ボディのモデリング

ボディは、質量および慣性の影響を明示的に捕捉する唯一のモデリング要素です。

MotionSolveでは、下記の3つのボディタイプが用意されています:
Body_Point
コンポーネントの慣性モーメントは無視し得るが質量は有効である場合に、この自由度3の要素を使用します。
Body_Rigid
質量と慣性モーメントは共に有効で、変形がほとんどない場合に、この自由度6の要素を使用します。
Body_Flexible
コンポーネントの変形がシステムの動特性に多大な影響を与える場合、またはコンポーネントの応力が着目する対象である場合に、この要素を使用します。MotionSolve内の弾性体の変形は、次のボディを使用してモデル化できます:
線形弾性体
この手法では、Component Mode Synthesis(CMS: 部分モード合成)法によって計算されるモードの線形重ね合わせが使用されます。CMSには幾つかの異なる形式があり、それぞれが最小のモード数で変形と境界条件を正確に表現できるよう考えてあります。CMSベースの弾性体は、剛体モーションに関連付けされた自由度6に加え、CMSモード数に等しい自由度を与えます。このボディは、微小変形または線形変形のみを処理できます。
MotionSolve 12.0以降では、モーダル弾性体生成についてのOptiStructにおける部分モード合成法の効率が大幅にアップしています。自動車のホワイトボディ(BIW: Body-In-White)コンポーネントなど、大規模システムについての部分モード合成実行時、8倍以上のスピード向上が確認されています。これは、Craig-Bampton法とCraig-Change法の両方に見られます。Craig-Bampton法は、多数の取り付け節点を含む問題(ASET DOF)について、かなりスピードアップしています。Craig-Change法は、OptiStructでAMSESまたはAMLS法が使用される際に、劇的に速くなっています。
弾性体のコンポーネントおよびアセンブリ情報は、OptiStructMotionSolveを介してHyperMeshからHyperViewへと伝えられます。弾性体のコンポーネントおよびアセンブリ情報は、MotionSolve出力のH3Dファイルに書き出されます。これにより、弾性体の表示がHyperViewでコンポーネントまたはアセンブリにより制御できます。
節点の速度および加速度は、MotionSolveのH3D出力ファイルに書き出されます。これにより、速度と加速度がHyperViewで確認可能となります。
MotionSolveでは、弾性体(Flex_H3D)ファイルを探すパスのセットを定義するために環境変数を指定することが可能です。これは、コンピュータのあらゆる箇所にあるモデルによって簡単に使用できる弾性体の集中型レポジトリを提供します。この機能を使用するには、環境変数MS_H3DFILE_DIRを指定し、区切り文字“;”で区切った希望する検索フォルダのリストを指します。mspostは、目的の弾性体H3D(指定されている場合は相対パス)が見つかるまで、以下の場所を(順番に)検索します:
  • 入力ファイルフォルダ
  • MS_H3DFILE_DIR環境変数で指定されたリスト内の各フォルダ位置
MotionSolve 12.0以降では、H3Dファイルに新規シェル板厚属性が含まれます。この追加情報は、自動車のボディやドアなど、シェル構造の疲労や損傷を計算するために使用されます。
非線形有限要素(NLFE)ボディ
この手法では、“絶対節点座標法(ANCF: Absolute Nodal Coordinate Formulation)”を使用して、弾性コンポーネントの完全な非線形有限要素表現が得られます。名前が示すように、このボディは全体フレームに対して定義されているため、線形弾性体のように局所パート参照フレームを有していません。各弾性コンポーネントは、そのコンポーネント内の変形を表す複数の有限要素で構成することができます。従来の有限要素と同様に、この変形はそれらの要素に対して指定された形状データと材料データによって決定されます。NLFEボディを使用すると、形状の非線形性(大変形)と材料の非線形性(ゴムのような超弾性材料)をモデル化できます。現時点ではNLFEボディのサポートは、BEAM要素とCABLE要素のみに限定されています。これらの要素は、細長い構造をモデル化するのに便利です。
この表現は完全に非線形であるため、このボディを作成するために縮退解析(CMSなど)は不要です。このボディは、FEソルバーベースのプリプロセッシングを必要とすることなくMotionView内のみで作成して変更できます。NLFEボディの詳細については、Body_Flexibleモデリングコンポーネントをご参照ください。
線形弾性体の場合と同様に、NLFEボディのコンポーネントおよびアセンブリ情報はH3Dアニメーションファイルに書き込まれます。このアニメーションH3Dには、HyperViewで可視化できる応力、ひずみ、および変位の情報も含まれています。応力、ひずみ、および変位を可視化しやすくするために、NLFEボディ内のBEAM要素とCABLE要素は、HyperViewではソリッド要素として表現されます。従来のライン要素とは異なり、BEAM要素の断面は変形することができ、HyperViewではこの断面も可視化できます。

また、自由度3のみを処理する平面ボディを定義することも可能です。これは、Reference_2DClusterおよびSubsystem_Planar要素を使って指定できます。