衝突についてのボルトのモデル化

ボルトの結合のモデル化、およびより詳細な結果精度のモデル化には、さまざまな方法があります。
  • 剛体ボルト
  • スプリング(およびプリテンション)を含む剛体ボルト
  • スプリングおよびプリテンションを含む可変形ボルト
  • 初期応力を含む可変形ボルト


図 1. ボルトモデル化の手法

剛体ボルト

ボルトがリンクされるパートに結合される1つの剛体(/RBODY)を使用するのが最も簡単な方法です。この方法は非常に安定しており、モデル化も容易ですが、ボルトのプリテンション、弾塑性、および破断挙動を考慮することはできず、力の出力はなく、穴を通過するボルトヘッドのモデル化はできません。


図 2. 剛体ボルトモデル化の手法
注: メイン節点はフリーの節点である必要があります。

スプリング(およびプリテンション)を含む剛体ボルト

ボルトにリンクされる各パートセットに結合される2つの剛体(/RBODY)を使用し、両方の剛体間にスプリング要素(/PROP/SPR_BEAM)を設定します。この方法では、任意の方向での弾塑性および破断挙動を記述することができ、/TH/SPRINGを使用して、ボルトを通過する力(垂直力、せん断力、モーメント)を出力することも可能です。この方法は、自動車の衝突解析によく使用されますが、プリテンションのモデル化機能は限定されます。


図 3. スプリングを含む剛体ボルト
注:
  1. メイン節点はフリーの節点である必要があります。
  2. スプリング要素は、セカンダリ節点として剛体に付加されます。
この方法でプリテンションを記述するには、2つのスプリング要素(/PROP/SPR_PRE/PROP/SPR_BEAM)を追加する必要があります。プレロードのシミュレーションには/IMPDISPまたは/CLOADを使用できます。Radiossにより自動平衡状態が計算されます。


図 4. スプリングを含むプリテンションのモデル化

スプリングおよびプリテンションを含む可変形ボルト

ボルトはソリッド要素(/BRICKまたはその他のソリッド要素タイプ)でメッシングされ、中央で切断されています。メッシングされたボルトの各側に結合された2つの剛体、および上記のような剛体間の一連のスプリング(/PROP/SPR_BEAMによる2つのスプリングと/PROP/SPR_PREによる1つのスプリング)が、プリテンションの記述に使用されます。この詳細なモデルでは、穴を通過するボルトヘッドをシミュレーションで考慮することができます。


図 5. スプリングおよびプリテンションを含む可変形ボルト

初期応力を含む可変形ボルト

この方法では、ボルトがソリッド要素(/BRICK)で完全にメッシングされ、より現実的となっており、材料および破壊特性が容易に定義できます。/SECTを使用して、ボルト内の断面力 / モーメント(/TH/SECT)が取得されます。プリテンションを定義するには、初期解析(ボルトの引張り試験)を行うための初期応力(/INIBRI/STRS_F)が必要です。


図 6. 完全にメッシングされた可変形ボルト
注:
  1. 破断および応力の精度は、メッシュサイズに依存します。
  2. 穴を通過する力の測定には、ボルト内の断面力が必要です。