スタディドメインの制限、一般的な概念

電磁気現象

電磁気現象のスタディでは、デバイスとその周囲の空気の両方をモデル化する必要があります。実際、電磁気学で解析対象となる量(電界、磁界)は空気中や真空中でもゼロと見なすことはできません。機械工学をはじめとして空気が考慮されない他の物理学分野とは、この点が異なります。

有限要素法

有限要素法は、サイズが有限な有限個数のサブドメインにスタディドメイン全体を分割することを基本としています。

微分方程式や偏導関数を使用し、これらの方程式や関数がドメインのすべてのポイントで成立するように物理的な問題が制御されます。解析の一意性を実現するには、外側のエッジに境界条件を設定する必要があります。

したがって、有限要素法で問題を解析するには以下の処理が必要です:

  • デバイスモデルに限度を設定する。これは、ドメインの限度または境界を定義することです。
  • 該当のエッジに境界条件を設定する。これは、ドメインの境界での状態変数(電位や温度など)の値を定義することです。

明らかな矛盾点

有限要素法では問題の領域に対する限度が必要ですが、電磁気現象に領域の限度はありません。

これは、無限大のドメインを、サイズが有限な有限個数のサブドメインに分割することはできないということです。したがって、開いたドメインを有限要素法でモデル化することはできません。

スタディドメインの限度: 各種の方法

この矛盾点に対処するために、いくつかの方法を使用できます。

第1の方法(打ち切り法)では、結果に干渉しないようにデバイスから十分に離れた位置に外側境界を設け、スタディドメインを閉じます。

第2の方法では、開いたドメインを閉じたドメインに変換します。

これらの2つの方法について、次で説明します。

スタディドメインの限度: 打ち切り法

打ち切り法では、結果に干渉しないようにデバイスから十分に離れた位置に外側境界を設け、スタディドメインを閉じます。

空気で満たしたボックスの中にデバイスを置き、遠距離にある閉じた打ち切り境界によって無限距離を近似します。打ち切り境界による近似の影響を無視できるように、空気を満たしたボックスのサイズを調整します。

この方法では、デバイスの周囲をモデル化する空気の量を決定する必要があります。これは、計算した界が無視できる距離を特定する必要があるということです。

打ち切り法: 欠点

打ち切り法には次の欠点があります:

  • 未知数が多いことから演算コストが比較的高い。
  • 界の値を無視できる位置が打ち切り境界に近くなる。

無限大領域のモデル化: 変換の使用

これらの欠点を補うために、第2の方法では、開いたドメインを閉じたドメインに変換します。

基本的な考え方は、開いたドメインはメッシュ化できないことから、開いたドメインを閉じたドメインに変換するということです。

変換の使用の原理

初期空間を、次の2つのドメインに分解します:

  • 閉じた内部ドメイン: Eint
  • 開いた外部ドメイン: Eext

次の方法で、境界が開いている初期空間を、境界が閉じた閉空間に変換します:

  • 内部ドメイン(Eint)は変更しません。
  • 空間変換Tを通じ、閉じたドメイン(Eext_image)に外部ドメイン(Eext)を関連付けます。

したがって、最終的な空間は次の2つのドメインで構成されます:

  • 閉じた内部ドメインEint
  • 閉じた外部ドメインEext_image

従来の有限要素を使用して、これら2つの閉じたドメインをメッシュ化します。

図解

変換の使用の原理(続き)

この変換を方程式で考慮するには以下を前提とします:

  • 有限要素の定式化は変更しません(初期ドメインの状態変数とイメージドメインの状態変数は等しくなります)
  • 新しいタイプの有限要素(変換後の有限要素)で無限大の領域をモデル化できます。

図解:外部ドメインの表現

変換の選択

理論的にはいくつかの空間変換を使用できます。実空間から虚空間への変換は全単射とする必要があります。また、要素上および要素間では連続性や微分可能性などの特性を持つことも必要です。

実際、ソフトウェアで使用する変換では、効率に関するさまざまな条件が考慮されています。そのような条件として、多数の要素や未知の係数に対して得られる解の品質や実装の簡潔さなどがあります。