/MONVOL/FVMBAG2
ブロックフォーマットのキーワード 入力を/MONVOL/FVMBAG1のように簡素化した有限体積法エアバッグについて説明します。
- 個別の/MAT/GASカードで指定される気体材料
- 個別の/PROP/INJECT1または/PROP/INJECT2カードで指定される注入気体混合物とインジェクタープロパティ
フォーマット
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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/MONVOL/FVMBAG2/monvol_ID/unit_ID | |||||||||
monvol_title | |||||||||
surf_IDex | surf_IDin | Hconv | |||||||
mat_ID | Pext | T0 | Ittf |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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Njet |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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inject_ID | sens_ID | surf_IDinj |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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Nvent | Nporsurf |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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surf_IDv | Iform | Avent | Bvent | vent_title | |||||
Tstart | Tstop | IdtPdef | |||||||
fct_IDt | fct_IDP | fct_IDA | Fscalet | FscaleP | FscaleA | ||||
fct_IDt' | fct_IDP' | fct_IDA' | Fscalet' | FscaleP' | FscaleA' |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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fct_IDv | Fscalev |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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surf_IDps | Iformps | Iblockage | surface_title | ||||||
Tstart | Tstop |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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fct_ID_psV | Fscale_psV |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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Cgmerg | Tswitch | Iswitch | Pswitch | ||||||
定義
フィールド | 内容 | SI単位の例 |
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monvol_ID | モニター体積識別子 (整数、最大10桁) |
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unit_ID | 単位識別子。 (整数、最大10桁) |
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monvol_title | モニター体積のタイトル (文字、最大100文字) |
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surf_IDex | 外部サーフェス識別子 1 2 (整数) |
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surf_IDin | 内部サーフェス識別子 (整数) |
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Hconv | 熱伝達係数 17 (実数) |
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mat_ID | 初期気体材料識別子 (整数) |
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Pext | 外部圧力 (実数) |
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T0 | 初期温度 デフォルト = 295K(実数) |
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Ittf | 時間シフトフラグ 少なくとも1つの注入センサーが指定されている場合のみアクティブ。センサーで指定されているTTFの時間に注入が開始されたときの排気オプションと空隙オプションの時間シフトを決定します。
(整数) |
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Njet | インジェクタの数 (整数) |
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inject_ID | インジェクタプロパティ識別子 (整数) |
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sens_ID | センサーの識別子 (整数) |
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surf_IDinj | インジェクタサーフェス識別子(インジェクタごとに異なる必要がある) (整数) |
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Nvent | ベントホールの数 (整数) |
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Nporsurf | 多孔サーフェスの数 (整数) |
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surf_IDv | ベントホール領域サーフェス識別子 (整数) |
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Iform | 排気の定式化 5
(整数) |
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Avent | surf_IDv ≠ 0の場合: ベントホール面積に対するスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
surf_IDv ≠ 0の場合: ベントホール面積 デフォルト = 0.0(実数) |
||
Bvent | surf_IDv ≠ 0の場合: 衝撃を受けるベントホール面積に対するスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
surf_IDv = 0の場合: Bvent ベントホール面積に対し0にリセットされます。 デフォルト = 0.0(実数) |
||
vent_title | ベントホールのタイトル (文字、最大20文字) |
|
Tstart | 排気の開始時間 デフォルト = 0(実数) |
|
Tstop | 排気の停止時間 デフォルト = 1030(実数) |
|
ベントホール膜を開口する圧力差
デフォルト = 0(実数) |
||
圧力がPdefを超えてベントホール膜が開口するまでの最短時間 デフォルト = 0(実数) |
||
IdtPdef |
に到達した場合の時間遅延フラグ:
(整数) |
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fct_IDt | ベント面積スケールファクター対時間の関数の識別子。 (整数) |
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fct_IDP | ベント面積スケールファクター対圧力の関数の識別子。 (整数) |
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fct_IDA | ベント面積スケールファクター対面積の関数の識別子。 (整数) |
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Fscalet | fct_IDtのスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
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FscaleP | fct_IDPのスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
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FscaleA | fct_IDAのスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
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fct_IDt' | 接触時のベント面積スケールファクター対時間の関数の識別子。 (整数) |
|
fct_IDP' | 接触時のベント面積スケールファクター対圧力の関数の識別子。 (整数) |
|
fct_IDA' | 接触時のベント面積スケールファクター対被衝撃サーフェス面積の関数の識別子。 (整数) |
|
Fscalet' | fct_IDt'のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FscaleP' | fct_IDP'のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
FscaleA' | fct_IDA'のスケールファクター。 デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_IDv | 流出速度関数識別子(Chemkin モデル、Iform = 2の場合のみ) (整数) |
|
Fscalev | fct_IDvに対するスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
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surf_IDps | 多孔サーフェス識別子 (整数) |
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Iformps | 空隙率定式化
(整数) |
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Iblockage | 接触時の多孔からの漏れに対するブロックを指定するフラグ(Iformps > 0)
(整数) |
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surface_title | 多孔サーフェスのタイトル (文字、最大20文字) |
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fct_ID_psV | 流出速度対相対圧力関数識別子 (整数) |
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Fscale_psV | fct_ID_psVに対するスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
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Cgmerg | 全体結合の係数 16 デフォルト = 0.02(実数) |
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Tswitch | FVMからUP(均等圧力)定式化に切り替わるためのエアバッグの始動時間後の時間量。 20 デフォルト = 1e30 (実数) |
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Iswitch | FVMからUPに切り替わるためのフラグ
(整数) |
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Pswitch | FVMからUPへの切り替えをもたらすFV標準偏差圧力の平均圧力に対する割合。 22 デフォルト = 0.0(実数) |
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エアバッグタイムステップのスケールファクター Engineで/DT/FVMBAGを使用すると、この値を無効にします。 デフォルト = 0.9 |
||
エアバッグに対する最小時間ステップ。 Engineで/DT/FVMBAGを使用すると、この値を無効にします。 |
コメント
- エアバッグの外部サーフェスは、4節点シェル要素と3節点シェル要素のみで構築されている必要があります。/SURF/SEGオプションでエアバッグの外部サーフェスを定義することはできません(/SURF/SEGでサブサーフェスを定義した場合は、/SURF/SURFで定義することもできません)。
- 外部サーフェスは、法線が外向きの閉じたボリュームで構成される必要があります。
- モデルの正しい単位を、/BEGINで定義するか、unit_IDで参照しているローカルの/UNITで定義する必要があります。気体定数、注入速度、事前定義の気体材料は、モデルで定義している単位に基づいて設定されます。
- エアバッグ外側の空気の圧力と温度と、エアバッグ内部の空気の初期圧力と温度は、PextおよびT0に設定されます。
- ベントホールを通じた排気:
Iform = 1の場合、通気速度は、エアバッグ内の局所圧力を使用してBernoulli式によって計算されます。
流出速度は次の式で与えられます。(1) 質量の流出速度は次の式によって定義されます。
Iform = 2の場合、通気速度はChemkin式によって計算されます。(2) ここで、 はfct_IDvによって定義されます。
Iform = 3の場合、通気速度は、ベントホールサーフェスに垂直な局所流体速度の成分に等しくなります。局所密度と局所エネルギーが、穴を通過する流出質量と流出エネルギーの計算に使用されます。
- 気体注入をアクティブ化するセンサーが存在しない場合、時間TがTstartより大きくなるか、 で指定された時間よりも長い時間、圧力PがPdef値を超えると、ベントホールと空隙がアクティブになります。
- 少なくとも1つのインジェクターがセンサーでアクティブになっている場合、排気オプションと空隙オプションのアクティブ化はIttfで制御されます。
Tinjは、センサーによって最初のインジェクターがアクティブになる時間です。
Ittf = 0排気、空隙 アクティブ化 の場合に よりも長い時間、または 非アクティブ化 Tstop 時間依存関数 シフトなし Ittf = 3排気、空隙 アクティブ化 および の場合、 よりも長い時間、または 非アクティブ化 時間依存関数 右記によってシフト; 関連する他のすべての曲線は、対応する排気、空隙、または連結のオプションがアクティブな場合にアクティブになります。
Ittfの値の多様性は、これまでの経緯に起因しています。Ittf =1および 2の値は廃止されているので、使用しないでください。通常使用する値は、Ittf=0(シフトなし)またはIttf=3(関連するすべてのオプションがTinjだけシフト)です。
- surf_IDv ≠ 0(surf_IDvが定義されている)の場合、ベントホール面積は次のように計算されます:
(3) ここで、- サーフェスsurf_IDの面積v
- サーフェスsurf_IDの初期面積v
- 、 、
- fct_IDt、fct_IDPおよびfct_IDの関数A
- ベント閉鎖がアクティブになった場合、べントホールのサーフェスは次のように計算されます:
(4) (5) ここで、衝撃を受けるサーフェスは:(6) 衝撃を受けないサーフェスは:(7) ここで、ベントホールsurf_IDvの各要素eに対して、 は、要素を定義している節点 のうち衝撃を受ける節点の数を表しています。A0はサーフェスsurf_IDの初期面積v
ft、fP、およびfAは、fct_IDt、fct_IDP、およびfct_IDの関数。A
ft'、fP'、およびfA'は、fct_IDt'、fct_IDP'、およびfct_IDの関数。A'
- Chemkin排気の定式化(Iform=2)でsurf_IDv = 0(surf_IDvが定義されていない)の場合、Starterエラーが出力されてRadiossが終了します。
- 関数fct_IDtとfct_IDPを指定しなかった場合(識別子が0)、これらは1に等しいとみなされます。
- 関数fct_IDAは、指定されなかった場合、1であるとみなされます。
- ベントホールと多孔サーフェス領域の接触ブロックについては、対応するインターフェース(インターフェース/INTER/TYPE7または/INTER/TYPE23の3行目)でフラグIBAGを1に設定する必要があります。そうしなかった場合は、衝撃でインターフェースに押し込まれる節点は、AimpactedとAnon_impactedに関する前の式の被衝撃節点と見なされません。
- 空隙率定式化による漏れについて、質量の流出速度は次のように計算されます:
- Iformps = 1 (Isentropic - Wang Nefske)
- Iformps = 2
ここで、vは気体の流出速度(Chemkin)
- Iformps= 3 (Graefe)
有効な排気面積Aeffは、TYPE19またはTYPE58の繊維材料に関する/LEAK/MATの入力に従って計算されます。
- 漏れのブロックをアクティブにすると(Iblockage=1)、有効な排気面積は次のように変更されます:
(8) は衝撃を受けないサーフェスです。
ブロックがアクティブになるのは、関係する接触インターフェース(インターフェースTYPE7、TYPE19、およびTYPE23の行3)でフラグIBAGを1に設定している場合のみです。
- エアバッグの膨張プロセス中に有限体積がエラーになる(体積が負の内部質量になるか、エネルギーが負になる)場合は、計算を継続するために、その近傍のいずれかと結合されます。次の2つの結合アプローチが使用されます。
- 全体結合: 有限体積は、その体積がすべての有限体積の平均体積に特定の係数をかけた値より小さくなった場合に結合されます。フラグIgmergは、平均体積として現在の平均体積を使用するか(Igmerg =1)、初期平均体積を使用するか(Igmerg =2)を指定します。平均体積から最小体積を求めるための係数は、Cgmergです。
- 時間ステップで決まる結合: 有限体積に対する時間ステップが、/DT/FVMBAGに定義した値未満の場合、その有限体積は隣接する有限体積と結合されます。
- 失われた熱流量は次の式によって定義されます:
(9) - ベントホールのサーフェスの要素(surf_IDv)がインジェクター(surf_IDinj)に属している場合、この要素はベントホールから無視されます。t = 0の時点で計算される定数の補正係数fがベントホールのサーフェス全体に適用されます:
(10) - 多孔サーフェスの要素もインジェクタ(surf_IDinj)に属している場合、この要素は多孔サーフェスから無視されます。
- Tswitchを均等圧力に切り替える時間は、始動時間に比例します。
- オプションIswitch=2を使用すると、有限体積が1つしか残っていない場合でも、エアバッグは常に有限体積法で計算されます。気体パラメータは、単一の有限体積に切り替える前と後で同じです。一定圧力法(Iswitch=1)に切り替えた場合、圧力または気体に多少の変動が見られる場合があります。
- Pswitchは、エアバッグの平均圧力に対する有限体積圧力の平均偏差の比率です。
(11) この比率は、/TH/MONVOL変数UPCRITを用いて出力することができます。Pswitch は各有限体積内の圧力がエアバッグ内の平均圧力に近づくにつれてゼロに近づきます。