自重で垂れ下がっているケーブルの懸垂曲線

モデル概要

モデルの場所: <altair>\utility\mbd\nlfe\validationmanual\model6.mdl

このモデルは、Aにおける固定支点とBにおけるカラーの間に取り付けられた長さ20mのワイヤーで構成されます。このワイヤーの単位長さ当たり質量は0.2kg/mです。このカラーは、円筒フレーム上をスライドできます。このカラーには、20 Nの水平力Pが加えられます。

ここでは、ケーブルのたわみ“h”とスパン“L”を求めます。



図 1. 問題の詳細

マルチボディモデル

このケーブルは、20個のNLFEケーブル要素を使用してモデリングされます。固定支点、フレーム、およびカラーは、剛体としてモデリングされます。

固定支点とフレームは、固定ジョイントを使用して地面に固定されます。カラーは、並進ジョイントを使用してフレームに結合されます。ケーブルは、ボールジョイントを使用して固定支点とカラーに結合されています。次のようなSTEP関数を通じてカラーに20 Nの荷重が加えられます:

`Step (time, 0, 0, 5, 20) `

これは静的釣合問題ですが、荷重は徐々に加えられ、解析を簡易化するために10秒間の準静解析を用いて解析されます。



図 2. MotionViewでモデル化したケーブル問題

理論解は次のとおりです。

たわみ: h = 4.09 m

スパン: L = 17.69 m

注: MotionSolveでNLFEケーブルを扱うと、シングルストランドケーブルとマルチストランドケーブルの両方の効果が得られます。そのためには、Number of fibersという名前のパラメータを使用します。

このパラメータによって、さまざまなケースの要件に基づいてケーブルの曲げ剛性を制御できます。

ケース1

シングルストランドケーブルのケースを考えてみます(Number of fibers = 1)。

このケーブルが非常に細い場合(長さ1000mm、直径0.1mmなど)、曲げ剛性はほとんどありません。これに対して、このケーブルがあまり細くない場合(長さ1000mm、直径10mmなど)、曲げ剛性はかなり大きくなります。どちらの場合でも、MotionSolveによって適切な曲げ剛性が自動的に計算されます。

ケース2

マルチストランドケーブルのケースを考えてみます(例: Number of fibers = X)。

あまり細くないケーブルの場合でも(長さ1000mm、直径10mmなど)、全体的な曲げ剛性がかなり大きくなるとは限りません。これは、曲げ剛性が無視できるほど、ファイバー間の相互作用が複雑な現象であるためです。このケースでは、直径はすべてのファイバーの累積面積に基づいて計算されます。

したがって、ケーブルの実際の曲げ剛性または物理的な曲げ剛性を得るには、MotionSolveNumber of fibersパラメータを調整します。Number of fibersの値を大きくするほど、MotionSolveでのケーブル要素の曲げ剛性は小さくなります。

この問題では、曲げ剛性がゼロである理論上のケーブルを想定して計算が行われています。

MotionSolveNumber of fibersパラメータを使用してみることで、理論上のケーブルを想定して得られた結果との強い相関が得られるかどうかを確認できます。曲げ剛性がごくわずかになって変化しなくなるまで、必要に応じてファイバーの数を増やしてください。

数値結果

図 3は、0秒におけるこのケーブルシステムの初期均衡位置を示しています。



図 3. HyperViewのアニメーションで表示されるケーブルシステムの初期均衡位置

図 4は、10秒後のケーブルシステムの最終均衡位置を示します。



図 4. HyperViewのアニメーションで表示されるケーブルシステムの最終均衡位置

たわみ“h”を求めるには、Point_11(ケーブルの中点)のY方向位置をプロットします。

スパン“L”を求めるには、Point_21(ケーブルの終端)のX方向位置をプロットします。

Number of fibers = 1

図 5 は、パラメータNumber of fibers = 1を使用した場合のケーブルのたわみ“h”を示しています。



図 5. ケーブルのたわみ“h”を示すプロット

図 6 は、パラメータNumber of fibers = 1を使用した場合のケーブルのスパン“L”を示しています。



図 6. ケーブルのスパン“L”を示すプロット

Number of fibers = 20

図 7 は、パラメータNumber of fibers = 20を使用した場合のケーブルのたわみ“h”を示しています。



図 7. ケーブルのたわみ“h”を示すプロット

図 8 は、パラメータNumber of fibers = 20を使用した場合のケーブルのスパン“L”を示しています。



図 8. ケーブルのスパン“L”を示すプロット

まとめ

NLFEモデルは、このケースの理論的結果とほぼ一致することがわかります。ファイバーの数を多くすることで、理論上の結果(ゼロの曲げ剛性を想定)に近い結果が得られることがわかります。

ファイバーを使用する目的は、理論的結果に一致させるためだけではありません。Number of fibersパラメータを調整することで、任意の曲げ剛性を持つマルチストランドケーブルのあらゆる物理的ケースをモデリングできます。

Number of fibers = 1 理論値 数値 誤差
たわみ“h” 4.09 m 4.05 m 0.98%
スパン“L” 17.69 m 17.74 m 0.28%
Number of fibers = 20 理論値 数値 誤差
たわみ“h” 4.09 m 4.09 m 0%
スパン“L” 17.69 m 17.70 m 0.06%