MV-2100:MotionSolveでの非線形有限要素(NLFE)解析の基礎

本チュートリアルでは、MotionSolveで使用される非線形有限要素定式化およびMotionSolveでのNLFEボディのモデル化について学習します。

MotionSolveではバージョン14.0より、非線形有限要素(NLFE: Non-Linear Finite Element)として弾性体の新たな定式を導入しています。ボディがモード形状で表現される従来の弾性体とは異なり、NLFEは有限要素の直接表現でモデル化されます。
NLFE定式化

MotionSolveは、大変位および大変形(NLFE)ボディのモデル化に、絶対節点座標法(ANCF: Absolute Nodal Coordinate Formulation)を使用します。ANCF[1]は大変位マルチボディ解析用として、有限要素定式化に基づいて開発されています。ANCFでは、無限小または有限回転角ではなく、傾斜と変位が節点座標として使用されます。

ANCFは、形状関数マトリックスを節点座標と共に使用して、任意の剛体の運動を描写します。これらの理由により、ANCFは、2次元および3次元のケースで一定質量マトリックスを導きます。一定質量マトリックスは、非線形運動方程式を簡略化し、その結果として、非線形運動方程式の時間積分を加速します。 図 1 に示すのは、ANCFを使用した2次元平面で描写された標準の梁モデル[2]です。
図 1. オイラー –ベルヌーイ梁要素

変位場、 y(x) = s1(x)y0+ s2(x)y’0 +s3(x)y1+ s4(x)y’1

  • s1~s4は、梁の形状関数
  • x0、y0、x1、およびy1は、2節点の節点座標
  • y’0およびy’1は、2節点における勾配座標(傾き)

ANCFは、ベルト駆動、ローターブレード、弾性ケーブル、板バネ、タイヤなど、広範にわたる困難な非線形動解析問題に適用されてきました。

MotionSolveの非線形有限要素機能
  • あらゆるタイプの線形および非線形弾性、すなわち等方性、直交異方性、異方性、超弾性をサポート
  • 弾性力により生じる幾何剛性の増加

弾性限界を上回る非線形挙動(塑性変形、ひずみ硬化、破壊など)のモデル化はサポートされません。現行のバージョンでは、MotionViewは1Dライン要素のみ(梁およびケーブル要素)をサポートします。梁要素は、18種類の断面をもつことが可能で、断面の寸法は、軸方向に線形的に変更され得ます。梁要素は、軸力、せん断力、ねじりと曲げに抵抗できます。ケーブル要素は、一定の断面を保つため、軸力と曲げに対してのみ、抵抗できます。

本チュートリアルでは、以下の2つの演習を行います:
  1. 片持ち梁の曲げ
  2. ゴムの単軸引張