導電媒質の記述

Magneto StaticとTransient Magneticの相違点

Transient MagneticアプリケーションとMagneto Staticアプリケーションの主な相違点は、以下のどちらを考慮するかにあります:

  • 時間変化する電流源
  • 導電領域で発生すると考えられる誘導電流

Magneto Staticアプリケーションでは次のようになります:

導体内部の電流は、時間変化しない連続した伝導電流で、導体断面での電流分布は均一です(Jが一定で空間位置によって変化しません)。

Transient Magneticアプリケーションでは次のようになります:

導体内部の電流は以下のいずれかになります:

  • 時間変化する伝導電流(正弦波や台形波など)
  • 誘導電流

また、導体断面での電流分布は以下のいずれかになります:

  • 均一(Jが一定): 表皮効果は無視でき、近接効果はありません
  • 不均一(Jが一定ではない): 表皮効果があり、近接効果が顕著です

さまざまな物理条件での例を下の表に示します。

電流 表皮効果
伝導電流

無視可能(Jが均一)

変成器一次巻線の細線タイプコイル

あり バスバーなど
誘導電流または渦電流

無視可能(Jが均一)

変成器二次巻線の細線タイプコイル

あり 誘導機の回転子バー、変成器磁心の積層

Fluxでの導体タイプ

前述したさまざまな物理特性をモデル化するために、さまざまなタイプの導体が用意されています。Fluxでのさまざまな導体について以下で説明します*。

  • コイル導体(またはコイル)は、基本絶縁ワイヤの直径が表皮厚さに比べて小さいために表皮効果がごくわずかな、電流が流れている導体です。このタイプの導体では、その断面全体で電流密度が一定と見なされます。
  • ソリッド導体は、表皮効果が明らかな導体(バー、厚いストリップ)です。導体断面での電流密度は均一ではありません。

能動導体と受動導体の相違

Flux 3Dでは導体は次のように見なされます:

  • ファラデーの法則によって電流が間接的に供給されている場合は受動導体。
  • 電流源または電圧源から電流が直接供給されている場合は能動導体。

さまざまな導体タイプの例を下の表に示します。

Flux導体 電流
より線導体 能動 伝導電流 変成器の一次コイル
受動 誘導電流 変成器の二次コイル
ソリッド導体 能動 伝導電流 ソリッドバスバー
受動 誘導電流 誘導機の回転子バー、変成器の積層