時間領域差分法(FDTD)

時間領域差分法FDTD)は、全波形時間領域の解析方法です。フーリエ変換を適用して、ネイティブ時間領域の結果を周波数領域に変換します。

時間領域差分法FDTD)による解析手法は、計算電磁気学(CEM)で広く使用されるようになっています。このように普及している理由の多くは、その定式化が比較的わかりやすいことにあります。その定式化では、オフセットを適用した2つの直線構成グリッドに対して、時間と共に変化する電界と磁界を計算します。この手法では、中心差分を使用してマクスウェルの方程式を近似できます。また、一次数値微分を使用して二次精度を実現できます。

この解析方法は、不均質性が高い材料を扱う問題に最適であることから、人体模型をモデリングする生物医学用途で広く使用されています。また、広帯域を扱う問題で高い効率が得られるので、広帯域アンテナの解析に適しています。パルス励振を使用した単一のFDTDシミュレーションを使用して、アンテナの広帯域周波数応答特性を求めることができます。

また、GPUなどのアクセラレーターを使用した高速処理をはじめとする、さまざまな並列化手法でも効果的です。


Figure 1. GSMアンテナのFDTDボクセルメッシュ。