MILSの入力 / 出力ファイルのフォーマット
概論
MILSで要求される入力データは、ASCIIフォーマットの一連のテキストファイルによって提供され、各テキストファイルには、磁気測定値(磁束密度Bと磁気強度Hの値)と1つの周波数値が含まれています。個別のファイルは、特定の磁化サイクルにさらされた鋼板の試料で測定されたフルB-Hヒステリシスループに対応しています。
さらに、測定値は定常状態で取得される必要があります。すなわち、測定されたヒステリシスループに過渡現象が含まれていてはいけません。LS同定用の入力データを取得するために必要なテストベンチの詳細については、参考文献をご参照ください。
これらの測定値は、適切な実験装置を使用して取得する必要があります。この実験装置は、鋼板の試料で作られたエプスタインフレームからなり、制御された電圧源によって駆動されるものとします。電圧源は、強磁性試料に対して調整可能な周波数と振幅の磁束密度B(t)の三角波を生じさせるように駆動される必要があります。
最初の磁化曲線の入力ファイルフォーマット
- 1列目には磁界強度値H(A/m)が含まれています。
- 2列目には磁束密度値B(T)が含まれています。
静的 / 動的測定値の入力ファイルフォーマット
- テキストファイルの1行目にはヘルツ(Hz)単位の単一周波数値が含まれており、この周波数は供給源により課せられた三角波B(t)の周波数と同じです。また、この周波数は、材料のフルヒステリシスループを完了するために要する期間にも相当します。
- テキストファイルの2行目以降の各行は、1つの時間ステップを表しており、2つの値を含んでいます。1つ目は磁界強度H(A/m)であり、2つ目はその時間ステップの磁束密度B(T)です。
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この測定ファイルは、定常状態の単一のループを表す必要があり、200以上の時間ステップまたはB-Hペアを含んでいる必要があります。
注: 1ファイル内の時間ステップ数について上限はなく、この数を増やしても総計算時間には影響はありません。その一方で、MILSによってこのファイルから復元されたBとHのベクトルが同じ長さになるように、入力ファイルの各行または各時間ステップは、1つのB-Hペアで構成される必要があります。
MILSの入力 / 出力ファイルのフォーマット 下記は、10HzにおけるヒステリシスループのB-H測定値が含まれたMILS入力ファイルの例を示しています。
鋼板の完全なLSモデル同定には、以下の2セットの入力ファイルが必要です:
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静的同定の場合: 低周波数B(t)の三角波を印加する実験装置で測定されたヒステリシスループを含むファイルのセット。このセットの各ファイルは、異なるピーク磁束密度値を持つ1つの三角波に対応しています。LSモデルの同定で使用されるファイルのセットには、少なくとも3つのファイルまたはピーク値:0.5T、1T、およびシート材料の飽和磁束密度が含まれている必要があります。
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動的同定の場合: 複数の(静的同定の周波数より高い)周波数でB(t)の三角波を印加する実験装置で得られたB-H測定値を含むファイルセット(ピーク磁束密度はシート材料の飽和に対応しています)。
- 最初のパネルに読み込まれるフォルダー:Static_Identification内の静的測定値ファイル。
- 静的同定の実行後に最初のパネルに読み込まれるフォルダー:Static_Validation内の検証の静的測定値。
- 2つ目のパネルに読み込まれるフォルダー:Dynamic_Identification内の動的測定値ファイル。
- 3つ目のパネルに読み込まれるフォルダー:Global_Validation内の全体検証の測定値ファイル。
出力ファイルのフォーマット
MILSでLSモデルの同定が正常に実行されると、3つの出力ファイルが作成されます。これらのファイルは、Report Generationパネルを使用して同定の最終ステップで作成されます。これらのフォーマットを以下にまとめます:
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鋼板のLSモデルを含む.milsファイル。このファイルをFluxにインポートすることで、後で鉄損の計算で、積み重ねられたシートからなる磁性領域のヒステリシス挙動を表すことができます。
- LSモデルの同定のレポートを含む.txtファイル。
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さまざまな周波数でさまざまなピーク磁束密度値について、LSモデルを使用して評価された損失値(W/kg)を提供する.xls Excelファイル。