ストリーマー基準: まえがき
全般
Fluxでは、前述のように絶縁破壊スタディはストリーマー開始基準に基づいています。この基準からアーク経路と破壊電圧に関する正確な情報を得ることはできません。この基準の目的は、ストリーマー開始領域と“Streamer inception voltage”を特定することにあります。
考慮する誘電媒質
“Streamer criterion”ツールを使用すると、気体媒質中のストリーマーを解析できます。実際、気体の絶縁破壊電圧は液体や固体の場合よりも低い値です。
Fluxでのアクセス
このツールは、Fluxの静電アプリケーション(2D平面、2D軸対称、および3D)のポスト処理コンテキストで利用できます。
“Computation”メニューからこのツールにアクセスできます。
一般原則
各気体には、電界と圧力に基づいてストリーマー数学モデルで定義する係数αeffがあります。このモデルは、実験曲線とのフィッティングによって決定します。その結果、モデルに最適な設定(電界、形状、圧力、温度などの)はあるものの、あらゆる設定に適しているわけではありません。
Fluxで使用する空気式は次のとおりです。
ここで:
Er: 換算電界、E: kV/mm単位の電界、P: bar単位の圧力
Kは経路(Streamer path)上でαeffを積分して計算します。その値をしきい値と比較します。この値がしきい値より大きい場合は、ストリーマーが始まる可能性が高くなります。
電界と電位との法則が線形であることから、Kがしきい値に等しくなるまで電界に二分法を適用します。これにより、対象とする経路上でのストリーマー開始電圧を特定できます。
ストリーマー経路
モデル化でストリーマー経路を予測することはできません。
モデリングで使用する経路は次のとおりです:
- 実験によって事前に特定した経路
- 物理量発現法則によって近似した経路Fluxでは電気力線が考慮されます。