終端にモーメント荷重がかかる片持ち梁の大きな回転

モデル概要

モデルの場所:<altair>\utility\mbd\nlfe\validationmanual\model3.mdl

このモデルは、次のFigure 1に示すように、一端が地面に固定され、もう一端にモーメント荷重が加えられているまっすぐな梁で構成されています。この梁を丸めて円形にするために、次の荷重が加えられます:(1)
M = E I R = 2 π E I l


図 1. 一端が固定されており、もう一端に荷重が加えられている片持ち梁が円形状に丸まり大きく変形する
ここで、
M
終端に加えられるモーメント
E
ヤング率
I
紙面に対して垂直な軸を中心とした慣性モーメント
R
変形後の円形形状の半径
l
梁の長さ

マルチボディモデル

この片持ち梁は、MotionSolveで250個のNLFE BEAM要素を使用してモデリングされます。片持ち梁の左端は、固定ジョイントによって地面に固定されています。右端には、地面と結合する平面ジョイントが取り付けられています(これは、数値的不安定性を最小化して、シミュレーションを支援するためです。物理特性には影響を与えません)。このモデルでは、重力はオフになっています。このビームの右端にはモーメントが加えられています。



図 2. MotionViewでモデリングされた片持ち梁
TorqueOnly Force_Vector_OneBody要素を使用して、片持ち梁の終端に終端モーメントが加えられています。このモーメントは、下記の方程式を使用して加えられます:(2)
M = E I R = 2 π E I l
次の材料プロパティがNLFEビームに使用されます:
l
5000 mm
A
31840 mm2
I
1.68 x 105 mm4
ρ
7.8 x 10-6 kg/mm3
E
2.1 x 105 N/mm2
上記の値の場合、加えられるモーメント荷重は次のとおりです:(3)
M =  2 π E I l   ( 2 π ) ( 2 .1x 10 5  N/mm2 ) × ( 168119 .45 mm ) 4 5000 = 4.437   x   10 7   N m m

このモデルは、終了時間40秒の動解析でシミュレートされます。モーメント荷重は、35秒で増大するステップ関数を使用して加えられます。終端にモーメントが加えられると、このビームは変形して、半径 R = l 2 π = 5000 m m 2 π = 795.77 m m の完全な円形に丸まることが予想されます。

変形したビームの実際の半径を特定するには、このビームの中点における節点のZ変位を計算し、その値を2で除算します。

数値結果

次のFigure 3には、終端にモーメント荷重が加えられた片持ち梁の変形を示します。この梁の変形を可視化できるようにするため、トレーシングがオンになっています。黄色の成分は変形前の形状を表しており、コンター付きの成分は、シミュレーション終了時の最終的な変形形状を表しています。シミュレーション中の変形過程を示す、このビームの終端要素のトレース(グレー)も可視化できます。この図からわかるように、この要素は変形前の状態から最終的な変形状態にいたるまでに大きく回転しています。



図 3. 終端節点の変位の大きさ

変形した形状の半径を特定するには、MRFファイル内のGRID/301127(このビームの中点)のZ変位をプロットして、その値を2で除算します。



図 4. GRID/301127のZ変位

まとめ

250個のBEAM要素を使用したNLFEモデルは、このケースの理論解とほぼ一致することがわかります。

  理論値 数値 誤差
半径 795.77 mm 795.3 mm 0.06

ここで紹介した結果では、MotionViewで用意されているデフォルトのソルバー設定が使用されています。