等方性軟質磁性材料:ベクトルによる、ヒステリシスのJiles-Athertonモデル

概要

Fluxでは、材料の«ヒステリシス»モデルを使用して残留磁気を考慮できます。これにより、特に鉄損の計算精度が向上します。

リニアアクチュエーター、閉じた空隙があるアクチュエーター、円環などで効果的です。

Fluxでのヒステリシスモデル

Fluxで使用するモデルは、等方性でベクトルの静的*Jiles-Atherton(J-A)モデルです。

このモデルは、ユーザーが入力する5つのパラメータで定義します。これらのパラメータを以下の表に示します。

2Dと3Dの«磁気過渡»アプリケーションで、このモデルを使用できます。

パラメータ 物理特性
Msat 飽和磁化
a アンヒステリシス磁化の形状パラメータ
k ピニング係数
c 可逆壁運動係数
α ドメイン間結合を表す平均場パラメータ

表1. Jiles-Athertonモデルの5つのパラメータ

注: *Fluxでは、ヒステリシスを動的にモデル化するための作業を進めています。

ベクトルJ-Aヒステリシスモデル

スカラーモデルと比較したベクトルモデルの利点は、回転する磁束を扱うアプリケーションをスタディできることにあります。

J-Aモデルの優位性は、わずか5つのパラメータで定義できることです。さらに、これらのパラメータが材料の物理パラメータであることも利点です(Preisachモデルと異なり、数学的記述に基づいています)。

参考文献

Fluxに実装されているモデルは、Johan GyselinckとRuth V. Sabariegoによって構築されています。このモデルの技術的な詳細については、次の2点の文献をご参照ください。

  • J. Gyselinck, P. Dular, N. Sadowski, J. Leite and J.P.A.Bastos, “Incorporation of a Jiles-Atherton vector hysteresis model in 2D FE magnetic field computations – Application of the Newton-Raphson method”, COMPEL, vol. 23, no. 3, pp. 685–693, 2004.
  • J. Gyselinck, L. Vandevelde, J. Melkebeek and P. Dular, “Complementary two-dimensional finite element formulations with inclusion of a vectorized Jiles-Atherton model”, COMPEL, vol. 23, no. 4, pp. 959–967, 2004.