テンソル結果

一般的に、HyperViewではグローバル座標系、解析座標系、および要素座標系(Nastranのような座標系)でテンソル結果をサポートしています。

解析座標系の場合は、Abaqusによる解析で方向または変換座標系がモデルデータとして定義されます。Abaqusのデフォルトでは、すべてのシェル要素と膜要素の結果がローカルの面内座標系で表現されます。また、大規模な変形解析では、要素の材料方向が変化する可能性があります。したがって、AbaqusのODBファイルには、モデルに定義された*ORIENTATION座標系や*TRANSFORM座標系に関する情報が記述されていません。代わりに、ローカル座標系によるすべての結果に、対応する座標系の方向余弦が記述されています。


図 1.
ODBファイルのすべてのテンソル結果は、時間とともに変化する可能性のあるローカルの材料座標系で記述できます。その結果、HyperViewによって、各テンソル結果から次の2つのデータタイプが作成されます:
  • ODBファイルから直接読み取ったローカル結果で構成するスカラーグループ。
  • ローカル結果から変換したグローバル結果で構成するテンソルグループ。

これらのグローバルデータのタイプ名には、プリフィックスとして“-Global-”が付加されます。たとえば、要素応力に2つのデータタイプとしてS-Stressコンポーネント(s)とS-Global-Stressコンポーネント(t)があるとします。ローカルのスカラーグループでは、ODBファイルからすべてのコンポーネントと有効なインバリアントを直接取得します。グローバルテンソルには、変換されたグローバルコンポーネントおよびHyperViewで計算されたインバリアントのセットが存在します。テンソルデータタイプのコンポーネントと主軸は、Tensor Plotパネルで表示できます。

HyperViewの座標系オプションとして、Global、Analysis、Elemental、およびUser-definedがあります。
Global
節点のDOF方向または要素の材料方向はグローバル座標系で表現されます。
Analysis
解析座標系は、モデルで定義したローカルのDOF方向に関連付けられた座標系(節点の場合)またはローカルの材料方向に関連付けられた座標系(要素の場合)です。これは、Abaqusの*TRANSFORM座標系または*ORIENTATION座標系と等価です。ただし、Abaqusでは、大規模な変形解析の場合、これらの座標系が時間とともに回転することがあります。そのため、ODBファイルでは、これらの座標系がモデル情報と見なされません。代わりに、節点結果は必ずグローバル座標系で表現され、要素結果には、時間の増分ごとに、対応する座標系の方向余弦が記述されます。その結果、解析座標系のHyperViewでは、ODBファイルからデータが入力されません。また、Abaqusの結果には解析座標系のオプションが影響しません。
Elemental
要素座標系は、平面要素(シェルや膜など)のサーフェス上で定義されたデフォルトのローカル座標系です。Abaqusでは、要素のサーフェスに対するグローバル軸の投影を使用して、これらの面内座標系が定義されます。大規模な変形解析では、これらのデフォルトのローカル座標系が時間とともに回転することがあります。その結果、HyperViewのElemental systemオプションにはAbaqusの要素座標系が適切に反映されません。むしろ、この要素座標系は、Nastranの要素座標系に似た座標系です。
User-defined
ベクトル結果をユーザー定義の座標系に変換します。このオプションは、INPファイルから*SYSTEM座標系、*TRANSFORM座標系、または*ORIENTATION座標系をHyperViewに読み取るときに使用できます。