準-静的解析の注記事項

準-静的解析(/IMPL/QSTAT)実行の際、剛性マトリックスの正定値特性が、慣性マトリックスを含むことにより補強されます。付加剛性は質量、慣性と時間ステップの関数です。より小さな時間ステップではより大きな剛性となります。加えて、付加質量マトリックスに対するスケーリングファクターが、キーワード/IMPL/QSTAT/DTSCALを通して定義できます (この係数は時間ステップと同様に、この付加されるマトリックスに反比例します)。非線形解析では、これは収束のスピードに影響するだけですが、線形解析では、(1ステップの)時間ステップを注意深く選択する必要があります(小さすぎると結果を大きく変える危険性があり、大きすぎると正定値でないマトリックスとなり得ます)。

このオプションは、接触インターフェースによる結合だけからなるモデルの様に、他の解析タイプではうまくいかない場合に非常に適しています。線形準-静的解析は、ハイレベル(陽解法解析に対しても)のモデルチェックとして用いることもできます。大きすぎない時間ステップを用いて、モデルが正確に拘束されていてもいなくても常に解を得ることができます。

陰解法解析のアクティブ化で述べたように、/IMPL/QSTAT/DTSCAL/IMPL/LINEAR/INTER(2ステップ)と共に用いられた時、そのスケールファクターは第2ステップにのみ適用されます。このスケーリングファクターと終了時間を注意深く選択することにより、最初のステップで正しい接触を見つけ、最後のステップでの(付加された剛性による)誤差を最小化することができます。

この手法を用いた典型的な例題としては、重力を受けるフルカーとダミーで、ダミーが接触のみで車両と結合されている初期状態のシミュレーションがあります。最初のステップの接触検索の間にパート間の大きな変位が生じないように短い終了時間が定義されると、静的解を得るために第2ステップでは大きな準-静的スケールファクターが適用されます。