フロント内部ジャウンスバンパー

フロントサスペンションまたはリアサスペンションのショックアブソーバー(ストラット)の内部にあるジャウンスバンパーをシミュレートするには、内部jounce bumperシステムを使用します。このシステムでは、バンパーのフォース、リクエスト、およびグラフィックスを作成します。フォースは、ストラットロッドまたはショックロッドと、ストラットチューブまたはショックチューブとの間に作用します。バンパーは、XYZ座標ではなく、ストラット / ショックに沿った長さを使用して方向が指定されます。jounce bumperのフォース対たわみ特性は、jounce bumperシステムでカーブによって定義します。Assembly Wizardを使用して構築したモデルでは、jounce bumperシステムは、サスペンションシステムの子となります。



図 1. フルビークルにおけるフロント内部ジャウンスバンパー


図 2. ジャウンスバンパーのポイントと距離


図 3. ジャウンスバンパーのフォースとたわみのカーブ


図 4.
注:
  • システム内のフォース要素では、式を使用して、先端が接触点に到達したときにjounce bumperのオンとオフを切り替えます。
  • jounce bumperのカーブでは、デフォルトで線形外挿がオンになっています。シミュレーションが確実に行われるようにするには、フォースとたわみのカーブの値がシミュレーションで現れるフォースとたわみより大きくなるようにしてください。
  • システムでは、算出されたポイント配置を使用して、グラフィックスおよびフォース配置を定義します。そのフォース式では、ポイントに基づくマーカーを使用します。
  • jounce bumperのフォース対たわみカーブは、バンパーが接触点に触れたときに0.0になり、接触後はフォースが正の値、たわみも正の値のペアになります。
  • このグラフィックスは、jounce bumperのフォースが発生すると同時に、jounce bumperのグラフィック(円錐で表現されている部分)が接触面のグラフィック(平坦な丸いプレート)を通過し始めるように定義されます。
  • jounce bumperのフォースは“接触点”に作用し、ストラット(ショック)の軸方向に、ストラットロッド / ショックロッドとストラットチューブ / ショックチューブのボディとの間で作用する作用 / 反作用フォースとなります。
  • 減衰は無視されますが、追加することは可能です。
モデルを作成した後、以下の図に示すように、解析の各エンティティがProjectブラウザに表示されます。


図 5. Projectブラウザのビュー - フロント内部ジャウンスバンパー

カーブ

システムには1つのカーブが含まれています(Jounce Bumper 1)。jounce bumperのフォース対変位の挙動を、このカーブで定義します。カーブ上の0,0のポイントは、バンパーが接触サーフェスに最初に接触するポイントです。データは、必ず正象限である必要があり、必ずX方向とY方向の両方に増加する必要があります。

データセット

このシステムでは1つのデータセット(Jounce Bumper Lengths)が使用されており、そこにはjounce bumperシステムを定義する寸法が記述されています。2つの長さで、jounce bumperのグラフィックスおよびフォースを定義します。ショック長は計算値です。


図 6. Dataset Propertyダイアログ - Datasets - Jounce Bumper Lengths
Rod upper to bumper tip (mm)
jounce bumper先端のPointPairの座標を決定します。
Tip to contact dist. (mm) - clearance to be set manually in the curve x offset
jounce bumperの接触点のPointPairの座標を決定します。
Shock length (mm)
“ジャウンスバンパーの先端”および“ジャウンスバンパーの接触点”のPointPair座標を決定するパラメトリックな値です。

形式は次のとおりです:

sqrt((p_rod.l.x-p_tube.l.x)^2+(p_rod.l.y-p_tube.l.y)^2+(p_rod.l.z-p_tube.l.z)^2)



図 7. データセット - ジャウンスバンパーの長さ

フォース

フロント内部jounce bumperには、1つのフォースが存在します(jounce bumper)。これは、ストラットまたはショックアブソーバーの軸方向に、ストラットチューブおよびストラットロッドの間で並進方向に発生する作用-反作用フォースです。並進力の特性は非線形であり、カーブを使用して定義されます。


図 8. 主フォース - フロント内部ジャウンスバンパー

Forms

1つのフォームがフロント内部jounce bumperシステムで使用されています(jounce bumperの長さ)。このフォームは、jounce bumperの長さデータを変更する唯一の場所です。変更可能な2つのパラメータは、Rod upper to Bumper tip、およびTip to contact distanceです。


図 9. フォーム - ジャウンスバンパーの長さ

グラフィックス

2つのグラフィックスがフロント内部jounce bumperで使用されています(jounce bumperjounce bumper接触点)。jounce bumperはストラットロッド(上部ストラット)に、jounce bumper接触点はストラットチューブ(下部ストラット)に結合します。


図 10. ジャウンスバンパー、およびジャウンスバンパー接触点部分のグラフィックス

マーカー

フロント内部jounce bumperシステムでは、XZ平面を中心として対称な2つのマーカーが使用されています(フォース方向参照マーカーと変位参照マーカー)。

フォース方向参照マーカーはストラットチューブ上に、変位参照マーカーはストラットロッド上にあります。これらのマーカーは、jounce bumperシステムでフォースおよびリクエストの位置と方向を定義するために使用します。
マーカー 位置の説明 使用法
Force Direction Reference 原点は、ストラットロッド上部またはショック上部ブッシュとなります。

Z軸は、ジャウンスバンパーの接触点を指します。

ストラットチューブ(下部ストラット)またはショックチューブ(下部ショック)に結合されます。

jounce bumperのフォースは、このマーカーのZ軸方向に作用します。

jounce bumperフォースリクエストでは、この参照フレームにあるフォースがレポートされます。

Displacement Reference 原点は、ジャウンスバンパーの先端となります。

Z軸は、ストラットロッド上部またはショック上部ブッシュを指します。

ストラットロッド(上部ストラット)またはショックロッド(上部ショック)に結合されます。

jounce bumper変位リクエストは、この座標系で測定されます。

jounce bumperのフォース式では、フォースを計算するために方程式でこのマーカーが使用されます。



図 11. マーカー - フロント内部ジャウンスバンパー

Outputs

4つの出力リクエストがフロント内部jounce bumperシステムで使用されます(左jounce bumper変位、右jounce bumper変位、左jounce bumperフォース、およびjounce bumperバンパーフォース)。これらの4つのリクエストによって、8つの結果セットが生成されます。
Left Jounce Bumper Displacement
車両の左側でのjounce bumperの変位です。バンパー先端に相対するバンパー接点の変位、およびバンパー接触点に相対する接触部先端の変位がレポートされます。リクエストは両方とも、変位マーカー参照フレーム内にあります。
Right Jounce Bumper Displacement
サスペンションの右側でのjounce bumperの変位です。バンパー接触点に相対する接触部先端がレポートされます。リクエストは両方とも、変位マーカー参照フレーム内にあります。
Left Jounce Bumper Force
サスペンションの左側でのjounce bumperのフォースです。バンパーが動作しているとき、ボディが離れる方向にフォースが作用します。フォースは、フォース要素の両方のパートについてレポートされ、それらのフォースは同じ大きさで反対方向となります。
Right Jounce Bumper Force
サスペンションの右側でのjounce bumperのフォースです。バンパーが動作しているとき、ボディが離れる方向にフォースが作用します。フォースは、フォース要素の両方のパートについてレポートされ、それらのフォースは同じ大きさで反対方向となります。
jounce bumperの変位の出力例を以下に示します。


図 12.
jounce bumperのフォースの出力プロットの例を以下に示します。


図 13.

ポイント

フロント内部jounce bumperシステムでは、2つのポイントペアが使用されています。これらのポイントは、jounce bumperの先端とjounce bumperの接触点を作成するために使用します。これらのポイントは、そのX、Y、Zの位置を定義するパラメータロジックを備えています。ユーザーは、どのポイントも変更する必要はありません。


図 14. ジャウンスバンパーのポイントと寸法
以下の表では、その位置が内部にある状態のjounce bumper先端ポイントの座標値を示します。
座標
式(前方左)
X
p_rod.l.x+(p_tube.l.x-p_rod.l.x)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*ds_jnc_bmp.end_to_tip.value
Y
p_rod.l.y+(p_tube.l.y-p_rod.l.y)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*ds_jnc_bmp.end_to_tip.value
Z
p_rod.l.z+(p_tube.l.z-p_rod.l.z)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*ds_jnc_bmp.end_to_tip.value
上記の式で使用されている変数を、以下で説明します:
モデルでの対応ポイント
p_rod.l.x
Upper Rod Attachment Point – LeftのX座標
p_tube.l.x
Lower Tube Attachment Point – LeftのX座標
p_rod.l.y
Upper Rod Attachment Point – LeftのY座標
p_tube.l.y
Lower Tube Attachment Point – LeftのY座標
p_rod.l.z
Upper Rod Attachment Point – LeftのZ座標
p_tube.l.z
Lower Tube Attachment Point – LeftのZ座標
ds_jnc_bmp.shock_len.value
データセット内で定義されている合計ショック長値
ds_jnc_bmp.end_to_tip.value
データセット内で定義されている、ショックロッド上部からバンパー先端までの距離
以下の表では、内部に位置する場合の、Jounce Bumper Contactポイントの座標値を示します:
Coordinate
式(前方左)
X
p_rod.l.x+(p_tube.l.x-p_rod.l.x)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*(ds_jnc_bmp.end_to_tip.value+ds_jnc_bmp.tip_to_cont.value)
Y
p_rod.l.y+(p_tube.l.y-p_rod.l.y)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*(ds_jnc_bmp.end_to_tip.value+ds_jnc_bmp.tip_to_cont.value)
Z
p_rod.l.z+(p_tube.l.z-p_rod.l.z)/ds_jnc_bmp.shock_len.value*(ds_jnc_bmp.end_to_tip.value+ds_jnc_bmp.tip_to_cont.value)
上記の式で使用されている変数を、以下で説明します:
モデルでの対応ポイント
p_rod.l.x
Upper Rod Attachment Point – LeftのX座標
p_tube.l.x
Lower Tube Attachment Point – LeftのX座標
p_rod.l.y
Upper Rod Attachment Point – LeftのY座標
p_tube.l.y
Lower Tube Attachment Point – LeftのY座標
p_rod.l.z
Upper Rod Attachment Point – LeftのZ座標
p_tube.l.z
Lower Tube Attachment Point – LeftのZ座標
ds_jnc_bmp.shock_len.value
データセット内で定義されている合計ショック長値
ds_jnc_bmp.end_to_tip.value
データセット内で定義されている、ショックロッド上部からバンパー先端までの距離
ds_jnc_bmp.tip_to_cont.value
データセット内で定義されている、バンパー先端からバンパー接触点までの距離

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