ダミーのポジショニング

Dummyブラウザを使用してダミーモデルを配置します。

Dummyブラウザ

Dummyブラウザの概要。

安全解析リボンから ダミーツールをクリックします。


図 1.
制約事項: LS-DYNAおよびRadiossソルバーでのみ使用できます。

このブラウザは、LS-DYNARadiossのすべてのHumaneticsダミー(暗号化されている場合とされていない場合があります)およびLSTCダミーに対応しています。

RestoreツールバーのUndoコマンドまたはRedoコマンドを使用して、ブラウザで実行した操作をそれぞれ取り消しまたはやり直しできます。

Dummyブラウザには2つのペインがあります:1番目のペインには、ダミーモデルを定義するさまざまなボディで構成されたダミー構造が表示されます。2番目のペインには、ダミーの各関節の配置パラメータを定義できるエンティティエディターが表示されます。


図 2.
Dummyブラウザには次の各データが表示されます。
詳細
エンティティ ダミーとダミーボディのリスト。
ID ダミーIDとボディIDが表示されます。
Color ボディエンティティの色が表示されます。

ボディの色は、Modelブラウザで定義したコンポーネントの色とは異なります。ボディの色は、ボディが確認モードである場合、または表示モードを"By Body"に設定している場合にアクティブになります。

エンティティエディター

エンティティエディターを使用して、Dummyブラウザエンティティ内部で定義されている属性の割り当て、修正、確認を行います。

エンティティエディターでは、Hポイントの座標の定義やダミーに対するグローバル回転の適用などによって、ダミーを空間に配置できます。Hポイントの目標位置は、座標値を欄に直接入力して指定できるほか、青色の矢印をクリックし、グラフィックス領域で節点を選択することによって選択することもできます。


図 3.
ダミーに対するグローバル回転も定義できます。回転量は、上矢印ボタンと下矢印ボタンを使用して変更できます。また、Incrementの値を変更して操作の増分値をコントロールできます。


図 4.

エンティティエディターを使用して、ボディの位置を変更することもできます。各回転軸を中心とした回転角度を直接指定して、選択したボディの可動範囲を定義できます。

上矢印ボタンと下矢印ボタンを使用して回転量を変更することもできます。また、Incrementの値を変更して操作の増分値をコントロールできます。


図 5.

コンテキストメニュー

オプション 対象エンティティ 説明
Define Position Dummy 新しい位置を作成するか、既存の位置を上書きすることにより、ダミーの表示位置を保存します。
Retrieve Position Dummy 保存した位置のリストから位置を選択することにより、ダミーを初期位置または他の位置に配置します。
Move Limbs Dummy エンティティエディターを開き、ターゲット位置に自動的に移動する機能を使用して、ダミーの位置を定義します。
Dummy Testdata Positioning Dummy テストラボの座標計測データをもとに、FEダミーモデルを自動的に配置します。
Positioning File Dummy ダミーの位置の値を収めた配置ファイル(*.daf)をインポートまたはエクスポートします。
Pre-Simulation Dummy ダミーの変形をシミュレートするために、適切なソルバーに入力デックをエクスポートします。
Show ダミーとボディ グラフィックス領域にエンティティを表示します。アイテムのアイコンが強調表示に変化し、表示状態がオンであることが示されます。
Hide ダミーとボディ グラフィックス領域内のエンティティの表示をオフにします。この選択によって、各エンティティのローカルな表示状態が変化します。エンティティのアイコンが淡色表示になり、エンティティが非表示であることが示されます。
Isolate ダミーとボディ 選択したエンティティのみが表示され、同じタイプのその他のエンティティの表示がすべてオフになります。
Review Dummy ダミーの関節とボディを簡易表示モードで表示します。
Reset Review Dummy それまでに選択したエンティティのレビューをリセットします。

サポートされるエンティティ

ダミー()は、Dummyブラウザ階層のルートになります。ダミーは、複数のダミーアセンブリから表現されるボディ()によって定義されます。

ダミーのポジショニング

ボディの手動配置

  1. Dummyブラウザでボディを選択します。
  2. グラフィックス領域で、マニピュレータをクリックしてドラッグすることで、選択したボディの位置をインタラクティブに変更することができます。


    図 6.

ボディの自動配置

  1. Dummyブラウザ内で、ボディ右クリックし、コンテキストメニューからMove Limbsを選択します。
    エンティティエディターが開きます。


    図 7.
  2. Multiple pairs欄で、No(1つの節点にオプションを適用)またはYes(節点とターゲットの組み合わせにオプションを適用)を選択します。
  3. Multiple pairsをYesに設定した場合は、Select pairsをクリックしてSelect multi nodesダイアログを開き、節点および目標ポイントのペアを選択します。
  4. ボディの節点を定義します。
  5. 目標位置を定義します。
  6. Select BodiesをクリックしてDummy Bodies DOFダイアログを開き、目的のボディを選択します。また、自動配置中に移動可能になるアクティブなボディの自由度を選択します。
    ボディのチェックボックスをオンにするか、グラフィックス領域で選択することにより、ボディを選択します(右クリックと左クリックでボディのアクティブと非アクティブが切り替わります)。ロックアイコンをクリックするか、グラフィックス領域でDOFの矢印を選択することにより、自由度のロックとロック解除を切り替えます(右クリックと左クリックでDOFのアクティブと非アクティブが切り替わります)。


    図 8.
  7. Moveをクリックして、自動配置プロセスを開始します。
  8. Saveをクリックして、得られた位置を保存します。
    New position name欄に、名前が追加されます。

周辺のコンポーネントとの接触の検出

自動接触検出を使用すると、ダミーの手足と周辺の構造材コンポーネントの接触を、その配置のプロセスで自動的に検出できます。接触が検出されると、手足の動きが自動的に停止します。

  1. Dummyブラウザでダミーのボディを選択します。
  2. エンティティエディターで、Multiple contactsをYesかNoに設定することにより、定義する接触を1つにするか複数にするかを指定します。
  3. 接触ごとに、Contact set part欄でコンポーネントの組み合わせを作成して割り当てます。
  4. Gap factor欄に、適切なスケール係数を入力します。
  5. Closeをクリックします。
    選択したダミーのボディのContactチェックボックスがオンになり、接触チェックがアクティブになっていることが示されます。


    図 9.

テストラボデータでのダミーポジショニング

テストラボの座標計測データをもとに、FEダミーモデルを自動的に配置します。

  1. Dummyブラウザで、ダミーのルート名を右クリックし、コンテキストメニューから Dummy Testdata Positioning選択します。
  2. H-Point locationで、ダミーのH-Point座標を定義します。
  3. Global loacionのRx で、グローバルのX軸周りのダミー回転値定義します。
  4. Global loacionのRy で、グローバルのY軸周りのダミー回転値定義します。
  5. Global loacionのRz で、グローバルのZ軸周りのダミー回転値定義します。
  6. 作成方法を選択します。
    • outputblockからの検出:選択された節点履歴出力キーワード (LS-DYNAでは *DATABASE_HISTORY_NODE 、Radiossでは/TH/NODE)をスキャンし、Nameパターンが有効になっていればそれを含む名前を検索します。検出された各節点に対して、ターゲットポイントが作成されます。
    • 節点選択から(手動方式): ダミー上の選択されたすべての節点にターゲットポイントを作成します。各ターゲットポイントは、Pointという接頭辞で始まる名前で作成されます。
  7. ダミーターゲットファイルをインポートします。ダミー上に定義されたターゲットポイントのテスト測定座標を含む.csvファイルを選択します。
  8. インポート時にcsvファイルのスキップする行を指定します。
    これは、.csvファイルの冒頭部で、読み込み処理から無視する必要のある行数です。
  9. ダミー上のターゲットポイントを選択します。
    自動位置決めの際、ツールはこれらを制御します。
  10. 位置決め時のターゲットポイントの制御に適用するターゲット優先度を選択します。
  11. Export dummy target fileを選択すると、選択したターゲットポイントの最終的な位置設定を含む.csvファイルがエクスポートされます。
  12. Createをクリックすると、Creation methodに基づいてターゲットポイントが作成されます。
  13. Importをクリックすると、測定データを含む .csvファイルの読み込みが可能になります。
  14. Select Bodies をクリックして、ダミーの自動位置決めの際に考慮するダミーボディやDOFを選択します。
  15. Moveをクリックして、自動配置プロセスを開始します。
  16. Exportをクリックすると、最終的な位置情報を含む.csvファイルがエクスポートされます。
  17. Closeをクリックします。

事前シミュレーションのセットアップ

入力デックをエクスポートして、ダミーの変形をシミュレートします。

はじめにダミーのポジショニングをお読みください。


図 10.

この事前シミュレーションで使用する方法は“ケーブル”法と呼ばれています。この方法では、ダミーをその初期位置から最終位置まで引っ張るために、ダミーのボディに接合した1D要素を使用します。

事前シミュレーションに必要なダミーの各ボディとすべての境界条件について、すべての“ケーブル”が自動的に作成されます。

シミュレーションの結果ファイルをインポートして、初期FEモデルを更新し、ダミーのコンポーネントどうしの交差と貫通を除去できます。

ダミーの事前シミュレーションを行うには、2つの方法があります。
  • Only Dummy: ダミー変形のみのシミュレーションを行うためのソルバーファイルをエクスポートします。
  • Dummy with Seat: ソルバーファイルをエクスポートすることで、ダミーとシート変形のシミュレーションをワンステップで行うことができます。

ダミーのみ

  1. Dummyブラウザで、ダミーを右クリックし、コンテキストメニューからPre-Simulation > Only Dummyを選択します。
  2. PreSimulation Toolダイアログで、必要に応じて設定を指定します。
    1. PreSimulation type欄で単位系を選択します。

      この単位系によって、デフォルトのシミュレーションパラメータが自動的に正しい単位に設定されます。この設定の後でも、これらの値を手動で変更できます。

    2. Reference Position欄のPositionで、事前シミュレーションにおけるダミーの開始位置を選択します。
      デフォルトでは、ダミーの初期位置(Initial Position)が選択されます。
    3. エクスポート方法を選択します。
      Single File: ダミーと荷重ケースを1つのファイルに出力して、事前シミュレーション用のソルバーデックを作成します。
      Pre-defined Include Files: 元のダミーインクルードファイルをその参照位置で選択します。選択されたダミーインクルードと荷重ケースインクルードを組み合わせて、シミュレーション荷重ケース用インクルードファイルとマスターファイルが作成されます。
    4. Export File欄に、事前シミュレーション用デックのファイル名とディレクトリを入力します。
      デフォルトでは、"result"という名前のデックが~…/Local/Tempディレクトリにエクスポートされます。
  3. 必要に応じてPreSimulationツールのオプションを指定します。
  4. Exportをクリックします。
指定した場所に事前シミュレーションデックがエクスポートされます。

シートとダミー

  1. Dummyブラウザで、ダミーを右クリックし、コンテキストメニューからPre-Simulation > Dummy with Seatを選択します。
  2. PreSimulation Toolダイアログで、必要に応じて設定を指定します。
    1. PreSimulation type欄で単位系を選択します。
      この単位系によって、デフォルトのシミュレーションパラメータが自動的に正しい単位に設定されます。この設定の後でも、これらの値を手動で変更できます。
    2. Reference Position欄のPositionで、事前シミュレーションにおけるダミーの開始位置を選択します。
      デフォルトでは、ダミーの初期位置(Initial Position)が選択されます。
    3. Simulation方法を選択します。
      Displacement Based: 必要なcableと荷重ケースを、cableの変位を制御しながら作成します。この方法では、シミュレーションの最後に、cableの最終変位に確実に到達します。
      Force Based: cableに予荷重を与えた状態で、必要なcableと荷重ケースを作成します。この方法では、シミュレーションの最後に、cableの最終変位に到達することを保証できません。
    4. ダミーとの交差を確認するために必要なシートコンポーネントを選択し、シミュレーション用の交差を作成します。
    5. シート上の固定節点を選択します。
    6. シート上で引っ張られるダミーの方向を選択します。
    7. エクスポート方法を選択します。
      Single File: ダミーと荷重ケースを1つのファイルに出力して、事前シミュレーション用のソルバーデックを作成します。
      Pre-defined Include Files: 元のダミーインクルードファイルをその参照位置で選択します。選択されたダミーインクルードと荷重ケースインクルードを組み合わせて、シミュレーション荷重ケース用インクルードファイルとマスターファイルが作成されます。
    8. ”Pre-defined Include Files"を選択した場合、選択します:
      元のダミーインクルードファイルをその参照位置。
      元のシートインクルードファイル。
    9. Export File欄に、事前シミュレーション用デックのファイル名とディレクトリを入力します。
      デフォルトでは、"result"という名前のデックが~…/Local/Tempディレクトリにエクスポートされます。
  3. 必要に応じてPreSimulationツールのオプションを指定します。
  4. Exportをクリックします。
    シミュレーション結果ファイルをインポートして最初のモデルを更新します。この更新によって、ダミーの節点座標が更新され、要素の初期応力状態が決まります。
    • LS-DYNAの場合は、Import dynain Fileをクリックして、.dynainファイルを検索します。
    • Radiossの場合は、Import h3d Fileをクリックして.h3d ファイルを検索します。

PreSimulationツールのオプション

PreSimulationツールでサポートされている各種オプションの概要を紹介します。

LS-DYNA

シミュレーションのパラメータ
Simulation Time
事前シミュレーション向けに、*CONTROL_TERMINATIONで合計シミュレーション時間を定義します。
デフォルト値 = 250ms
First Step Simulation Time: ダミー変形シミュレーションステップの継続時間を定義します(Dummy with Seatオプションのみで有効)。デフォルト値 = 150ms
Second Step Simulation Time: シート変形シミュレーションステップの時間を定義します(Dummy with Seatオプションのみで有効)。デフォルト値 = 100ms
Time Step
事前シミュレーション向けに、*CONTROL_TIMESTEPでコントロール時間ステップ値を定義します。
デフォルト値 = 0.001ms
Force in cables (Force Basedオプションでのみ有効)
ケーブル要素に適用するプリテンション力を*MAT_CABLE_DISCRETE_BEAMで定義します。
デフォルト値 = 1.0kN
Force ramp up time ((Force Basedオプションでのみ有効)
プリテンション力の増加時間を*MAT_CABLE_DISCRETE_BEAMで定義します。
デフォルト値 = 10.0ms
Damping on cables ((Force Basedオプションでのみ有効)
離散要素に対する減衰値を*MAT_DAMPER_VISCOUDで定義します。
デフォルト値 = 0.5
Cable Stiffness (Displacement Based オプションでのみ有効)
変位に基づくシミュレーション手法のために、ケーブルの剛性を定義します。
デフォルト値 = 0.1kN/mm
Global damping value
全体系の減衰定数を*DAMPING_GLOBALで定義します。
デフォルト値 = 0.05
初期応力結果
Import *INITIAL_STRESS_SOLID
.dynainファイルからソリッド要素の初期応力をインポートします。
Import *INITIAL_STRESS_SHELL
.dynainファイルからシェル要素の初期応力をインポートします。
Import *INITIAL_STRESS_BEAM
.dynainファイルからビーム要素の初期応力をインポートします。

Radioss

シミュレーションのパラメータ
Generate XREF for initial stresses
材料タイプと要素定式化の点でこのRADIOSS機能と互換性がある/XREFカードをダミーのコンポーネント向けに作成します。このXREFカードは、事前シミュレーションデックをエクスポートする際の元のセッションで生成されます。.h3dファイルのインポートでは生成されません。
Simulation time
事前シミュレーション向けに、/RUNカードで合計シミュレーション時間を定義します。
デフォルト値 = 250ms
Time Step
事前シミュレーション向けに、/DT/NODA/CSTカードでコントロール時間ステップ値を定義します。
デフォルト値 = 0.001ms
Global damping value
全体系の減衰定数を/DAMPカードで定義します。
デフォルト値 = 0.05
Create rigids for end bodies
事前シミュレーションの際にダミーの末端ボディ(足、手、頭部)を自動的に剛体化します。

ポジショニングファイルの読み込み

Dummyブラウザで、ダミーのルート名を右クリックし、コンテキストメニューからPositioning File > Importを選択します。
ポジショニングファイル(*.daf)を読み込むと、読み込んだ位置データに応じてダミーが自動的に配置されます。