3D Spline Road

3Dスプライン路面を使用すると、サーキットや駐車スペースなど、各種の滑らかな3次元路面を定義できます。タイヤの曲率よりも小さい曲率の路面が存在すれば、それは滑らかな路面として定義されます。

また、3Dスプライン路面では、滑らかな路面上に配置した3次元の路面障害物をモデル化できます。センターライン、幅、バンク角、路面左右の摩擦レベルで路面が定義されます。

路面のセンターラインの座標は、3次元空間に任意の線を作成することで指定できます。路面の断面は平坦であることが前提となっており、その断面で路面の幅とバンク角をデータポイントごとに指定できます。また、路面の左側と右側の摩擦レベルを指定できます。

3Dスプライン路面障害物のタイプ

  • POTHOLE
  • RAMP
  • PLANK
  • ROOF
  • SINE
  • SWEEP

障害物の設置

障害物は“移動距離”の手法に基づいています。各障害物のSTARTキーワードは、テーブルでこのキーワードが指定されている場所のスプラインの座標を基準として、障害物の相対的な開始距離を示します。したがって、0を指定した場合は、障害物が直ちに現れることを意味します。添付されている3Dスプライン路面サンプルでは、OBSTACLE1のSTART値が0であるため、x,y = 5,0で障害物が現れ始めます。

キーワード

全体キーワード
すべての障害物に必要なキーワードは次のとおりです:
キーワード 説明
START 障害物の開始位置。
'0.0 0.0 0.0'
局所座標系。
'0.0'
距離で定義した障害物。
LENGTH 障害物の長さ。

LENGTHは路面の長さ方向に定義します。

ROAD_TYPE 障害物タイプ。
注: 上記の各データは、障害物のタイプに関係なく、.rdfファイルで指定する必要があります。
POTHOLE
四角形状の単独の穴。

ROAD_TYPE = 'POTHOLE'の場合は、‘DEPTH’キーワードを指定する必要があります。DEPTHに正数を指定すると路面の凹部であることを示し、負数を指定すると路面の凸部であることを示します。

以下のような穴のテーブルを、対応する項目を使用して追加します。
キーワード 説明
DEPTH 正数または負数で指定した、障害物の深さ。


図 1. 穴の図解
RAMP
単独のランプ。立ち上がりのランプまたは立ち下がりのランプを指定します。
ROAD_TYPE = 'RAMP'の場合は、以下の各パラメータを指定する必要があります。
キーワード 説明
HEIGHT ランプの高さ。
SLOPE ランプの傾斜(単位: 度)


図 2. ランプの図解
PLANK
x軸に垂直かx軸に対して傾斜した単独のプランク。ベベルエッジを設定することもできます。
ROAD_TYPE = 'PLANK'の場合は、以下の各パラメータを指定する必要があります。
キーワード 説明
HEIGHT プランクの高さ。
BEVEL_EDGE_LENGTH BEVEL_EDGE_LENGTHが0未満の場合、3Dスプライン路面では、ベベルエッジの代わりにラウンドコーナーが使用されます。この場合、BEVEL_EDGE_LENGTHはコーナーの曲率半径を示します。


図 3. エッジを持つプランクの図解


図 4. ラウンドコーナーを持つプランクの図解
ROOF
ルーフ型の三角形状障害物。
ROAD_TYPE = 'ROOF'の場合は、以下の各パラメータを指定する必要があります。
キーワード 説明
HEIGHT ルーフの高さ。
LENGTH 三角形ルーフ底面の長さ。


図 5. ルーフの図解
SINE
波長が一定の正弦波形状。
ROAD_TYPE = 'SINE'の場合は、以下の各パラメータを指定する必要があります。
キーワード 説明
AMPLITUDE 正弦波の振幅(A)。
WAVE_LENGTH 正弦波の波長()。
START 正弦波の開始地点(移動距離)(s_s)。

路面プロファイルの高さzは次の式で求められます。



図 6. 正弦波の図解
SWEEP
ROAD_TYPE = 'SWEEP'の場合は、以下の各パラメータを指定する必要があります。
キーワード 説明
AMPLITUDE_AT_START 開始時の正弦波の振幅()。
AMPLITUDE_AT_END 終了時の正弦波の振幅()。
WAVE_LENGTH_AT_START 開始時の正弦波の波長()。
WAVE_LENGTH_AT_END 終了時の正弦波の波長()。
SWEEP_TYPE SWEEP_TYPE = 0の場合は周波数が線形変化します。

SWEEP_TYPE = 1の場合は周波数が対数変化します。

SWEEP_TYPEの値に応じて、路面プロファイルの高さは次の関数で求められます。
線形スイープ
距離sに対して周波数が線形変化します。路面プロファイルの高さzは次の式で求められます。

対数スイープ
周期ごとに波長が一定の係数で減少します。路面プロファイルは次の式で求められます。

ここで、

は、開始時のssを起点とした、理論上周波数が無限大になる距離です。



図 7. スイープの図解

3Dスプライン路面プロパティファイル

MDI_HEADER
データ[MDI_HEADER]の最初のブロックはTeimOrbitファイルを記述しています。
[MDI_HEADER]
FILE_TYPE = 'rdf'
FILE_VERSION = 5.00
FILE_FORMAT = 'ASCII'
{COMMENTS}
'User entered comments go here'
キーワード 説明
FILE_TYPE ファイルタイプ。
FILE_VERSION ファイルのバージョン。このファイルに変更が発生するとバージョンが変更されます。
FILE_FORMAT データのフォーマット。TiemOrbitでは必ずASCIIです。
{COMMENTS} ファイルの概要を記述したコメント。このファイルで表現している路面やデータの取得日時などを記します。
単位の詳細
[UNITS]ブロックでは路面の単位を定義します。
[UNITS]
LENGTH	= 'meter'
FORCE 	= 'newton'
ANGLE 	= 'radians'
MASS 	= 'kg'
TIME 	= 'sec'
[UNITS]
キーワード 説明
LENGTH 長さの単位。
FORCE フォースの単位。
ANGLE 角度の単位。度またはラジアン。
MASS 質量の単位。
TIME 時間の単位。
モデルの詳細
[MODEL]ブロックでは、路面モデルと路面のバージョンを定義します。
[MODEL]
METHOD	= '3D_SPLINE'
VERSION 	= 1.00
[MODEL]
キーワード 説明
METHOD 3D_SPLINE
グローバルパラメータ
[GLOBAL_PARAMETERS]ブロックでは、路面全体に適用できるパラメータを定義します。
[GLOBAL_PARAMETERS]
CLOSED_ROAD = 'NO'
SEARCH_ALGORITHM = 'FAST'
ROAD_VERTICAL = '0.0 0.0 1.0'
FORWARD_DIR = 'NORMAL'
MU_LEFT = 0.5
MU_RIGHT = 0.6
WIDTH = 5.000
BANK = 0.0
[GLOBAL_PARAMETERS]
キーワード 説明
CLOSED_ROAD 路面が閉じているか開いているかの指定。
YES
路面は閉じています。
NO
路面は開いています。
FORWARD_DIR 路面の前方方向の指定:
NORMAL
路面データポイントで指定された方向に車両が移動します。
INVERT
路面データポイントで指定された方向とは逆の方向に車両が移動します。
MU_LEFT センターラインを基準とした、路面左側の路面摩擦値。[GLOBAL_PARAMETERS]ブロックで指定した路面摩擦は、[DATA_POINTS]ブロックで指定した路面摩擦値よりも優先して適用されます。
MU_RIGHT

センターラインを基準とした、路面右側の路面摩擦値。[GLOBAL_PARAMETERS]ブロックで指定した路面摩擦は、[DATA_POINTS]ブロックで指定した路面摩擦値よりも優先して適用されます。

WIDTH

路面の幅。ここで指定したWIDTHは、[DATA_POINTS]ブロックで指定したWIDTH値よりも優先して適用されます。このパラメータを設定していても、[DATA_POINTS]でWIDTHパラメータを指定する必要があります。このパラメータが不要な場合は、路面データファイル(.rdf)で省略してもかまいません。

BANK

路面センターラインの左側と右側の各データポイントで路面が成す傾斜角。バンク角がゼロの場合は幅方向の線が水平になっています。この値が正の場合は、ISO参照平面に対して路面が時計回転方向に傾斜しています。

ここで指定した寸法は、[DATA_POINTS]ブロックで指定したBANK値よりも優先して適用されます。この寸法を指定していても、BANK値を指定する必要があります。この寸法が不要な場合は、.rdfファイルで省略してもかまいません。

データポイントの情報
[DATA_POINTS]ブロックには、表形式で路面情報を記述します。

エントリごとに以下の情報を指定する必要があります。

[DATA_POINTS]
{ X Y Z WIDTH BANK MU_LEFT MU_RIGHT OBSTACLE}
[DATA_POINTS]
キーワード 説明
X サンプリングした路面データポイントのX座標。
Y サンプリングした路面データポイントのY座標。
Z サンプリングした路面データポイントのZ座標。
WIDTH サンプリングしたポイントでの路面幅。
BANK サンプリングしたポイントでの路面の角度。この値が正の場合は、ISO参照平面に対して路面が時計回転方向に傾斜しています。
MU_LEFT サンプリングポイントでのセンターラインを基準とした、路面左側の路面摩擦。
MU_RIGHT サンプリングポイントでのセンターラインを基準とした、路面右側の路面摩擦。
OBSTACLE 障害物の情報を記述したブロックの名前。このエントリは省略可能です。