領域での鉄損の計算手順

本項では、領域での鉄損を計算するために必要な手順について説明します:



  1. Computation typeドロップダウンメニューで、On regionsオプションを選択します。
  2. リストに入力することで、鉄損を計算するために必要な積層領域を選択します。
  3. 以下を選択または修正することで処理を進めます:
    • 鉄損計算で考慮する形状パラメータとI/Oパラメータの値。
    • Transient Magneticアプリケーションの場合は、それと同じ周期で計算された磁束密度B(t)の値から鉄損を評価する必要がある時間間隔。Fluxは、この時間間隔のB(t)を、Part of cycle described by the time intervalドロップダウンメニューで選択されたオプションに従って解釈します。
      重要: 物理的に有意味な結果を得るには、下に示すPart of cycle described by the time intervalオプションに従って正しい時間間隔を選択する必要があります。たとえば、Full cycleオプションの場合は、デバイスのただ1つの電気的周期に対応する時間間隔を選択する必要があり、Half cycleオプションの場合は、電気的半周期に対応する時間間隔を選択する必要があります。
    • Part of cycle described by the time intervalオプションで提供されている解釈を以下の表に示します。

      オプション 内容
      No cycle 鉄損を計算するために、Fluxは、波形の周期性に関する想定なしで指定された時間間隔に取得した磁束密度B(t)を使用します。このため、周期性のないB(t)の波形の場合でも、Fluxには警告やエラーメッセージが表示されません。
      Full cycle Fluxは指定された時間間隔を電気的全周期と解釈します。

      具体的に言うと、選択した間隔の最初の時間ステップと最後の時間ステップの値を比較することで、磁束密度B(t)の周期性をチェックします。このため、この周期性テストに失敗するとFluxに警告メッセージが表示されますが、それでも計算は実行されます。

      Half cycle(アドバンストモードのみで使用可能)

      Fluxは指定された時間間隔を半周期と解釈し、下の図に示すように、波形を反周期性と見なすことで、欠落した2つ目の半周期に沿ってB(t)信号を再構築します。次に、再構築された完全なB(t)波形を使用して、鉄損を計算します。



      注: この Half cycleオプションは、B(t)波形にゼロでない平均値(オフセット)がある場合にうまく適合します。
      注: シナリオの最初の2つの時間ステップは時間間隔の定義用に選択できず、リストでは非表示になっています。
      注: Full cycleおよびHalf cycleオプションで、Fluxは、選択した時間間隔が周期性磁束密度に対応するかどうかを示すパラメータも評価します。このパラメータはError on periodicity (in %)と呼ばれ、計算結果のダイアログボックスに鉄損の結果と合わせて表示されます(詳細については、領域上の鉄損計算の結果をご参照ください)。
      注: 周期性のある波形で、Modified Bertottiモデル(下のステップ4: Model for lossesを参照)を使用している場合は、No cycleおよびFull cycleオプションの両方がほぼ同じ結果をもたらします(数値スキームによってわずかな差異が生じる可能性はあります)。一方で、Loss Surface(LS)モデルを使用する場合、選択した時間間隔のB(t)波形によっては、No cycleオプションで計算の実行のために完全で閉じたヒステリシスサイクルが必ずしも使用されず、Full cycleアプローチ(結果的にこちらの方が正確になる)と比較したときに、無視できない差異が生じる可能性もあります。
  4. 最後に、Model for lossesドロップダウンメニューで、鉄損モデルを選択します。以下のオプションが表示されます:
    • Model defined in material: 領域に割り当てられた材料内で定義された鉄損モデルが、計算に採用されます。
    • Modified Bertotti: ユーザーはこのオプションを使用して、修正Bertottiモデルを完全に記述するために必要な係数と指数を指定する必要があります。
    • LS predefined sheets(Transient Magneticアプリケーションのみ): Flux提供のLoss Surface(LS)が事前定義された電気鋼板を、ドロップダウンメニューから選択するように求められます。
    • LS defined by importing of a MILS file(Transient Magneticアプリケーションのみ): 電気鋼板にユーザー独自のLoss Surfaceモデルを.MILSファイルで指定する必要があります。磁気測定値からこうしたファイルを作成する方法については、MILSによるLSモデルの識別をご参照ください。