ドライブライン

ドライブラインは、動力源から駆動輪に動力を伝達します。

二輪車の場合、動力源はエンジンやモーターであり、多くの場合、駆動輪は後輪ですが、例外的に前輪を駆動輪とすることも考えられます。二輪車ライブラリでは、デフォルトは後輪駆動型システムです。

動力は、ギアボックスの出力軸と後輪を接続しているチェーンまたはベルトによって伝達されます。このライブラリでは、フォース、ジョイント、マーカー、ソルバー変数の組み合わせを使用して、このメカニズムがモデル化されています。

以下の図は、動力が伝達される仕組みを概略的に示しています。


図 1.

駆動スプロケットは、ギアボックス出力軸から動力を得ています。この動力(またはそれによって得られる運動)により、後輪に取り付けられた従動スプロケットが駆動されます。赤い矢印は、スプロケットの回転運動とチェーンの線形運動を示しています。

このドライブラインでは、2つのスプロケット間での回転運動の伝達のほか、従動スプロケットと後輪に次のフォースが発生します。
  1. FT: 張力または引張力。
  2. FJ: 駆動スプロケットによって張力が強い側へチェーンが引っ張られることに起因するジャッキ力(垂直力)。

これらのスプロケットが同じ平面にない場合は、これらのスプロケットの間で横力も作用します。二輪車ライブラリでは、この力はモデル化されていません。

ドライブラインの各フォースのモデル化



図 2.
注: ドライブラインのフォースとその関連要素を、指定のとおりに正確にモデル化する必要があります。このモデル化で最も重要な点は、マーカーの位置と向きです。
Vector
従動スプロケット回転軸:後輪の回転軸(従動スプロケット)の回転軸を定義するベクトル。
ボディ
チェーン解析ダミー:後輪の中心にとどまるように位置が拘束され、駆動スプロケットと従動スプロケットの間に視軸を保持するように方向が拘束されたダミーボディ。
マーカー
次の2つのマーカーが必要です:
  1. チェーン力マーカー:従動スプロケット(後輪スプロケット)の中心に置いたチェーン解析ダミー上のマーカー。次のように設定します。
    • X軸は前側スプロケットの中心を向いています。
    • Z軸は後側スプロケットの回転軸方向を向いています。
  2. 駆動スプロケットの中心:駆動スプロケット(前輪スプロケット)の中心に置いたエンジンスプロケット(駆動スプロケット)上のマーカー。次のように設定します。
    • X軸は後側スプロケットの中心を向いています。
    • Z軸はギアボックス出力軸の回転軸方向を向いています。
ジョイント
以下のジョイントによってチェーンの配置がモデル化されます:
  1. チェーンダミーと従動スプロケットとのジョイント:チェーン解析ダミーと後輪をつなぐボールジョイント
  2. 駆動スプロケットとチェーンダミーとのジョイント:エンジンスプロケット(駆動スプロケット)とチェーン解析ダミーをつなぐインラインジョイント。
  3. チェーン平面Yと従動スプロケットとのジョイント:チェーン解析ダミーと後輪をつなぐ面内ジョイント。従動スプロケットの回転軸に垂直。
これら3つのジョイントによって、次の条件を満たすように、チェーン解析ダミーボディ上のチェーンフォースマーカーが拘束されます:
  • X軸は駆動スプロケットの中心を向いています。
  • Z軸は後輪の回転軸方向を向いています。
フォース
チェーンフォース要素は、チェーンフォースマーカーを基準として作成されています。このフォースは、後輪とエンジン / 駆動スプロケットの間に作用します。このフォースは次の成分で構成されています:
  • Fx: 2つのスプロケットを結合するライン方向に作用します。エンジンのトルクによって発生するチェーン張力(FT)です。
  • Fy: Fxと垂直の方向に作用します。エンジンのトルクによって発生するジャッキング力(FJ)です。
  • Tz: 回転方向に作用します。2つのスプロケットのサイズの比率によってエンジンのトルクがスケーリングされて発生するフォースです。