ここではシミュレーション結果の質をチェックするための方法について記されています。計算が失敗しなかった場合でも、3つの基本的な保存則が守られていることは検証する必要があります。時間ステップの変化と結果の量的な評価はモデル化のエラーを避ける手助けとなります。
エネルギーバランス
外力の仕事を考慮に入れると、全エネルギーは一定を保つか若干減少する必要があります。スプリングバック計算の最後または初めの1回目のサイクルでは増加する可能性もあります。
Internal energy + Kinematic energy + Hourglass energy + Contact Energy + … =
Variation of the External Work
低減積分要素が用いられた場合、全アワグラスエネルギーは全エネルギーの10%より低く保たれる必要があります。そうでない場合、メッシュが再編集されるか要素に物理安定化手法が用いされるべきです。
接触エネルギーは実際の物理的なものではありません。それぞれのサブセットとパートに関して、次の制限が推奨されます:
(1)
ここで、
-
- アワグラスエネルギー
-
- 接触エネルギー
-
- 全エネルギー
Radiossで計算されるエネルギー誤差は以下のとおりです:
(2)
ここで、
-
- 並進運動エネルギー
-
- 回転運動エネルギー
-
- 内部エネルギー
-
- 外部仕事量
-
- 初期並進運動エネルギー
-
- 初期回転運動エネルギー
-
- 初期内部エネルギー
-
- 初期外部仕事量
誤差は、負になる、または減少する必要があります(スプリングバックのステージの最初のサイクルを除く)。誤差は計算の最後で15%より小さい必要があります(良いモデルでは5%以下です)。誤差が若干増加しても、次に減少するのは正常です。誤差が増加する場合、これは問題が起きていることを意味します。その後、計算が失敗したメッセージ共に、エラーが 99.9%に達します。
質量バランス
質量が増加した場合、その変化はそれぞれのサブセットとパートで1%より小さくなる必要があります(
)。質量変化が1%と3%の間の場合は、質量が増加された節点が動いているか止まっているかをチェックしてください。動いている場合、付加された質量は運動エネルギー増加をもたらします。変化が3%より大きい場合、結果はおそらく悪いものになっています。
運動量バランス
Newton則による動的つり合いがそれぞれの時間ステップの最後で満足されます。
Radiossはそれぞれのサイクルでつり合い方程式を解いているので、通常、運動量バランスは満足されます。しかしながら、問題がある場合は、節点加速度とインパクター力(インターフェース、剛壁、バリアなど)とのクロスチェックは問題をより良く理解するための手助けとなります。
(3)
時間ステップ変化
時間ステップが減少しても、すぐに上がる場合は問題ありません。ある1サイクルから次のサイクルで急激に変化する場合、インターフェースの剛性によるかもしれません。
時間ステップが小さいままの場合、問題が発生しています。このケースでは、時間ステップをコントロールしている節点(または要素)を見つけ、なぜ現象が起きているのかを理解してください。
変形したパートの視覚的検査
いくつかのアニメーションファイルを得た後、構造の全体の変形を物理挙動と比較することができます。変形形状を検証して以下を確認します:
- 飛んでいる節点(パート)がない
- 変形形状が滑らかである
- 隣接する要素間のコード角度が十分に小さい
- 交差がない
次の場合、良い物理挙動が得られます:
- 塑性ひずみが30%より小さい(4)
意味のない結果
接触力、von Mises応力、節点速度、および加速度は注意深くチェックする必要があります。値に意味がない場合(例えば、von Mises 応力 = 1 GPa)、最初に単位系の一貫性をチェックする必要があるかも知れません。詳細については、Appendixをご参照ください。