OS-T:1910 弾性体コネクティングロッド付シリンダークランクの動解析

本チュートリアルでは、剛体クランク、弾性体コネクティングロッドおよび剛体スライディングブロックで構成されたスライダークランクモデルを扱います。この解析では、高速で動くシステムの挙動と弾性体コネクティングロッドの応力を確認することが目的です。

本チュートリアルには、HyperMeshでPRBODY(剛体定義)、PFBODY(弾性体定義)およびJOINTを作成する方法が含まれています。

ここでは既存の有限要素モデルを使用します。

slider_crank_model
図 1.

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルのオープン

  1. File > Open > Modelをクリックします。
  2. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したslider_crank.hmファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  3. Openをクリックします。
    slider_crank.hmデータベースが現在のHyperMeshセッションに読み込まれます。

モデルのセットアップ

PRBODYの作成

PRBODYは、マルチボディシミュレーションのための剛体定義です。PRBODYは剛体を、有限要素のプロパティ、要素、節点のリストとは別に定義します。
  1. Analysisページからパネルbodiesをクリックします。
  2. createサブパネルを選択します。
  3. supportコンポーネントについて、PRBODYを定義します。
    1. body=欄にsupportと入力します。
    2. type=をクリックしPRBODYを選択します。
    3. プロパティセレクターを使って、supportを選択します。
    4. createをクリックします。
  4. crankコンポーネントについて、PRBODYを定義します。
    1. body=欄にcrankと入力します。
    2. type=をクリックしPRBODYを選択します。
    3. プロパティセレクターを使って、crankを選択します。
    4. nodesセレクターを使って、コネクティングロッドとクランク間のRBE2スパイダーの中央節点(ID 25231)を選択します。

      prbody_crank
      図 2.
    5. createをクリックします。
  5. blockコンポーネントについて、PRBODYを定義します。
    1. body=欄にblockと入力します。
    2. type=をクリックしPRBODYを選択します。
    3. プロパティセレクターを使って、blockを選択します。
    4. nodesセレクターを使って、コネクティングロッドとブロック間のRBE2スパイダーの中央節点(ID 25232)を選択します。

      prbody_crank
      図 3.
    5. createをクリックします。
  6. returnをクリックします。

弾性体(PFBODY)の生成

PFBODY は、マルチボディシミュレーションのための弾性体定義です。PFBODYは剛体を、有限要素のプロパティ、要素、節点のリストとは別に 定義します。
  1. Analysisページからパネルbodiesをクリックします。
  2. createサブパネルを選択します。
  3. body=欄にRodと入力します。
  4. type=をクリックし、PFBODYを選択します。
  5. プロパティセレクターを使って、Rodを選択します。
  6. elemsセレクターを使って、コネクティングロッドの内側の穴のRBE2要素2つを選択します。
    ヒント: 別に、‘elems by id’と入力ID 18795および18796を使って、2つのRBE2要素を選択することもできます。

    prbody_con_rod
    図 4.
  7. CMS MethodをCraig-Bamptonに設定します。
  8. number of modesをnmodes=に設定し、10と入力します。


    図 5.
  9. createをクリックします。
  10. returnをクリックします。

ジョイントの作成

自由度を除去するために3つの回転ジョイント、1つの固定ジョイントおよび1つの並進ジョイントを作成します。
ジョイントのタイプ 並進自由度の除去 回転自由度の除去 自由度の除去総数
回転(Revolute) 3 2 5
固定(Fixed) 3 3 6
並進(Translational) 2 3 5

model_joints
図 6.
  1. コンポーネントjointsを作成します。
    1. Modelブラウザで右クリックしコンテキストメニューからCreate > Componentを選択します。
      デフォルトのコンポーネントテンプレートがエンティティエディターに表示されます。
    2. Nameにjointsと入力します。
  2. メニューバーMesh > Create > 1D Elements > Jointsをクリックします。
    Jointsパネルが開きます。
  3. グラウンドとサポート間に固定ジョイントを作成します。
    1. joint typeをfixedに設定します。
    2. first terminalとしてnode ID 25313を、second terminalとしてnode ID 25543を選択します。
      ヒント: 節点25313と25543は一致しています。optionsパネル> graphicsサブパネルで重複節点をピックすることで、それら重複節点をモデリングウィンドウで選択します。
    3. createをクリックします。

    nodes_fixed_j
    図 7.
  4. サポートとクランク間に回転ジョイントを作成します。
    1. joint typeをrevoluteに設定します。
    2. first terminalとしてnode ID 25472を、second terminalとしてnode ID 15124を選択します。
    3. first orientationをcoordinatesに設定し、x= 0.0、y= 0.0、z= 1.0と入力します。
      z軸は回転ジョイントの回転軸です。
    4. createをクリックします。

    support_crank
    図 8.
  5. クランクとコネクティングロッド間に回転ジョイントを作成します。
    1. joint typeをrevoluteに設定します。
    2. first terminalとしてnode ID 25229を、second terminalとしてnode ID 25231を選択します。
    3. first orientationをcoordinatesに設定し、x= 0.0、y= 0.0、z= 1.0と入力します。
      z軸は回転ジョイントの回転軸です。
    4. createをクリックします。

    crank_rod
    図 9.
  6. コネクティングロッドとスライディングブロック間に回転ジョイントを作成します。
    1. joint typeをrevoluteに設定します。
    2. first terminalとしてnode ID 25230を、second terminalとしてnode ID 25232を選択します。
    3. first orientationをcoordinatesに設定し、x= 0.0、y= 0.0、z= 1.0と入力します。
      z軸は回転ジョイントの回転軸です。
    4. createをクリックします。

    rod_block
    図 10.
  7. スライディングブロックとグラウンド間に並進ジョイントを作成します。
    1. joint typeをtranslationalに設定します。
    2. first terminalとしてnode ID 14519を、second terminalとしてnode ID 25228を選択します。
    3. first orientationをcoordinatesに設定し、x= 1.0、y= 0.0、z= 0.0と入力します。
      x-軸が、移動する方向となります。
    4. createをクリックします。

    block_ground
    図 11.
  8. returnをクリックします。

DTIとUNITSの作成

  1. メニューバーからSetup > Create > Control Cardsをクリックし、Control Cardsパネルを開きます。
  2. DTI_UNITSをクリックします。
  3. 単位系を、図 12に示すとおり定義します。

    dti
    図 12.
  4. returnを2回クリックし、メインメニューに戻ります。

荷重コレクターの作成

モデルに与える重力荷重とマルチボディシミュレーション用パラメータを指定するためのMBSIMバルクデータカードをこの演習で作成します。

  1. Modelブラウザで右クリックしコンテキストメニューからCreate > Load Collectorを選択します。
    デフォルトの荷重コレクターがエンティティエディターに表示されます。
  2. NameにSIMと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card ImageをMBSIMに設定します。
  5. 以下に示す値を入力します。


    図 13.
  6. もう1つの荷重コレクターを作成します。
    1. NameにVelocityと入力します。
    2. Card Imageに、INVELBを選択します。
    3. 以下に示す値を入力します。


      図 14.

荷重ステップの作成

  1. Modelブラウザで右クリックしコンテキストメニューからCreate > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重ステップがエンティティエディターに表示されます。
  2. NameにDynamicと入力します。
  3. 解析のタイプをMultibody dynamicsに設定します。
  4. MBSIMを定義します。
    1. MBSIMに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
    2. Select LoadcolダイアログでSIMを選択し、OKをクリックします。
  5. INVELを定義します。
    1. INVELに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
    2. Select LoadcolダイアログでVelocityを選択し、OKをクリックします。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 15. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてslider_crank_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、slider_crank_complete.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、slider_crank_complete.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。
ランダム応答解析特有の以下のファイルも出力されます。
slider_crank_complete_mbd.abf
バイナリプロッティングファイル。
slider_crank_complete_mbd.h3d
バイナリ結果ファイル(モーダル結果)
slider_crank_complete_mbd.log
ジョイントおよびマーカー、シミュレーション等、MBD解析特定の情報を含むOS-Motionからのログファイル。
slider_crank_complete_mbd.mrf
プロッティング用のバイナリ結果ファイル。
slider_crank_complete_mbd.xml
.xmlフォーマットでのモデルファイル – ソルバー中間入力デック。

結果の表示

このステップでは、HyperMeshOptiStructパネルで起動するHyperView内で結果を可視化します。

HyperViewは有限要素解析(FEA)、マルチボディシステムシミュレーション、ビデオと工学データのための完全なポストプロセッシングと表示の環境です。

  1. AnalysisページのOptiStructパネルから、をクリックします。

    Load modelとLoad resultsの右側入力欄にslider_crank_complete.h3dのパスとファイル名が表示されます。これは、.h3dフォーマットにはモデルと結果データの両方が含まれているためです。

    モデルと結果は現在のHyperViewウィンドウに読み込まれます。

  2. Contour panelツールバーアイコンresultsContour-16をクリックします。
  3. Results type:の下で、Displacement(v)を選択します。
  4. Applyをクリックします。
  5. playback controlsの横のパネル内にあるAnimation Controlsを使ってアニメーションを開始 / 停止します。

    animation_toolbar
    図 16.
    1. Animate ModeがanimationTransient-24(Transient)にセットされていることを確認します。
    2. Start/Pause Animationアイコンをクリックし、アニメーションを開始します。
    3. アニメーションの再生中に、一番下のスライダを使って、アニメーションのスピードをコントロールします。
    4. Start/Pause Animationアイコンを再度クリックし、アニメーションを停止します。


    図 17.
  6. Contour panelのResults typeの下で、Element Stresses [2D & 3D]を選択します。
  7. Stress typeをvon Misesに設定します。
  8. Applyをクリックします。
  9. Start/Pause Animationアイコンをクリックし、アニメーションを開始します。


    図 18.