/RETRACTOR/SPRING

ブロックフォーマットのキーワード材料/MAT/LAW114とプロパティ/PROP/TYPE23を使用して定義されたシートベルト用の1Dリトラクターを定義します。

フォーマット

(1)	(2)	(3)	(4)	(5)	(6)	(8)
/RETRACTOR/SPRING/`retractor_ID`/`unit_ID`
`retractor_title`
`El_ID`	`node_ID`	`Elem_size`
`sens_ID`₁	`Pull_Lock`		`fct_ID`₁	`fct_ID`₂	`Yscale`₁	`Xscale`₁
`sens_ID`₂	`Typ_pre`	`Fmax`		`fct_ID`₃	`Yscale`₂	`Xscale`₂

定義

フィールド	内容	SI単位の例
`retractor_ID`	リトラクターの識別子。（整数）
`unit_ID`	（オプション）単位の識別子。（整数）
`retractor_title`	リトラクターのタイトル。（文字、最大100文字）
`El_ID`	初期状態でリトラクターに結合されている要素のID。（整数、最大10桁）
`node_ID`	固定節点ID。 1 （整数）
`Elem_size`	解放される要素のターゲット要素サイズ。 4 （実数）	$[m]$
`sens_ID`₁	リトラクターロック用センサーの識別子。 3 （整数）
`Pull_Lock`	ロック前に許可されているシートベルト解放量。 6 （実数）	$[m]$
`fct_ID`₁	リトラクターがロックされている時の引き出し長さと載荷力スケールファクターの関係を定義する関数の識別子。 5 （整数）
`fct_ID`₂	リトラクターがロックされている時の引き出し長さと除荷力スケールファクターの関係を定義する関数の識別子。 5 （整数）
`Yscale`₁	リトラクター力。 `fct_ID`₁= 0の場合：一定の力（デフォルト = 0） `fct_ID`₁ ≠ 0の場合： `fct_ID`₁と`fct_ID`₂の縦軸スケールファクター（デフォルト = 1）。（実数）	$[N]$
`Xscale`₁	関数`fct_ID`₁と`fct_ID`₂の横軸スケールファクター。デフォルト = 1（実数）	$[m]$
`sens_ID`₂	プリテンションのアクティブ化に使用されるセンサー識別子。 7 （整数）
`Typ_pre`	プリテンショナーのタイプ。 8 = 0 プリテンションなし。 = 1 プリテンションは、引き込み長さと時間の関数で定義されます。 = 2 プリテンションは、力と時間の関数またはリトラクター力のうち大きい方です。 = 3 プリテンションは、力と時間の関数またはリトラクター力のうち大きい方、および`Pull_Lock`解放です。 = 4 プリテンションは、力と時間の関数とリトラクター力の合計です。 = 5 プリテンションは、エネルギーと時間の関数で定義されます。デフォルト = （整数）
`Fmax`	プリテンショナーロックのための最大リトラクター力（`Typ_pre` = 1と5の場合のみ）。（実数）	$[N]$
`fct_ID`₃	プリテンションを時間の関数、力vs時間の関数、長さvs時間の関数、またはエネルギーvs時間の関数として定義する関数の識別子。 8 （整数）
`Yscale`₂	関数`fct_ID`₃の縦軸スケールファクター。（実数）	$[N]$ 、 $[m]$ または $[J]$
`Xscale`₂	関数`fct_ID`₃の横軸スケールファクター。（実数）	$[s]$

リトラクターは、最初にリトラクターに結合される1つのスプリングシートベルト要素と、リトラクターの位置の定義に使用される節点node_IDによって定義されます。要素El_IDは、最初に節点node_IDと同じ位置にある節点を有している必要があります。node_IDは、シートベルト要素の節点であってはいけません。
シートベルトスプリング要素は、実行時に解放されるように、リトラクター内に初期配置できます。これらの要素は自動的に検出され、リトラクターから解放されるまで非アクティブ化されます。シートベルトのこの部分は、要素El_IDに結合されている必要があり、これらの要素の節点は節点node_IDと同じ位置にある必要があります。
初期リトラクター力は、Yscale₁によって定義する（fct_ID₁=0の場合）か、fct_ID₁(x=0) * Yscale₁の1つ目のポイントによって定義することができます。
リトラクターがロック解除されているときは、リトラクターにかかる力が一定になるように、リトラクター内の要素の基準長さが調整されます。
リトラクター内の要素サイズがElem_sizeに達すると、新しい要素が解放されます。解放する要素がない場合、リトラクター内の最後の要素は増大し続けることができます。

図 1.
センサーsens_ID₁のアクティブ化後に、解放されたシートベルトの量がPull_Lockの値に達すると、リトラクターはロックされます。
リトラクターがロックされているとき、リトラクターにかけられる力はfct_ID₁とfct_ID₂によって定義されます。力と引き出し長さの関係は次のとおりです：
- 載荷の場合：(1)
  $F_{r e t r a c t o r} = Y s c a l e_{1} . f c t_I D_{1} . (\frac{L o c k e d_p u l l o u t}{X s c a l e_{1}})$
- 除荷の場合：(2)
  $F_{r e t r a c t o r} = Y s c a l e_{1} . f c t_I D_{2} . (\frac{L o c k e d_p u l l o u t}{X s c a l e_{1}})$
センサーsens_ID₂がアクティブ化されている場合、リトラクターはプリテンショナーとしても機能できます。リトラクターは、シートベルトをリトラクター内に引き込むための力をかけます：
- Typ_pre = 1の場合：
  関数fct_ID₃は、引き込まれるシートベルトの長さを時間の関数として定義します。シートベルトにかかる力が大きくなりすぎないように、リトラクター内の力がFmaxに達すると、プリテンションが非アクティブになります。(3)
  $F_{t o t a l} = Y s c a l e_{2} . f c t_I D_{3} . (\frac{t}{X s c a l e_{2}})$
- Typ_pre = 2の場合：
  関数fct_ID₃は、引き込み力を時間の関数として定義します。要素内の全体の力は、リトラクター力とfct_ID₃で定義されたプリテンション力のうち大きい方です。(4)
  $F_{t o t a l} = \max . [F_{r e t r a c t o r}, Y s c a l e_{3} . f c t_I D_{3} (\frac{t}{X s c a l e_{2}})]$
- Typ_pre = 3の場合：
  要素内の全体の力は、Typ_pre = 2の場合と同じですが、リトラクターがロックされる前に、シートベルトはPull_Lockの値で解放されます。
- Typ_pre = 4の場合：
  関数fct_ID₃は、引き込み力を時間の関数として定義します。要素内の全体の力は、リトラクター力とfct_ID₃によって定義されたプリテンション力の合計です。(5)
  $F_{t o t a l} = F_{r e t r a c t o r} + Y s c a l e_{2} . f c t_I D_{3} (\frac{t}{X s c a l e_{2}})$
- Typ_pre = 5の場合：
  関数fct_ID₃は、引き込みエネルギーを時間の関数として定義します。Fmaxは、要素内の作用が過大にならず、Fmaxの値に達したときに、プリテンションが非アクティブとなるように定義できます。引き込みエネルギーは次のように定義されます：(6)
  $Y s c a l e_{2} . (f c t_I D_{3} . (\frac{t}{X s c a l e_{1}})) = \int_{t_p r e n t e n s}^{t} (F_{t o t a l} (t) . Δ_{p u l l i n} (t) d t)$
- プリテンションが非アクティブになると、リトラクターもロックされます。fct_ID₁とfct_ID₂の横軸は、プリテンションが非アクティブとなる力の値で開始されるようにシフトされます。
  
  図 2.
スプリングシートベルト要素がリトラクター内にあるときは、粘性は非アクティブ化されます。
スプリング要素がリトラクターに結合される場合、その参照長さ $L_{0}$ は変更されます。引き込み時に、剛性が無限になり、時間ステップが小さくなりすぎることを防止するため、シートベルト材料内で定義された $L_{\min}$ から計算された最大値が剛性に使用されます。(7)
$K = \frac{k}{\max (L_{\min}, L_{0})}$

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