Fluxでの磁気-熱連成: 概要

説明

磁気-熱連成では、電磁気現象と熱現象間の相互依存関係が考慮されます。ソフトウェア間で結果が相互に送信されるため、各シミュレーションでこの相互依存関係を考慮することができます。

ニーズ

モーターなどの電気デバイスでは、デバイスサイズの縮小とデバイス効率の最適化に関する制約により、熱現象スタディと電磁気スタディが並行して行われます。これら2タイプの現象は相互に依存しているためです。

温度場が損失に与える影響は顕著です。温度上昇は、電気絶縁の劣化や磁石の減磁などを生じさせ、その結果としてデバイスの寿命を縮める可能性があります。

さらに、熱現象のスタディは複雑です。たとえば、モーター動作時の空隙レベルの熱交換をモデル化し、熱伝達係数を評価するには、流体の流れと流体への熱伝達を計算するための専用ソフトウェアが必要です。

このため、電気 / 磁気損失を計算するための専用ソフトウェアであるFluxと、流体力学と温度計算のための専用ソフトウェアであるSTAR-CCM+またはFluentの連成が、調査の精度を最大限に高めるための最適なソリューションとなります。

STAR-CCM+とFluent

STAR-CCM+はCD-adapco社製であり、FluentはAnsys社製です。

これらのソフトウェアはどちらも、CFDタイプ(計算流体力学)の熱モデル化ソフトウェアです。

CFDの調査の利点は、デバイスのホットポイントを正確に評価できることです。これは、同等の熱回路が使用される熱解析ツールでは不可能です。これらのソフトウェアは、熱対流伝達と流体の流れをモデル化でき、伝導、対流、放射による熱伝達係数に関して選択した入力データと冷却モードのための専用の熱環境を提供します。

これらのCFDソフトウェアでは、熱のモデル化は通常は3Dで行われるのに対して、電磁気スタディは2Dでシンプルに実行できます。Flux 2D–Star-CCM+の連成シミュレーションの例はFlux Supervisorに用意されています(“Co-simulation Flux/STAR-CCM+ for a motor”の例をご参照ください)。

図 1. STAR-CCM+
図 2. Fluent

AcuSolve

AcuSolveは、Altairが提供するCFD汎用ソルバーです。他のCFDツールとは異なり、

AcuSolveは有限要素法に基づいています。そのため、AcuSolveを他のFEAテクノロジ(有限要素解析)と強力にリンクさせ、Fluxのように、流体と構造間の複雑な相互作用とマルチフィジックス問題を解析できます。

前述のとおり、磁気-熱連成に対するニーズに応えるために、Flux-AcuSolve間の強力な連成 / 連成シミュレーションの実現に向けた取り組みが現在進められています。

現時点では、AcuSolveで読み取り可能なデータをFluxからエクスポートできます。

連成の設定

  • Flux-STAR-CCM+の連成が、両方のソフトウェアの担当チーム間の緊密なコラボレーションの結果として可能になりました。これにより、使いやすい専用インターフェースが作成されました。
  • Flux-Fluentの連成は、データ交換のためのFluentの既存機能を使用して設定されました。したがって、専用インターフェースは作成されていません。これら2つのソフトウェア間の通信を可能にするには、ユーザーが高度なコンピューターサイエンス知識を持っている必要があります。

連成:Flux磁気-Flux熱

STAR-CCM+とFluentの連成に使用されているのと同じ手法を利用して、磁気Fluxプロジェクトと熱Fluxプロジェクトの連成も可能です。

旧バージョンのFluxでは、この連成はPythonスクリプトを使用して可能でした。現在では、Fluxのダイアログボックスへのデータ入力と、完全に自動化されている新しい交換手法によって、この連成が可能になります。

この磁気-熱連成には、次のモジュールでアクセスできます:

  • 2D
  • 3D
  • Flux PEEC(電磁のみ、および3D熱モデルとの連成)*

*Flux PEECはFluxモジュールです(2018バージョンから導入)。これはPEEC法(Partial Element Equivalent Circuit)に基づき、電気工学とパワーエレクトロニクスにおける複雑な構造内の電流分布と付随する損失などを検証できます。