プロパティと要素

ERROR ID:28(/PROP/TYPE16の場合)

バージョン2017より前のRadiossでは、このエラーは、/PROP/TYPE16で層の数N1より大きい値に設定されていること示します。この問題を解決するには、N1に設定します。

/PROP/CONNECTのひずみ定式化

/PROP/CONNECTは、/MAT/LAW59 (CONNECT)/MAT/LAW83に対してのみ使用されます。この要素定式化は、法線方向とせん断方向への要素の相対的な伸びに基づいています。これにより、要素の時間ステップが要素の高さに依存しなくなります。要素の高さは0にすることもできます。
注: 材料の剛性は、法線方向とせん断方向に設定されています。材料には横方向の剛性はありません。したがって、/PROP/CONNECT要素の節点を、直接またはタイド接触を通じていくつかのLagrangeコンポーネントに必ず結合することをお勧めします。
/PROP/TYPE43 (CONNECT)内のパラメータIsmstrは、応力から節点力を計算する方法を指定します。Ismstr=1の場合は、要素の初期中央領域が計算に使用されます。Ismstr=4の場合は、要素の現在の中央領域が使用されます。Ismstr=1を使用すると、結合要素を結合先の要素から分離したときに発生する時間ステップの減少を防止できます。この減少が発生すると、結合要素が横方向に広がることがあります。

層の板厚と位置の計算

/PROP/TYPE11プロパティと/PROP/TYPE16プロパティでは、ThicktiIposの各オプションが層の板厚と位置に影響します。

Ipos = 0:

層の位置Ziは層の板厚に関係なく自動的に計算されます。

層の板厚の合計が入力値Thickと異なると、警告メッセージが表示されます。つづいて、Radiossによって層の板厚と位置が調整されます。

例 1

シェルの板厚Thick(1.8)は、入力に存在する層の板厚合計値(0.5+0.6+0.5=1.6)と等しくはなりません。

計算では、入力した層の板厚合計値(1.6)がRadiossによって使用され、式   ti = ti _ input T h i c k t i _ i n p u t によって各層の板厚が調整されて自動的に更新されます。

各層の位置も、新しい層の板厚に基づいて調整されます。


図 1.


層の補正板厚は、以下のように計算されます:
層の補正板厚 層の位置
ti = ti _ input T h i c k t i _ i n p u t  
t 1 = 0.5 1.8 1.6 = 0.5625 Z 1 = ( Thick 2 t 1 2 ) = ( 1.8 2 0.5625 2 ) = 0.61875
t 2 = 0.6 1.8 1.6 = 0.675 Z 1 = 0
t 3 = 0.5 1.8 1.6 = 0.5625 Z 3 = Thick 2 t 3 2 = 1.8 2 0.5625 2 = 0.61875


図 2.
注: 局所Z軸によって、シェルの中央の位置が決まります。Ziの値は局所Z軸における実際の層の位置であることから、Ziの値として正と負の両方が許可されます。


図 3.

Ipos= 1:

要素板厚内のすべての層の位置Ziは、ユーザー定義されていなければなりません。
  • 複数の層が同じ位置を共有するために重なり合う場合は、警告メッセージが表示されます。そのような場合、層の板厚も補正されます。
例 2

Ipos=1で、層の位置Ziが未設定または0.0である場合、層はすべて同じ位置にあり、重なり合っています。

計算中、Radiossは最も厚い層の板厚(0.6)を取り、各層の板厚を ti = ti _ input T h i c k T h i c k n e s s   o f   t h i c k e s t   l a y e r で補正します。

各層の位置は補正されません。


図 4.


層の補正板厚は、以下のように計算されます:
層の補正板厚 層の位置
ti = ti _ input T h i c k T h i c k n e s s   o f   t h i c k e s t   l a y e r
t 1 = 0.5 1.8 0.6 = 1.5 Z 1 = 0
t 2 = 0.6 1.8 0.6 = 1.8 Z 1 = 0
t 3 = 0.5 1.8 0.6 = 1.5 Z 1 = 0


図 5.
  • 複数の層が僅かな重なりまたはギャップを有している場合、警告のメッセージが表示されます。そのような場合、層の板厚と層の位置も補正されます。
例 3

Ipos=1で、層がわずかに重なり合うようにZiの値を設定した場合は、層の板厚と層の位置が自動的に調整されます。

計算時に、層の上側サーフェスとその上の層の下側サーフェスとの距離がRadiossによって次のように計算されます。(1)
Dist = | ( Z 1 + t 1 2 ) + ( Z 3 + t 3 2 ) | = | ( 0.5 + 0.6 2 ) + ( 0.5 + 0.6 2 ) | = 1.6
この距離を使って、各層の板厚を ti = ti _ input T h i c k D i s t で計算します。


図 6.




層の補正板厚は、以下のように計算されます:
層の補正板厚 層の位置
ti = ti _ input T h i c k D i s t  
t 1 = 0.6 1.8 1.6 = 0.675 Z 1 = Thick 2 t 1 2 = 1.8 2 0.675 2 = 0.5625
t 2 = 0.6 1.8 1.6 = 0.675  
t 3 = 0.6 1.8 1.6 = 0.675 Z 3 = ( Thick 2 t 3 2 ) = ( 1.8 2 0.675 2 ) = 0.5625
注: 局所Z軸によって、板厚シェルの中央の位置が決まります。Ziはユーザー定義であるため、層はその定義に従ってスタックされます。


図 7.

“Zero or Negative Volume”(ゼロまたは負の体積)

Starterが停止して次のメッセージが表示されます。
** ERROR:  ZERO OR NEGATIVE 3D SOLID VOLUME
ZERO OR NEGATIVE VOLUME 3D-ELEMENT NB 1


図 8.

複数のソリッド要素を全面的に積分した要素を使用している場合、その要素は各積分点に関連付けられたサブ体積に分解されます。要素が大きく変形している場合は、要素の総体積が正であっても1つのサブ体積が負になることがあります。この問題を修正するには、パートを再メッシュ化するか、積分点が1つの要素に切り替えます。

シミュレーション中に、Engineによって次のメッセージが出力されます。
WARNING ZERO OR NEGATIVE VOLUME: 3D-ELEMENT ID: 1330, TOTAL (SMALL) STRAIN OPTION 
IS USED BY ELEMENT

このメッセージは、要素の体積がゼロまたは負であることを示しています。その場合、通常は解析が停止します。微小ひずみ定式化に自動的に切り替えることで、解析を停止せずに続行できます。幾何学的に全面的に非線形なひずみ(Ismstr = 2、4)を要素で元々使用していた場合、微小ひずみへの切り替えでは、負の体積が発生する前のサイクルにおける要素形状が使用されます。Lagrange型全ひずみ(Ismstr = 10、12)を要素で元々使用していた場合、全ひずみへの切り替えではtime=0.0における要素形状が使用されます。この自動切り替えを無効にするには、Engineオプション/NEGVOL/STOPを使用します。

シミュレーションが停止して、次の警告またはエラーメッセージが表示されることがあります。
Zero or Negative Volume

ソリッド要素の変形が大きく、その特性長が0に近付いた結果、要素の体積がゼロまたは負になると、このメッセージが表示されます。このエラーメッセージが出力される前には、その要素の時間ステップが短くなっていることがわかります。

大ひずみ定式化の場合は、要素を圧縮すると、その要素の時間ステップがゼロに近付きます。


図 9.

この問題を解決するには、まずモデルにある各材料プロパティが正しいことを確認します。多くの場合、この問題の原因は、入力した材料プロパティが誤っているために材料が過剰に軟化していることにあります。

時間ステップの短縮と負の体積の発生を防止するには、ソリッドプロパティまたは/DEF_SOLIDオプションでIsmstrを2または12に設定します。次に、Radioss Engineファイル(Runname_0001.rad)で/DT/BRICK/CSTオプションを使用して、ソリッド要素が微小ひずみに切り替わる時間ステップ値を設定します。ここで指定する時間ステップとして、/DT/NODA/CSTで一定値として指定されている時間ステップの1/2から1/4をお勧めします。

つまり、Ismstr =2を使用するソリッド要素は、タイムステップが Δ T min より大きい間は大ひずみ定式化を使用し、このタイムステップ値になると小ひずみ定式化を使用します。Ismstr = 12を使用するソリッド要素では、時間ステップが Δ T min より大きい状態ではLagrange型全ひずみ定式化が使用されますが、時間ステップがこの値になると全微小ひずみ定式化に切り替わります。

これにより、要素の体積は一定になり、要素はその方向を反転させることが可能になります。一部の材料(特に粘性材料)を除いて、通常は時間ステップの短縮が停止します。

シェルの板厚にわたる積分点

使用する積分点が1つのみの場合は、膜のみの挙動が得られます(V44まではLAW1が例外となります)。この挙動を使用して、曲げ剛性がない繊維をモデル化できます。

材料が弾性の場合は、3つの積分点によって正確な解が得られ、曲げモーメントはシェルの板厚全体で正確に積分されます。

塑性に至る変形の場合は、曲げモーメントは正確に積分されず、正確な解を得るには積分点を多くする必要があります。したがって、5つの積分点の使用をお勧めします(/PROP/SHELLN=5とします)。


図 10.

シェルプロパティのさまざまな結果

材料が同じで、板厚全体にわたる積分点が同じシェル要素でも、使用するシェルプロパティに応じて結果が異なることがあります。/PROP/SHELL/PROP/SH_ORTHで使用される板厚方向の積分によって、3つの積分点が使用されている弾性ケースで曲げモーメントを正確に積分するための積分点と重みが決定されます。

/PROP/SH_COMP/PROP/SH_SANDWで使用する積分スキームは段階を追った方法であり、各層の中心の積分点が、その層の相対的な板厚に対応する重みを加味して使用されます。層の数が数個の場合や各層の板厚に大きな差異がある場合は、弾性フィールドでエラーが発生します。この問題を回避する1つの方法は、厚い層を分割することです。ただし、層の破断をモデル化する場合には、この方法は一般的にあまり適していません。


図 11.
  • 弾性ケース:
  • 応力は板厚方向に線形です。すなわち、荷重の段階的な積分は正確ですが、モーメントは σ ( z ) zでzが2次になっていることから、段階的な積分は正確ではありません。

QEPHシェルとBelytschkoシェル

荷重タイプ(準静的または動的)にかかわらず、弾性荷重や弾塑性荷重ではQEPHシェル(Ishell=24)の方が正確です。Belytschkoシェル(Ishell=1-4)ではアワグラスが出現することが普通です。

メッシュが十分に細かい場合は、QEPHシェル(Ishell=24)の方が正確な結果が得られます。粗いメッシュを使用している場合、この定式化では剛性が高すぎて、いくつかの局所的な座屈現象が見逃される可能性があります。粗いメッシュの場合は、Belytschkoシェル(Ishell=4)の方が正確な結果が得られることが普通です。

Null Diameter SPH ERROR 174

MESSAGE ID :          174
** ERROR : NULL DIAMETER FOR SPH PARTICLE ID=52032255

このメッセージは、SPH粒子が圧縮されすぎて直径がゼロになったためにこのエラーが発生したことを意味します。

ほとんどの場合、間違った単位で入力するなどの入力ミスが原因です。質量、密度、直径、粒子ピッチの整合性を確認することをお勧めします。材料の入力が正しいかどうかも確認してください。

粒子の直径を見るためには、“Diameter”アニメーションコンターは粒子について常に有効です。