Flux 2D/3Dで磁気プロジェクトを実行する手順

プレゼンテーション

本項では、熱ソフトウェアとの連成シミュレーションを目的としたFlux 2D/3D電磁プロジェクトの準備手順を示します。

ステップ0: プロジェクトの準備

プロジェクトの準備(形状、メッシュ、物理特性)。

注意: 物理特性の定義上、3Dの非メッシュ化コイルとより線コイル導体には、連成シミュレーション手法との互換性がありません。その場合はソリッド導体コイルを作成する必要があります。

実際、連成シミュレーションでは局所量(磁気プロジェクトの損失密度)のみが交換されます。コイル導体または非メッシュ化コイルを使用する場合は、領域容積による除算を手動で実行して全体量を変換する必要があります。

ステップ1:TKelvinの作成

最初のステップは«TKelvin»の作成です。これは、電磁メッシュの節点ごとに、熱プロジェクトから渡された温度の値を保存する事前定義の空間量です。そのためには、メニューParameter/Quantity > Spatial quantity > New spatial quantity Tkelvin for temperatureに移動します。

ステップ2:TKelvinに依存する特性を持つ材料の作成

事前定義の温度依存モデルまたはTKelvin温度に依存する式で定義した空間モデルを使用して材料を作成し、対応する領域に関連付けます。

  • 例1:銅巻線の抵抗率
    • モデルJ(E):“空間等方性抵抗率”
    • 式:

  • 例2:磁石の残留磁束密度
    • モデルB(H):“空間線形磁石”
    • このケースでは、全体座標系XYZ1*の3方向の成分で定義した3Dベクトルによって と定義します。

    • 例:

      ANGLEは、全体座標系でBrxを定義する角度

      IO(AngPos(ROTOR))は、メカニカルセットの回転角(この操作は運動を考慮するための一時的な処置です)

*ベクトルを定義する座標系を選択できない、現時点での制限事項です。座標系XYZ1に移行するには、事前に三角関数計算が必要になることがあります。

別の制限事項: 文字数に制限がある場合は、3つの空間量としてBrx、Bry、Brzを作成することをお勧めします。

ステップ3:マルチフィジックスコンテキストを開く

プロジェクトを定義した後、熱磁気連成シミュレーションに使用する解析シナリオを作成する必要があります。そのシナリオを使用してマルチフィジックスコンテキストを開くことができます。そのためには、メニューSolving > Multiphysic solving sessionに移動します。

注意:Steady state AC magneticでマルチフィジックスコンテキストを開くには、ボイドシナリオ(基準値を使用した解析シナリオと同等)を作成する必要があります。

ステップ4:電磁節点のエクスポート

電磁プロジェクトから先に、電磁メッシュの座標を以下のファイルにエクスポートします:

  • Flux-Flux連成シミュレーションのDEXファイル
  • Flux-STAR-CCM+連成シミュレーションのVTKファイル

これらのファイルを、電磁メッシュ上で計算と温度エクスポートができるようにするために熱プロジェクトにインポートします。

このステップから、磁気プロジェクトと熱プロジェクトを並行で進めて完了する必要があります。熱プロジェクトのステップ4は、このステップと並行で実行する必要があります。他のステップも同様に並行で実行します。

注意:メカニカルセット位置の選択と同様に、«基準の位置»を選択することをお勧めします。これにより、最初のステップの節点を取得でき、電磁プロジェクトと熱プロジェクトとで動作が異なる場合に発生する問題を回避できます。

該当のコマンドは、メニューParameter/Quantity > Export nodes of regionsから利用できます。

ステップ5:マルチポイントサポートの作成

電磁プロジェクトでは、以下を使用してマルチポイントサポートを作成します:

  • Flux-Flux連成シミュレーションで使用する熱メッシュ節点。損失計算とエクスポートは熱節点を対象として実行します(そのためには、熱節点をファイルにエクスポートしておく必要があります。ステップ4をご参照ください)。
  • Flux-STAR-CCM+連成シミュレーションで使用する磁気メッシュ節点。

コマンドは、Coupling tools > Multi point support > Newを介して使用できます。

ステップ6:マルチフィジックス式の作成

L'entité « formule multiphysique » correspond à la grandeur ou la formule qui sera calculée et exportée.Il existe :

  • 次のマルチフィジックス式が事前定義されています:
    • ジュール損失: 式“dLossV”に相当する量
    • Bertotti鉄損(入力を必要とする関連情報があります)
    • LS鉄損(入力を必要とする関連情報があります)
    • 温度:熱プロジェクトで使用
  • 1つのマルチフィジックス式である«空間式»を使用して式を選択できます。

注意1:マルチフィジックス式を作成すると、同じ名前の空間量が自動的に作成されます。これにより、計算した値を保存しておき、熱プロジェクトにエクスポートできます。

注意2:複数のマルチフィジックス式の合計に等しいマルチフィジックス式は機能しません。

マルチフィジックス式を作成するには、メニューCoupling tools > Multiphysics formula > Newに移動します。

ステップ7:エクスポートするデータの作成

エンティティ«Data to export»を使用すると、エクスポートの対象に関して次の情報を定義できます。

  • マルチフィジックス式の計算場所となるマルチポイントサポートと、サポートが領域に属しているかどうかを確認できる可能性(選択した領域で計算が確実に実行されるように、このオプションをチェックすることをお勧めします。特に、領域の境界で重要です)
  • 長さの単位、座標系、メカニカルセットの位置(上記のステップ4をご参照ください)
  • 関連するマルチフィジックス式

エクスポートする各データは、エクスポートされるファイルに対応します。*

* NB: エクスポートするデータの名前は、熱プロジェクトでインポートするデータの名前と正確に一致している必要があります。

エクスポートするデータを作成するには、メニューCoupling tools > Exported data > Newに移動します。

ステップ8:インポートするデータの作成

エンティティ«Data to import»を使用すると、インポートの対象に関して次の情報を定義できます:

  • インポートする値を保存する空間量: TKelvinを選択します
  • 空間量のインポート先となる領域
  • 長さの単位、座標系、メカニカルセットの位置(上記のステップ4をご参照ください)
  • インポート方法:«node to node»または«by proximity»。電磁メッシュの座標上で熱データを計算する場合は«node to node»を選択します。*熱メッシュ上で熱データを計算する場合は«by proximity»を選択します。**

前項で説明したように、インポートするデータの名前は、熱プロジェクトからのエクスポートとして定義した同等データの名前と正確に一致している必要があります。

*熱と磁気の幾何学的精度が大きく異なると«node to node»法は機能しないことがあります。

**電磁メッシュは熱メッシュよりも粗いので、電磁プロジェクトでは«by proximity»法を選択できます。しかし、熱プロジェクトでこの方法は選択できません。最も近い節点を選択できる最大半径を定義する距離を入力する必要があります。この距離には、上記で取り上げた単位を使用します。

インポートするデータを作成するには、メニューCoupling tools > Imported data > Newに移動します。

ステップ9:連成シミュレーションの作成

エンティティ«Cosimulation»を使用すると、連成シミュレーションに関する次の情報を定義できます:

  • 連成シミュレーションのタイプ: Fluxと連成するソフトウェアを定義します(Flux、STAR-CCM+、Fluent、その他の汎用連成シミュレーション)。
  • Transient magneticの場合は次のアプリケーションタイプを選択します:
    • Steady state: 電気的周期と同じ時間間隔を使用します。この間隔で損失が平均化されます。
    • Transient: 熱過渡プロジェクトとデータ交換を同期するために、データ交換ごとのステップ数«n»が要求されます(nステップごとにエクスポートが実行されます)。
  • データ交換のフォルダーとして、通信ファイルとエクスポート結果ファイルの両方を保存する場所を指定する必要があります。STAR-CCM+との連成シミュレーションでは、STAR-CCM+シミュレーションファイルの保存先です。
  • 収束の相対精度は、磁気プロジェクトまたは熱プロジェクトのどちらかでのみ入力できます(Steady State Thermal/Transient ThermalとSteady State Magneticの連成シミュレーションの注意をご参照ください)。通常は、インポートした温度の収束を確認するために電磁プロジェクトで定義します。相対精度値はデフォルト値(1%)に維持できます。

    STAR-CCM+との連成シミュレーションでは、Flux側で収束基準を定義できるほか、スタディ対象の熱量曲線が安定したことを確認したうえでSTAR-CCM+側から連成シミュレーションを手動で停止することもできます。

  • エクスポートするデータのリスト
  • インポートするデータのリスト

ステップ10:解析

すべてのエンティティを作成すると、両方のソフトウェアのそれぞれで連成シミュレーションの解析プロセスを開始できます。そのためには、メニュー次のメニューに移動します:Multiphysics solving > Solving the cosimulation > New