磁気-熱連成: 一般情報

調査対象デバイス

磁気-熱連成シミュレーションは、モーター、変成器、バスバーなどの電気デバイスで使用することを目的としています。

アプリケーション:磁気

2D/3D磁気のFluxでは、次のアプリケーションで磁気-熱連成を使用できます

  • 次の2つのオプションのいずれかを指定したTransient Magnetic:
    • モーターの定常状態に関するスタディで、計算した損失の期間平均値をエクスポートするオプション
    • モーターの始動に関するスタディで、損失の瞬時値をエクスポートするオプション
  • Steady State AC Magnetic

Flux PEECでは、連成シミュレーション専用のアプリケーションとして

“Supplied conductors with thermal coupling”が存在します。このアプリケーションは、1つまたは複数の周波数で定義したSteady State AC Magneticアプリケーションに相当します。

アプリケーション: 熱

2D/3D熱のFluxでは、次のアプリケーションで磁気-熱連成を使用できます

  • Steady State Thermal
  • Transient Thermal

STAR-CCM+で関連するアプリケーションは次のとおりです:

  • Steady State Thermal

Fluxで実現する解析

磁気-熱連成はFluxのマルチフィジックスコンテキストから利用できます。Fluxでは、このコンテキストの名前が«cosimulations»になっています。

このコンテキストには、«cosimulations»を管理するために

新しいエンティティやボックスがあります。例:«exported data»、«imported data»など

連成シミュレーションのエンティティを定義すると、計算の延期や開始に使用する同期ファイルを介して、2つのソフトウェア(FluxとFluxまたはFluxとFluxに連成している他のソフトウェア)間の通信が自動的に制御されます。

この新しい機能によって、これまではシミュレーションのたびに作成する必要があったPythonスクリプトの編集が不要になっています。

Fluxでの連成シミュレーション専用の新しいエンティティ:

環境

形状、メッシュ、物理を定義し、解析シナリオを作成すると、Solving > Multiphysic solving sessionメニューからマルチフィジックスコンテキストを利用できます。

STAR-CCM+で実現する解析

STAR-CCM+では、連成シミュレーションのデータ導入を支援するために、«Simulation Assistant»ウィザードとして表示されるインターフェースが構築されています。その入力ウィンドウは、Fluxでの入力ウィンドウと同様です。

操作の自動同期

2つのソフトウェア間の同期はファイルによって次のように実行されます:

  • 動作しているソフトウェアによって、他方のソフトウェアに対する延期ファイルが生成されます。
  • ファイルによってデータがエクスポートされると、サードパーティソフトウェアによる計算を開始するための許可ファイルが生成されます。
  • 解析が収束に到達すると、反復計算を停止するためのファイルが生成されます。
  • 解析プロセスが終了した場合またはそのプロセスで問題が発生した場合は、停止ファイルが生成されます。

Fluxで計算してエクスポートするデータ

2D/3D Flux電磁プロジェクトから作業を開始して、次のように損失の体積密度をエクスポートします:

  • ジュール損失: 節点ごとにW/m3の単位で式dLossVがエクスポートされます。

  • Bertotti鉄損またはLS鉄損: 節点ごとにW/m3*の単位でエクスポートされます。

Flux PEECでは、ジュール損失の体積密度がW/m3の単位で計算され、エクスポートされます。

Fluxでは、損失の体積密度の値が連成シミュレーションのステップとともに変化します。これは、熱計算ステップごとに温度が更新され、温度依存性を持つ材料特性が変化するからです。次に例を挙げます。

または

図 1. 磁気損失

熱ソフトウェアで計算してエクスポートするデータ

熱ソフトウェアでは次のデータがエクスポートされます:

  • 節点ごとの温度(ケルビン単位)

熱ソフトウェアでは、温度場が連成シミュレーションのステップとともに変化します。これは、電磁計算が終了するたびに熱源が更新され、同様に損失も更新されるからです。

主なステップ

Fluxの電磁アプリケーションで連成シミュレーションを設定するための主なステップを次の表に示します(Fluxの熱アプリケーションでのステップもこれと同様です)。

ステップ 動作
0 プロジェクトを作成し、材料特性の温度依存性を考慮しながら物理を定義します。
1 解析シナリオによってマルチフィジックスコンテキストを開きます。
2 電磁領域で熱の計算箇所となる各節点をエクスポートします。
3 熱ソフトウェアの節点座標のファイルから、«multipoint supports»の作成を開始します。
4 エクスポートする量(ジュール損失や鉄損など)の式で構成した«multiphysics formulas»を作成します。
5 マルチフィジックス式やマルチポイント計算サポートなどを定義する«data to export»を作成します。
6 インポートした値などを受け入れる空間量と領域を定義した«data to import»を作成します。
7 連成シミュレーションのタイプ、収束の精度、エクスポートするデータとインポートするデータなどを定義した«cosimulation»を作成します。
8 連成シミュレーションを解析します。