Transient Thermalと連成したTransient Magnetic

Transient Magnetic – Transient Thermal

次の場合に«Transient MagneticとTransient Thermal»との連成を使用できます:

  • 特にモーターの始動の検討で、過渡制御によって電磁問題が提示された場合。これによって、考慮すべき損失は瞬時値となります。
  • 時間によって変化する温度場に熱問題が関連している場合。

注意

一般的に、熱現象と電磁現象とではその時定数の大きさが根本的に異なります。この差異は、検討対象のデバイスに依存します。したがって、総計算時間がきわめて重要になります。

このことから次の措置をお勧めします:

  • 大きな差異が発生しない熱的応答時間と電磁的応答時間で特性を記述したモーターモデルを検討します。
  • 熱時間ステップとして、電磁時間ステップの倍数となる値を使用します(または、電磁時間ステップに熱時間ステップの倍数を使用します)。さらに、電磁データの交換と熱データの交換が同期するように、«cosimulation»ボックスで«Number of steps between each data exchange»を選択します。たとえば、熱時間ステップが電磁時間ステップの2倍であれば、電磁プロジェクトで2回の時間ステップごとにデータ交換が実行されるように選択します(次の図をご参照ください)。
  • 時間ステップが過剰に長くならないように、時間ステップの値などを慎重に選択します。

考慮対象外の鉄損

定常状態ではないTransient Magneticでは、鉄損の瞬時値を計算できません。したがって、連成シミュレーションで鉄損が考慮されません。

連成シミュレーションの進行

磁気過渡解析と過渡熱解析との連成シミュレーションで実装される内部ステップは次のとおりです。

ステップ 電磁 温度
0 初期温度はユーザーが設定 初期熱源項(損失)はNULL
1 現在の時間ステップtiでMagnetic Transientを解析*  
2 瞬時損失場をエクスポート  
    損失をインポート
3   ステップtiにおいて、Transient Thermalの解析
4   温度場をエクスポート
  温度場をインポート  
5 同じステップtiで、精度を基準として温度場解の収束を検証*  
6
  • 収束に到達した場合は、次の磁気時間ステップ(それに続いて熱時間ステップ)ti+1へ進む
  • 収束していない場合はステップ1に戻り、同じ時間ステップtiで反復
7 磁気プロジェクトと熱プロジェクトのすべての時間ステップで解析を完了すれば連成シミュレーションを終了

*上記の注意対策で説明したように、同じ時間ステップでデータ交換が確実に同期するように、ユーザー側でデータ交換ごとの時間ステップ数をcosimulationボックスで選択する必要があります。

**時間ステップtiでインポートした温度場の収束は、前回インポートした温度場との関連で検証されます。目的の精度に達していない限り、同じ時間ステップで解析ループを繰り返します。目的の精度に達していれば、電磁問題と熱問題は次の時間ステップに進みます。