材料 / 破断

Engine出力ファイルのHashin破壊情報

/FAIL/HASHIN + /PROP/TSH_COMP + Isolid=14を使用している場合、Engine出力ファイルにFAILURE LAYERとして記述される積分点の数は、プロパティで定義している積分点に依存します。

例:

FAILURE LAYER # 11 ELEMENT # 1763 HASHIN MODE # 6 AT TIME #: 3.6405803218587E-0

出力ファイルに記述される積分点の数ijkFAILURE LAYERの数との対応関係は、プロパティの記述により決まります。各平面で定義する積分点の数および厚み全体での層の数をプロパティで指定します。

例えば、平面内に2x2の積分点、また8つの板厚全体に渡る層が定義されている場合、積分点の数は2x2x8=32になり、出力ファイルには32個のFAILURE LAYERが現れます。
  • FAILURE LAYER # 1~FAILURE LAYER # 8は、平面内の1つ目の積分点の位置にある、各層を通るすべての積分点を意味します。
  • FAILURE LAYER # 9~FAILURE LAYER # 16は、平面内の2つ目の積分点の位置にある、各層を通るすべての積分点を意味します。
  • FAILURE LAYER # 17~FAILURE LAYER # 24は、平面内の3つ目の積分点の位置にある、各層を通るすべての積分点を意味します。
  • FAILURE LAYER # 25~FAILURE LAYER # 32は、平面内の4つ目の積分点の位置にある、各層を通るすべての積分点を意味します。


    図 1.

LAW24の材料パラメータ

LAW24を使用するために最低限必要なデータは、以下の方法で取得できます:
  • 試験体の計量によって得られる密度
  • 円柱圧縮試験によって得られるヤング率
  • ポアソン比(通常は約0.2を想定)
  • 立方体圧縮試験によって得られる圧縮強度‘fc
LAW24の他のすべての入力値には、コンクリートで一般的なデフォルト値が用意されています。ただし、次の追加の試験を実施することで、材料LAW24の精度が高くなり、破壊エンベロープと良好に適合します:
  • 引張試験から‘ft’を取得します:

    ft’は直接引張強度です。この試験によって、LAW24の‘ft/fc’値が得られます。

  • 割裂引張試験から(fst, Ht)のペア値を取得します:

    この試験は“圧裂試験”とも呼ばれます。

    fst’は割裂引張試験における割裂引張強度です。ft=0.71fstと想定されています。つづいて、‘Ht’の値を検証することにより、破壊限界に適合するようにこの試験をモデル化する必要があります。割裂引張試験でのソリッドプロパティにはIsolid=24も推奨されます。

  • 2軸試験から‘fb’を取得し、拘束試験から(f2,s0)を取得します。

試験データが用意されていない場合は、必ずLAW24のデフォルト値を使用することをお勧めします。

詳細については、RD-E:4701 Kupfer試験でのコンクリートの検証をご参照ください。

応力 / ひずみの入力

Radiossの弾塑性則では、真応力と塑性真ひずみとの関係を関数で定義します。この関係は、実験で得られた引張試験曲線を変換することで得られます。詳細については、RD-E:1100 引張試験をご参照ください。

弾塑性ではない他の材料則の中には、/MAT/LAW38 (VISC_TAB)/MAT/LAW69/MAT/LAW70 (FOAM_TAB)/MAT/LAW90のように工学応力対工学ひずみ曲線を使用するものがあります。

警告ID 519および520

WARNING ID: 519
** WARNING IN SANDWICH SHELL INITIALIZATION
SHELL (ID=…) MASS (TYPE NUMBER …) 
SUM OF LAYER MASS DIFFER FROM TOTAL
WARNING ID: 520
** WARNING IN SANDWICH SHELL INITIALIZATION 
SHELL (ID=…) INERTIA (TYPE NUMBER …)
POTENTIAL INSTABILITY DUE TO LAYER INERTIA DISTRIBUTION

Radioss v14で導入された改善により、これらの警告は発生しなくなりました。これより古いバージョンのRadiossの場合、/PROP/TYPE11 (SH_SANDW)を使用しているシェル要素によってこの警告が発生します。

これらのメッセージは、各層の特性(位置、板厚、関連付けられた材料)から計算された質量(または慣性)が、パートに関連付けられているグローバル材料およびプロパティTYPE11で指定されているシェルの総板厚から計算された質量(または慣性)と等しくないことを意味します。

実際、シェルの節点に分散される要素の質量meおよび慣性Iは各層の特性から正しく計算されます:(1)
m e = ( j = 1 , N p j t j ) S
ここで、
S
シェル要素の面積
N
層数
p j
右記の層の密度; j
t j
右記の層の厚み; j
I = j = 1 , N p j t j S ( S + t j 2 12 + z j 2 )
z j
シェル要素の中央面への距離

安定性タイムステップは、シェルのグローバル特性から計算されます。これは、シェルに対して計算された質量と慣性が、グローバル材料の密度とシェルプロパティで指定された総板厚から計算された質量と慣性に十分に近くないと保証されません。このため、グローバル特性から計算された質量(または慣性)に関して、相対エラーが1%より大きいと、これらのメッセージが発行されます。

安定性を保証するには、グローバル材料に対するヤング率を、すべての層に関連付けられている材料の最大ヤング率以上に設定することが推奨されます。

LAW25の破壊出力

LAW25を使用している場合は、次の破壊メッセージがEngine出力に書き込まれることがあります。
FAILURE-1
1つ目の方向の最大引張ひずみに対する基準 ε m 1 に到達
FAILURE-2
2つ目の方向の最大引張ひずみに対する基準 ε m 2 に到達
FAILURE-P
基準 W p max (破断に対する最大塑性仕事)に到達

いずれの場合も、関連する要素IDおよび破断した層の番号が書き出されます。

要素が削除されると(要素の各層の破断およびパートに関連付けられているグローバル材料に対するフラグIoff - 合計要素破壊基準 - により異なる)、以下のメッセージが書き出されます:
RUPTURE OF SHELL ELEMENT …

ソリッド要素の削除と塑性ひずみ破壊

最大塑性ひずみ ε p m a x を使用して材料則で破壊を定義している場合、要素が削除されるかどうかはその材料則に依存します。

材料則2、4、22では、応力テンソルの偏差部分のみがゼロに設定され、ソリッドの内部圧力は引き続き計算され、要素は削除されません。

材料則3、23、28、36では、 ε p m a x に達すると、ソリッド要素が削除されます。

ビーム要素の破壊の削除

LAW36とLAW2の最大ひずみ破壊基準は、ビーム要素には使用できません。ビーム要素の全ひずみが計算されないからです。これにより、最大ひずみに基づいたどの破壊基準もビームには使用できません。

グローバル積分

/PROP/SHELL内で積分点N=0である場合、グローバル積分アプローチが使用されます。

弾塑性則の場合、グローバル積分を計算するには、塑性の降伏基準を合応力で記述する必要があります。その利点は、N=3を使用した場合と同様に計算負荷を軽減できることにあります。

欠点は、厚み全体にわたって材料の挙動が同じになることです(特に載荷と除荷で顕著です)。

簡潔な荷重ケースであれば、グローバル積分手法を使用することで、計算時間を短縮すると同時に高い計算精度を実現できます。

厚み全体にわたって載荷と除荷がさまざまな形態で発生する複雑な荷重ケースの場合、グローバル積分手法では結果の精度が不足することがあります。

グローバル積分には次のような制限があります。
  • グローバル積分(N=0)は、材料則1、2、22、36、43および60とのみ、適合性があります。
  • 破壊モデルはシェルのグローバル積分では使用できません。
  • 状態ファイル(/INISHE/INISH3Nを生成する/STATE/DT)はグローバル積分と適合性がありません。

したがって、このような場合はグローバル積分の使用はお勧めできません。代わりに、厚み方向にN=5つの積分点を指定することをお勧めします。

V44までは、シェルの場合、材料LAWは積分点を使用しませんが、グローバル定式化(N=0)に切り替わります(積分点の数Nがいくつであっても)。

したがって、V44までは、1つの積分点のみの使用、膜のみの挙動でこの材料則を使用する術はありません。

回避策: 積分点および非常に大きい降伏応力にはLAW2を使用します。V51では、シェルについて材料則LAW1は、プロパティ内で1つの積分点が求められる際を除いてグローバル定式化を使用し、膜のみの挙動が起こります。
注: これは、V44以前とV51のバージョン間における結果の差異を説明します。

LAW1はグローバル積分(/PROP/SHELL内でN=0またはN > 1)、膜定式化(/PROP/SHELL内でNP=1)にのみ使用が可能です。グローバル積分オプション(RadiossN=0)は、板厚方向の積分を数値的に考慮することなく、結果の応力(F1、F2、F12、M1、M2およびM12)を(古典的なひずみ、応力と共に)直接計算します。したがって、SX_JJ、SY_JJ、SXY_JJ、SYZ_JJ、SZX_JJとJJ=1、99について/TH/SHELL内に値はありません。(よくある質問内のシェル応力テンソルのアニメーション出力をご参照ください)LAW2の場合、Iplasのデフォルト値とグローバル積分(シェルプロパティ内でN=0)は、Iplas =2: ラジアルリターンです。

LAW36の場合、Iplasのデフォルト値とグローバル積分(シェルプロパティ内でN=0)は、Iplas =1: 反復投影です。

サイレントEuler境界条件

サイレントEuler境界条件を定義するには、次のオプションを使用します。
  • /MAT/LAW51Iform=6(多相材料モデリングの場合)
  • /MAT/LAW11Iform=3または/EBCSGRADP0,…)(単相材料モデリングの場合)

通常は、数個のパラメータ設定のみで十分です。

境界要素と共有する要素フェイスに垂直になるようにメッシュの対流方向を作成すれば、高精度な結果を期待できます。