複数のSPH対称条件
軸対称条件は、対称軸で交差する2つの平面に関する条件の使用を通してモデル化することができます。球対称条件は、対称の中心で交差する3つの平面に関する条件の使用を通してモデル化することができます。
しかし、これらの種類の対称は同じように扱われるわけではありません。
例えば、軸対称条件のケースでは、全てのゴースト粒子が対称軸の周りに作られるわけではありません。2つの対称面に関する実際の粒子の対称粒子のみが作られます。
したがって、軸対称(球対称の場合も同様)条件におけるいくつかの特性は、軸対称(球対称の場合も同様)に近づきます。
対称軸(多少の中心の場合も同様)の近くで、対正面(P)上にある節点は、隣接粒子が平面(P)に関して対象でないため、(P)の法線方向に0でない速度を持つことができます。
運動学的境界条件
上記の解説に関して、運動学的境界条件を明示的な方法で付加することによりそれを強化することができます。
運動学的境界条件は
/SPHBCSオプション内で指定された節点グループに属する節点に対して、以下のように追加されます:
- “Slide”タイプの場合、節点の方向"Dir"の速度が0になります。
- “Tied”タイプの場合、節点の全ての方向の速度が0になります。
複数の運動学的境界条件が同じ節点に異なるSPH対称条件を通して与えられた場合、その運動学的境界条件は、それらが直交しない方向に与えられている場合でも、自動的に計算されます。
図 3 上の図はNに2つの運動学的境界条件が平面(P1)と(P2)に関する2つの対称条件を通して与えられた場合で、2つの境界条件は、(P1)と(P2)の共通の軸の直交する平面内の速度が0のままになるように修正されます。2つの対称条件の1つがタイプ"Tied"条件の場合には、Nの全ての方向の速度が0になる点に注意が必要です。
同じ節点に SPH対称条件を通した運動学的境界条件(オプション/SPHBCS)と通常の境界条件(オプション/BCS)を同時に与えることも、通常の境界条件が移動スキューではなく、固定スキューまたは全体スキューで与えられている限り可能です。2つの条件はその時同じ方法で構成されます。
パート質量
粒子が時刻t=0において、対称面上にある場合、粒子の質量と初期体積はそれぞれ考慮される点に注意が必要です:
(1)
ここで、mpはプロパティセット内に指定される質量です。
粒子が
n対称平面内に時刻t=0である際
(2)
(この粒子から作られるゴースト粒子が同じ初期体積と質量を得ます)。
の際、前の式は質量の誤差をもたらす可能性があり、その粒子が属するパートが物理モデルに関してエネルギーで出力されます。
定式化レベル
対称平面が定義された際、対称面上の全ての粒子に対して運動条件が設定された場合でも、 時刻0で領域内部にある粒子が対称面を横切ることは理論的に可能です。
これは粒子が壊れた際に粒子間の剛性が無限大の値には増加しないSPH 独特のものです。そのため、粒子が対称面上にある場合にはその上に置かれますが、それが領域内にある場合には対称面を通り抜けることが起こります。
Ilev=0の場合、対称面を交差する粒子は(次第に)計算からは考慮されなくなり、その時領域内にある対称粒子に関しても計算されません。
Ilev=
1の場合、対称面を交差した粒子は対称面上で弾性を持ってリバウンドします。面の法線方向のそれらの速度は逆に設定されます。
注: Ilev=1に設定する際には、計算時間の理由から、時刻0で対称面上にある全ての粒子に対する運動条件と共に用いられることが強く推奨されます。
生成される最大ゴースト粒子数
ゴースト粒子はセキュリティ距離内隣接粒子を探索する毎に生成され、新しい探索の際に破壊されます(新しいゴースト粒子のセットが次に生成されます)。
どの探索時においても、任意の実際の粒子のセキュリティ距離内にある全てのゴーストが生成されます。
実際には、厳密に必要な追加の粒子が更に作成されます: iの
隣接の場合には、対称面Pに関して粒子Niに対する対称粒子Giが作成されます:
ここで、
と
は、
と
に関連したスムージング長さです。
対称平面を横切る実際の粒子がない限り(全ての実際の粒子が対称平面の同じ側にある)、この基準は全ての実際の粒子に対する全てのゴースト粒子をセキュリティ距離内に得るのに以下の理由で十分です:
右記の場合;
また、
従って、シミュレーション全体を通して対称面から離れたままでいると思われる粒子は対称化されません。このことは、1度に対称化される粒子の数の過剰見積もりにつながります。
粒子
Niが
n条件に対して対称化されなければならない際、粒子
Niはnゴースト粒子の誕生を与えます。以下の量は
Maxsphよりも小さいままである必要があります(v14.0.220以降、“
Maxsph”は無視され、メモリは動的に割り当てられます)。
(3)
ここで、
-
- 条件の数
-
- 右記の条件に関して対称化される粒子の数;
いずれにしても、デフォルト値は SPH 対称条件の数に粒子の数を掛けたもので、これはどんな問題を扱うのにも十分です。
Solid to SPHオプション(Sol2SPH)
Solid to SPHオプション(Sol2SPH)は、Langrangeの計算における時間ステップ / ロバスト性を向上させるため、物理的変更は伴わずに、ソリッド要素を粒子に変えることを可能にします。
時間ステップ
Radiossでは2つのSPH時間ステップ法が使用できます:
- 粒子時間ステップ(/DT/SPHCEL)
- 節点時間(/DT/NODA)
粒子時間ステップでは、安定性時間ステップは次のように計算されます:
(4)
ここで、
-
- 右記の粒子に関連したスムージング長さ;
-
- 右記の位置における音速;
(5)
時間ステップの係数
は、0.3に設定することが推奨されます。
節点時間ステップでは、安定性時間ステップは次のように計算されます:
(6)
ここで、
-
- 粒子の質量
-
- SPH相互作用に基づく剛性
時間ステップの係数
は、0.67に設定することが推奨されます。
熱解析
熱伝導は、SPH粒子と有限要素との間で使用可能となりました。ここで、/INTER/TYPE7および/INTER/TYPE21ではIthe=1; /THERM_STRESS/MATではSPH内の熱膨張も可能です。