熱効果(組み合わせ)解析

熱荷重を受ける場合のきしみ・がたつきの問題を評価します。

自動車業界で直面している典型的な課題の1つに、車両が何時間も直射日光の下に置かれていた状態で走行する場合、その車両の内部はどのようになるかというものがあります。

この問いに答えるには、ギャップが縮小するなどのパートに対する温度効果(熱膨張 - 静的)に、振動荷重応答(動的)を重ね合せる必要があります。このワークフローで、ユーザーは、車両が直射日光の下に置かれ、内部温度が急騰した状況(静的荷重ケース)での動的条件におけるきしみ・がたつきの問題を評価します。車はこの後走行し、動的荷重を受けます。以下に、熱の影響を受ける車両の運転(組み合わせ荷重)のワークフローを図示します。
以下に、このユースケースで取り上げられるワークフローを図示します:
図 1.
このチュートリアルの目的は、以下の通りです。
  • きしみ・がたつきの問題を解析するためのFEモデルを準備する。
  • Lower Control Panelコンポーネントの特定の節点に、振幅-5.55の静的荷重を適用する。これはタッチポイントのシナリオをシミュレートします。
  • 解析の実行と結果のポスト処理を行う。
このチュートリアルでは、新規のモデルを使用し、モデルの解析セットアップを準備します。このワークフローについては、詳細なリスクおよび根本原因分析の次のセクションをご参照ください: 動的イベント荷重ケースを含むモデルをインポートします。このワークフローでは、詳細なリスクおよび根本原因分析ユースケースで作成したソルバーデックと動的荷重ケースを含むモデルを使用できます。ニーズに応じてワークフローを選択し、手順については上記のセクションをご参照ください。

このチュートリアルでは、詳細なリスクおよび根本原因分析のユースケースでエクスポートされたソルバーデックを使用します。動的荷重ケースソルバーデックをインポートしたら、熱(静的)荷重ケースのセットアップを進めることができます。

熱荷重ケースの定義

このステップでは、熱荷重ケースを作成します。

  1. Setupグループから、Dynamic > Thermal Eventの横のドロップダウン矢印を選択します。
    図 2.
    ガイドバーが開きます。
  2. IP SubstrateおよびDashboard Panelコンポーネントの上面の節点を選択します。
    図 3.
  3. ガイドバーで温度の値に90を入力します。
  4. をクリックします。
    シミュレーションに必要な荷重コレクターとその他のエンティティで熱荷重ケースが作成されます。それぞれの荷重コレクターが作成され、荷重ステップに割り当てられます。
    ユーザーメッセージが表示されます。
    図 4.
  5. OKをクリックします。

拘束の定義

このステップでは、モデルの制約を定義します。

  1. Setupリボンで、Static Event > Setup Constraintsを選択します。
    図 5.
    ガイドバーが開きます。
  2. グラフィックス領域から、図 6に示す節点を選択します。
    図 6.
  3. マイクロダイアログのLoadstepオプションでSnRD_STATIC_Temperature_1を選択します。
  4. マイクロダイアログで、すべての自由度を選択します。
    図 7.
  5. をクリックします。
    シミュレーションに必要な荷重コレクターとその他のエンティティで静的荷重ケースが作成されます。それぞれの荷重コレクターが作成され、荷重ステップに割り当てられます。

モデルと結果ファイルのインポート

このステップでは、SnRDポストを使用して結果をポスト処理します。

  1. HyperWorksを起動し、HyperViewクライアントに切り替えます。
  2. メニューバーFile > Load > Preferences Fileをクリックします。
    Preferencesダイアログが開きます。
  3. PreferencesダイアログでSqueak & Rattleを選択し、Loadをクリックします。
    SnRDメニューは、HyperViewクライアントで作成されます。
  4. SnRD > SnRD-Postを選択します。
    SnRDポスト Processingツールが開きます。
    図 8.
  5. ファイルブラウズオプションを使用して、OptiStructソルバーファイルのエクスポートでエクスポートされたOptiStructソルバーファイルをModel Fileとして選択します。
    注: 事前に出力された、E-ライン定義を含むCSVファイルが、自動的に読み込まれます。
  6. をクリックします。
    ファイルブラウザのダイアログが表示されます。
  7. tutorialsフォルダーから Tutorial_IP_SNR_Model.pch and Tutorial_IP_SNR_Model.h3d ファイルを選択します。
    H3Dデータの読み込み中は、作業状況ダイアログが表示されます。
  8. Subcase selectionテーブルでサブケースに対するボックスにチェックを入れます。
  9. Save Session File入力欄のをクリックします。
  10. ブラウズして、ポスト処理セッションおよびデータが格納されるフォルダーを選択します。
    図 9.

ポスト処理

Full Analysisを実行し、モデルにおけるきしみ・がたつきのリスクを把握します。

  1. Post Processingタブで以下のとおりパラメータを定義します。
    1. Analysis typeには、Rattle & Squeakを選択します。
    2. Line(s to Evaluate)には、Allを選択します。
    3. % statistical evaluationに、0入力します。
    4. Session Typeには、Full Analysisを選択します。
  2. Executeをクリックします。
    注: マシンのパフォーマンスによっては、Full Analysisの実行でヒストグラムを作成し、コンターをプロットするにはかなりの時間がかかります。
    実行が正常終了したというメッセージが表示されます。
    図 10.
  3. Closeをクリックします。
Full Analysisでは、すべての詳細を含むページが22ページ作成されます。がたつき解析の要約は最初のページに掲載されます。
図 11. Rattle Summary Dynamic
動的荷重ケースのきしみ解析の要約は8ページ目に掲載されます。
図 12. Squeak Summary Dynamic
熱荷重ケースのがたつき解析の要約は12ページ目に掲載されます。
図 13. Rattle Summary Thermal
熱荷重ケースのきしみ解析の要約は19ページ目に掲載されます。
図 14. Squeak Summary Thermal

組み合わせ荷重

ここでは、組み合わせ荷重スタディを実行し、動的荷重条件の下でのきしみ・がたつきの問題に対する熱効果について理解します。

  1. Combined Loadingsタブを選択します。
    図 15.
  2. Loading Type 1ドロップダウンリストから、dynamic loadcaseを選択します。
    Loading Type 1に対するAffects Gapが無効になります。
  3. Summary Analysisをクリックします。
    Summary Analysisにより、すべてのE-ラインに対する組み合わされた荷重の影響の概要が作成されます。
  4. Combine Resultsをクリックします。
    組み合わせ荷重の概要ページが作成されます。
    図 16.
    19513009 E-ラインを考えると、このスタディでは、次のような所見が得られます。熱効果の下で、相対変位は1.83 mmから2.09 mmに増加しています。
  5. Loading Type 2 リストからAffects Gapのチェックボックスを有効にします。
  6. E-Line(s) Selectionリストから19513009を選択します。
  7. Full Analysisをクリックします。
  8. Combine Resultsをクリックします。
    選択したインターフェースに対する組み合わされた影響が、結果ページにプロットされます。
    図 17.
    以下に、プロットからわかる変化を示します。
    • NewGap_Nominal_LC5_R2_ZおよびNewGap_Tolerance_LC5_R2_Zが解析に導入されています。これらは熱効果によるギャップおよびトレランスの変化です。
    • 相対変位は2.09 mmから1.83 mmに減少しています。この解析では、熱効果により相対変位が減少し、それによってがたつきノイズも減少することが明らかになっています。