このセクションでは、MotionViewでのパワートレインのMDL記述について説明します。
エンティティ
- エンジンとクラッチボディ
- このボディは、エンジンとクラッチの集中質量と慣性を表します。デフォルトでは、このボディに‘b_engine’と‘b_clutch’の2つのタグを持つ2つのアタッチメント候補があります。
- このボディの集中質量と慣性が、自身のモデルのとおり正しくセットアップされている必要があります。
注: この時点では、エンジントルクとクラッチトルクが発生した結果、このボディに生成される反作用トルクは、モデルで計算も適用もされていません。
- エンジンマウント
- デフォルトでは、パワートレインモデルには3つのエンジンマウントが含まれます。これらのマウントは、パワートレインが取り付けられるアタッチメントボディである‘Powertrain attach body’に結合されています(以下のセクションの説明を参照)。エンジンとクラッチボディは、各マウント位置においてブッシュを介してアタッチメントボディに結合されています。
- ユーザーは、マウントの座標値を指定することにより、アタッチメントボディ上のマウントの位置を与える必要があります。ブッシュの向きは、各マウントに対応したベクトルを使って指定しなければなりません。
入力とアタッチメントのタグ
CSEパワートレインモデルは、車両の他の部分とのインターフェース用として、下記の入力を必要とします:
入力アタッチメント |
タイプ |
説明 |
アタッチメントタグ |
Throttle Demand |
ソルバー変数 |
車両のドライバーによるスロットル要求を表す0から1までの連続信号(スロットル信号係数によってスケーリングされる)。 |
sv_throttle_demand |
Clutch Demand |
ソルバー変数 |
車両のドライバーによるクラッチ要求を表す0から1までの連続する信号(クラッチ信号係数によってスケーリングされる)。0は完全に接続されたクラッチ、1は完全に切り離されたクラッチ、中間値は部分的接続のレベルを表します。 |
sv_clutch_demand |
Transmission Speed |
ソルバー変数 |
クラッチのギアボックス側におけるトランスミッションの速度 [rad/sec] を表す連続信号。 |
sv_transmission_speed |
Gear Demand |
ソルバー変数 |
車両がその時点で駆動しているギアを表す整数信号。 |
sv_gear_demand |
Powertrain Attach Body |
ボディ |
パワートレインが取り付けられるべきボディ。 |
b_pwr_attach |
出力とアタッチメントの候補
制御状態方程式の出力は、7つの要素で構成されるソルバー配列であり、これはタグ‘
pwr_out’を持つアタッチメント候補です。ソルバー配列の要素は以下のとおり:
要素 |
内容 |
単位 |
1 |
スロットルポジション |
[0-1] |
2 |
エンジンスピード |
[rad/sec] |
3 |
クラッチスリップ |
[rad/sec] |
4 |
クラッチスリップ速度 |
[rad/sec2] |
5 |
エンジントルク |
[Model Units] |
6 |
クラッチトルク |
[Model Units] |
7 |
静止時のスロットルポジション |
[0-1] |
モデルパラメータ
異なる寸法とタイプのエンジンとクラッチをモデル化するために、エンジンとクラッチモデルはパラメータ化されます。パラメータは、ソルバー配列を用いてCSEに入力されます。これらのパラメータは、アセンブリ内に存在するData Setを用いて設定することが可能です。
パラメータは下記の通り:
表 1. クラッチのパラメータ
パラメータ |
説明 |
Units |
Clutch Capacity |
クラッチが完全に接続されている際に伝え得る最大トルク。 |
[Nmm] |
Clutch Stiffness |
クラッチの剛性。 |
[Nmm/rad] |
Clutch Damping |
クラッチの減衰。 |
[Nmm/rad2] |
Clutch Open |
これより大きいとクラッチが完全に切り離されているとみなされるクラッチ信号の値。* |
[単位なし] |
Clutch Closed |
これより小さいとクラッチが完全に接続されているとみなされるクラッチ信号の値。* |
[単位なし] |
Clutch Tau |
クラッチ時間定数 – クラッチが開いている際のクラッチ-スリップの時間定数(Anti-Windup)。 |
[sec] |
Clutch Scaling |
[オプション] 入力クラッチ信号が[0 ~ 1]スケールでスケーリングされる値(デフォルトは1.0)。 |
[単位なし] |
* 0 <= Clutch Closed < Clutch Open <= Clutch Scaling
表 2. エンジンのパラメータ
パラメータ |
説明 |
Units |
Engine Inertia |
エンジン内の回転パートの複合有効慣性。 |
[kgm2] |
Rev Limit |
達成し得る最大エンジン速度。 |
[rad/sec] |
Engine Torque Map |
エンジントルクマップのパスを保持するreference_stringのID。 |
|
Idle Speed |
自由回転エンジンのエンジン速度。 |
[rad/sec] |
Stall Speed |
[オプション] エンジンストールするエンジン速度(デフォルトは0.0)。 |
[rad/sec] |
Throttle Scaling |
[オプション] 入力スロットル信号が[0 ~ 1]スケールでスケーリングされる値(デフォルトは100.0)。 |
[単位なし] |
Anti-Stall Flag |
[オプションOptional] 1に設定されている場合、アンチエンジンストールスロットルモジュレーションが、エンジンストールに近いエンジン速度で作動(デフォルトはスイッチオフ)。 |
|
Rev-Limiter Flag |
[オプション] 1に設定されている場合、エンジンがレブリミットに到達すると、レブリミッターがスロットルをカットする(デフォルトはスイッチオフ)。 |
|
Limit Engine Speed derivative |
[オプション] 値 > 0 である場合、は与えられた値で飽和となり、値 < 0 の場合は無効(デフォルトは無効) |
[rad/sec2] |