AutoSpring

スプリングは、サスペンション内で垂直フォースを支え、タイヤと路面の接触を維持し、路面の不規則性によるエネルギーが車両や乗客に伝わらないようにそれを吸収します。

スプリングの自由長およびフォース対たわみの関係を記述したテーブルは、ADAMS/Car™互換プロパティファイルに保存されています。スプリングプロパティファイルを選択するとスプリングの特性が決定されます。MotionViewのインストール環境の次の場所にプロパティファイルの例が用意されています。$(ALTAIR_HOME)\hw\mdl\autoentities\properties\Springs

スプリングフォース

スプリングのフォースは、Akimaの手法を使用してプロパティファイルから読み込まれたフォース-たわみのテーブルに基づいて補間されます。スプリングのたわみがプロパティファイルで提供される範囲外の場合、スプリング力は線形に補間されます。

導入手法

スプリングの設定手法は、スプリングがサスペンションの入力位置に正しいフォースを適用するようにするために使用されます。以下の表に示されている3つの手法のいずれかを使用できます。それぞれ、以降のセクションで詳しく説明されています:
ポイント
Point 1と2の間の距離によりスプリングの初期長とフォースが決定されます。Point 1と2の位置が変わると、スプリングの長さ、初期フォースおよび作用線が影響を受けます。スプリングの初期長(l0)は次の式で求められます。(1) l 0 = ( ( X p 2 X p 1 ) 2 + ( Y p 2 Y p 1 ) 2 + ( Z p 2 Z p 1 ) 2 )


図 1.
長さ
スプリングの長さを入力して、その荷重を固定します。Point 1と2の位置が変わると、スプリングの作用線も変わりますが、スプリングの初期長とフォースは変わりません。


図 2.
Force
スプリングの初期フォースを入力します。Point 1と2の位置が変わると、スプリングの作用線のみが影響を受けます。さらに、自由長や剛性などのスプリング特性を変更しても、初期フォースは影響されません。ソルバーの初期化時に、反復手法が使用され、フォースが入力された値になるようにスプリングの長さが決定されます。

フォースと変位のスケーリング

Fs = VGs(H(L0-d))

ここで、
Fs
スプリングのフォース
V
フォーススケール
Gs
Akima補間関数
H
変位スケール
L0
スプリング自由長
d
瞬間スプリング長

スプリングプロパティ

スプリングプロパティは、AutoSpringテキストファイルに保存されます。モデルをソルバーに送ると、ソルバーはスプリングプロパティファイルを読み込んでシミュレーション時に使用します。スプリングプロパティファイルの単位がモデルと異なる場合、ソルバーは内部的にスプリング特性をモデルの単位に変換します。プロパティファイルは変更されません。

スプリングプロパティファイルには、ヘッダー、単位、スプリングデータおよび曲線のブロックが含まれます。単位ブロックは、ファイルで使用される長さ、質量、フォース、時間、角度の単位を指定します。スプリングデータブロックは、スプリングの自由長を保持します。曲線ブロックは、たわみとフォースの値の表を保持します。

符号に関する規定

スプリングの正の変位は圧縮です。一方、正のフォースが作用すると、スプリングが結合している2つのボディは離れる方向に移動します。したがって、プロットした場合、フォース(Y)対変位(X)曲線は、第1象限と第3象限に存在します。

TeimOrbit形式でスプリングプロパティを記述したテキストファイルの例を以下に示します。
$--------------------------------------------------------------------HEADER
[HEADER]
FILE_TYPE     =  'spr'
FILE_VERSION  =  4.0
FILE_FORMAT   =  'ASCII'
$---------------------------------------------------------------------UNITS
[UNITS]
LENGTH =  'mm'
ANGLE  =  'degrees'
FORCE  =  'newton'
MASS   =  'kg'
TIME   =  'second'
$---------------------------------------------------------------SPRING_DATA
[SPRING_DATA]
FREE_LENGTH  =  270.75
$---------------------------------------------------------------------CURVE
[CURVE]
{ disp    force}
-300.0 -15000.0
-200.0 -12000.0
-150.0  -9000.0
-100.0  -6000.0
 -50.0  -3000.0
 -10.0   -600.0
   0.0      0.0
  10.0    600.0
  50.0   3000.0
 100.0   6000.0
 150.0   9000.0

AutoSpringの結合

結合は、スプリングが結合する2つのボディと、スプリングのフォースの作用線を決定する2つのポイントを定義します。スプリングは、Point 1でBody 1に作用し、Point 2でBody 2に作用します。

  1. Connectivityタブで、結合する1番目のボディを選択します。
    • Body 1をクリックして、モデリングウィンドウからボディを選択します。
    • Body 1をダブルクリックして、ダイアログから目的のボディを選択します。
  2. 同様にBody 2入力コレクターをクリックして、結合する2番目のボディを選択します。
  3. 1番目のポイントを選択します。
    • Point 1をクリックして、モデリングウィンドウからポイントを選択します。
    • Point 1をダブルクリックして、ダイアログから目的のポイントを選択します。
  4. 同様に、2番目のポイントを選択します。
  5. 設置手法を選択します。
    オプション 説明
    Points Pointsラジオボタンを選択すると、スプリングの初期長としてPoint 1と2の間の距離が使用されます。これは、下の図に示すように、ポイントが上部と下部のスプリングシートの中心にある場合の典型的な選択肢です:


    図 3.
    Length Point 1およびPoint 2の入力位置でスプリングが持つ長さを入力します。例えば、スプリングコイルがダンパーを覆うような配置のサスペンションでは、上部のダンパーポイントと下部のダンパーポイントを使用してスプリングの作用線を決定できます(下図をご参照ください)。ただし、これらのポイント間の距離がスプリングの長さを遥かに超えると、スプリングフォースは正確でなくなります。このような場合は、長さを選択し、スプリングの実際の長さを入力します。Point 1とPoint 2の位置が変更されても、スプリングの初期長は入力された値のままです。


    図 4.
    Force 入力位置でのスプリング内部の初期フォースを入力します。Point 1と2の位置およびスプリング特性を変更してもフォースは変わりません。ソルバーは、解析前の初期化段階で入力されたフォースをもたらすスプリングの初期長を計算します。ポイントの位置やスプリング特性のすべての変更にかかわるため、ソルバーは必ず最初にスプリングの初期長を計算します。
  6. Outputボックスをチェックすると、スプリングの長さ、長さの変化率、スプリングのフォース、およびPoint 1とPoint 2を通るラインの方向余弦に対する出力リクエストが追加されます。
    スプリングの長さと長さの変化率は、Body 1上のPoint 1とPoint 2の間のラインに沿って測定されます。スプリングフォースも同じラインに沿って作用します。正のスプリングフォースが作用するとボディは引き離され、負のスプリングフォースが作用するとボディは引き寄せられます。

AutoSpringの出力チャンネル

MotionSolve.mrfファイルに記述される出力チャンネルの概要を以下に示します。
表 1.
タイプ コンポーネント
REQSUB RESULT(2) スプリングの長さ
  RESULT(3) スプリングの長さの変化率
  RESULT(4) スプリングのフォース
  RESULT(6) 全体座標系によるスプリングのX方向余弦
  RESULT(7) 全体座標系によるスプリングのY方向余弦
  RESULT(8) 全体座標系によるスプリングのZ方向余弦