AutoBush

AutoBushは、地上車両で使用するブッシュを容易にシミュレートできるように設計されたブッシュモデルです。AutoBushエンティティは、TeimOrbit形式で記述されたファイルからブッシュの剛性(フォース対変位)と減衰(フォース対速度)のデータを読み取ります。

AutoBushエンティティには次のような利点があります。
  • フォース-たわみプロパティはプロパティファイルと呼ばれるASCII形式ファイルに格納されます。
  • 複数のブッシュが同じプロパティファイルを参照できます。
  • このプロパティファイルの形式には、SIMPACKやADAMSなどの他のMBDコードとの互換性があります。
  • ユーザーの選択肢としてブッシュカップリングがサポートされています。

AutoBushでは、ブッシュのフォースとモーメントを計算するサブルーチンと共に、MotionSolveデックでForce_field XMLステートメントが使用されます。ブッシュのプロパティファイルは、シミュレーションの冒頭でMotionSolveによって読み取られます。MotionSolveでは、Akima法を使用して、プロパティファイルに保存されたフォース対変位曲線を内挿します。プロパティファイルに範囲外のたわみがある場合は、MotionSolveによってフォースやモーメントが線形外挿されます。

ブッシュのモデル

インターフェースを使用してAutoBushエンティティを追加すると、ブッシュのグラフィックが表示されます。このモデルには、円筒と2つの大きなX-Y局所座標系フレームインジケーターが含まれます。

円筒の高さ方向は、ブッシュの局所座標系Z軸の方向です。円筒の半径方向は、ブッシュのローカルX座標フレームおよびローカルY座標フレームの方向です。赤い軸のインジケーターはブッシュの局所座標系X軸上にあり、青い軸のインジケーターはブッシュの局所座標系Y軸と平行になっています。AutoBushエンティティでは、2種類のインジケーターが表示されます。赤 / 青のインジケーターはブッシュの局所座標系Z軸上の高さ+20mmの位置に表示され、青 / 青の軸のインジケーターはブッシュの局所座標系Z軸上の高さ-20mmの位置に表示されます。


図 1. AutoBushブッシュのグラフィック


図 2. AutoBushブッシュのグラフィック - 透過状態で表示した円筒のグラフィック

カップリング

ブッシュの変位を計算するためのカップリング手法が決定されます。
注: 線形レートのブッシュでは、カップリング手法は重要ではありません。
手法
説明
Rectangular
ブッシュの各軸の変位は互いに独立に計算されます。
Cylindrical
XおよびYの変位(並進および回転)をカップリングします。半径方向のたわみ(r)は、次式によって求められます:

r = sqrt( x^2 + y^2 )

Fx = x/r*Gx( sign(x)*r )

Fy = y/r*Gy( sign(y)*r )

ここで、GxGyは、プロパティファイルに記述されたフォース対たわみ曲線です。ブッシュのX軸とY軸を中心としたモーメントも同様に扱われます。
Spherical
X、YおよびZ方向の変位(並進および回転)をカップリングします。半径方向のたわみ(r)は、次によって求められます:

r = sqrt( x^2 + y^2 + z^2 )

Fx = x/r*Gx( sign(x)*r )

Fy = y/z*Gy( sign(y)*r )

Fz = z/r*Gz( sign(z)*r )

AutoBushの結合

結合は、結合している2つのボディ、フォースが作用するポイント、およびブッシュの向きを定義するマーカーを定義します。ボディ、マーカー、およびポイントはグラフィカルに選択することも、Projectブラウザを介して選択することもできます。

  1. Connectivityタブで、結合する1番目のボディを選択します。
    ソルバーデックにあるForce_fieldステートメントのIマーカーは、Body 1上でPoint 1に配置され、Markerの方向を向いています。
    • Body 1をクリックして、モデリングウィンドウからボディを選択します。
    • Body 1をダブルクリックして、ダイアログから目的のボディを選択します。
  2. 同様にBody 2入力コレクターをクリックして、結合する2番目のボディを選択します。
    ソルバーデックにあるForce_fieldステートメントのJマーカーは、Body上でPoint1に配置され、Markerの方向を向いています。
  3. 空間内でブッシュの方向を定義するマーカーを選択します。
    • Markerをクリックして、モデリングウィンドウからマーカーを選択します。
    • Markerをダブルクリックして、ダイアログから目的のマーカーを選択します。
    ブッシュの3つの軸はすべて、マーカーのそれぞれの軸(X-X、Y-Y、Z-Z)に平行です。
  4. ブッシュを配置するポイントを選択します。このポイントは、ブッシュのフォースが作用する位置を定義します。Force_fieldステートメントのIマーカーとJ(フローティング)マーカーはPoint 1にあります。
    • Point 1をクリックして、モデリングウィンドウからポイントを選択します。
    • Point 1をダブルクリックして、ダイアログから目的のポイントを選択します。
  5. Property file browserアイコンをクリックして、ブッシュプロパティファイルを探します。ファイルパスはソルバーデックに書き込まれ、ファイルはソルバーの実行時に読み込まれます。プロパティファイルは、TeimOrbit形式で書き込まれます。
  6. Outputボックスをチェックすると、ブッシュ内部のフォース、ブッシュ全体の変位、およびブッシュ全体の相対速度に対するリクエストがソルバーデックに書き込まれます。
    ヒント: Edit Fileをクリックして、路面タイヤファイルを保存します。

TeimOrbitブッシュファイル

テキストファイルTeimOrbitブッシュファイルの例を以下に示します。各ブロックの意味は次のとおりです:
HEADER
ヘッダーブロックは、プリプロセッサーから書き込まれるファイルの形式を記述します。
UNITS
単位ブロックは、ファイルに記録されたデータについて説明します。
DAMPING
ブッシュの減衰。このブッシュモデルでは、下のファイルに示されているように、線形減衰がサポートされています。
FX_CURVE、FYCURVEなど
ブロックヘッダーで特定された、自由度のフォース対変位のデータ。データは昇順で記録されます。
$-------------------------------------------------------------------HEADER
[HEADER]
 FILE_TYPE     =  'bus'
 FILE_VERSION  =  4.0
 FILE_FORMAT   =  'ASCII'
$------------------------------------------------------------------UNITS
[UNITS]
 LENGTH =  'mm'
 ANGLE  =  'degrees'
 FORCE  =  'newton'
 MASS   =  'kg'
 TIME   =  'second'
$-----------------------------------------------------------------DAMPING
[DAMPING]
 FX_DAMPING  =  0.5
 FY_DAMPING  =  0.5
 FZ_DAMPING  =  0.5
 TX_DAMPING  =  0.5
 TY_DAMPING  =  0.5
 TZ_DAMPING  =  0.5
$----------------------------------------------------------------FX_CURVE
[FX_CURVE]
{  x         fx}
-10.0  -45000.0
 -8.0  -36000.0
 -6.0  -27000.0
 -4.0  -18000.0
 -2.0   -9000.0
  0.0       0.0
  2.0    9000.0
  4.0   18000.0
  6.0   27000.0
  8.0   36000.0
 10.0   45000.0
$----------------------------------------------------------------FY_CURVE
[FY_CURVE]
{  y          fy}
-10.0  -45000.0
 -8.0  -36000.0
 -6.0  -27000.0
 -4.0  -18000.0
 -2.0   -9000.0
  0.0       0.0
  2.0    9000.0
  4.0   18000.0
  6.0   27000.0
  8.0   36000.0
 10.0   45000.0
$----------------------------------------------------------------FZ_CURVE
[FZ_CURVE]
{  z         fz}
-10.0  -45000.0
 -8.0  -36000.0
 -6.0  -27000.0
 -4.0  -18000.0
 -2.0   -9000.0
  0.0       0.0
  2.0    9000.0
  4.0   18000.0
  6.0   27000.0
  8.0   36000.0
 10.0   45000.0
$----------------------------------------------------------------TX_CURVE
[TX_CURVE]
{  ax          tx}
-45.0  -2025000.0
-36.0  -1620000.0
-27.0  -1215000.0
-18.0   -810000.0
 -9.0   -405000.0
  0.0         0.0
  9.0    405000.0
 18.0    810000.0
 27.0   1215000.0
 36.0   1620000.0
 45.0   2025000.0
$----------------------------------------------------------------TY_CURVE
[TY_CURVE]
{  ay          ty}
-45.0  -2025000.0
-36.0  -1620000.0
-27.0  -1215000.0
-18.0   -810000.0
 -9.0   -405000.0
  0.0         0.0
  9.0    405000.0
 18.0    810000.0
 27.0   1215000.0
 36.0   1620000.0
 45.0   2025000.0
$----------------------------------------------------------------TZ_CURVE
[TZ_CURVE]
{  az          tz}
-45.0  -2025000.0
-36.0  -1620000.0
-27.0  -1215000.0
-18.0   -810000.0
 -9.0   -405000.0
  0.0         0.0
  9.0    405000.0
 18.0    810000.0
 27.0   1215000.0
 36.0   1620000.0
 45.0   2025000.0