発生した場合は、aeroelasticity_diverg.out ファイルでエラーメッセージを確認し、入力デックのデバッグに役立ててください。

結果の表示

モード形状の表示

  1. 解析完了のメッセージが表示されたら、Resultsをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。
  2. HyperViewContour panelボタンをクリックします。
  3. Result typeに、ドロップダウンメニューからEigen Mode (v) (c)を選択します。
  4. 適用(Apply)をクリックします。


    図 10. モード3の結果

発散動圧の確認

発散動圧は、aeroelasticity_diverg.outファイルで確認できます。

定義上、発散は、直接複素固有値解析の根が虚数成分のみを持つ場合に発生します。

  1. 発散が生じるモードについては、.outファイルを確認してください。
    図 11では、これらのモードが強調表示されています。


    図 11. 虚数成分のみの根
  2. 発散が発生し始める臨界モードを特定します。
    発散動圧は、固有値の2乗です。発散のサマリーの最初のモードは、臨界モードとなります。


    図 12.
  3. これらの値に基づいて、臨界速度が算出されます。