回折均一理論(UTD)

回折均一理論UTD)は、電気的にきわめて大きい構造をモデリングできるように定式化されています。UTDは、POに類似の漸近的な高周波数値解法です。

多くの場合、ユーザーはMoMを使用して解析を試みますが、目的の構造が電気的に大きすぎて、手元のリソース(プラットフォームのメモリと時間)では解析できないことがわかると、代わりにMLFMMを使用します。それでもリソースが不足する場合は、POUTD、またはレイランチング法に基づく幾何光学法RL-GO)を使用できます。

ソルバー には、以下の2つのUTD-ベースのソルバーが含まれています。
ポリゴンと円筒による回折均一理論(UTD)
Fekoは、電流に基づく高精度なMoMUTDを複合化します。精度を確保するために、相互作用の行列を変更することにより、解析ではMoMUTDの間の双方向結合が維持されます。サーフェス上での反射点およびエッジ上またはコーナー上での回折点のみを考慮して、構造をメッシングしないのであれば、UTDを使用して構造を解析するために必要なメモリリソースは周波数によって左右されません。


Figure 1. UTDによる、最新の海軍艦艇の上部構造にあるクロスカップリングのモデリング。
複数の反射、エッジとコーナーでの回折、二重回折、およびクリーピング波が考慮されます。後処理の際に、光線の伝搬に関する情報がPOSTFEKOから得られます。現在のところ、UTDの数値定式化は、面の曲率を考慮しない最小の辺の長さが波長とほぼ同じ平坦な多角形プレートのみに適用できます。単一の標準円筒をモデルで使用できます。クリーピング波は円筒上でしか考慮されません。UTDは、レーダー周波数での船舶の解析には適していますが、自動車など、曲面を持つ複雑なオブジェクトの解析に対する適性は高くありません。


Figure 2. 船舶に搭載したX帯域レーダーの送信パターンの解析。
ファセット回折均一理論(ファセットUTD

ファセットUTDソルバーを使用して、高周波でのアンテナの配置用途で界および放射のパターンを計算することができます。印加給電源および平面三角形PECサーフェスメッシュがサポートされています。必要なリソースは、周波数には依存しませんが、正確に形状およびフィールドの観測ポイント数を表現するために必要なメッシュ要素の数に応じて異なります。曲面上での複数の反射、回折、およびクリーピング波の影響が考慮されます。

ファセットUTDでは、MoMとのハイブリッド化はサポートされていません。この手法は、平面または曲面を持つ電気的に大きいプラットフォーム(航空機など)でのアンテナの配置に適しています。