アワグラス定式化

衝突問題では低減積分要素は非常によく知られています。これらの要素では、計算時間削減のため低減された数の積分点が用いられます。この簡易化は、アワグラスモードと呼ばれるゼロエネルギー変形モードを生成します。

図 1に示されたように、中央の1点積分のシェル要素の非対称変形に、物理変形モードとしてゼロエネルギーモードを見つけることができます。物理的な視点からはこれは正しくなく、修正する必要があります。シェルメッシュでは、2つのアワグラスモードは面内(膜モード)と面外(Wモード)です。


図 1. 次数低減積分シェルでのゼロエネルギーモード生成


図 2. 面内と面外アワグラスモード
2つの修正方法があります:
  • 摂動またはペナルティ法: 要素変形の安定性を維持するため、アンチアワグラス力を付加するアワグラスコントロール(古典的方法)。
  • 物理安定化法: 解析的な視点から内部エネルギーを補正することによるアワグラスコントロール。
最初の手法では、Radiossで4つの定式化が利用可能:
  • タイプ1(デフォルトのオプション): 面内モードのみを修正、シェルとソリッドで有効。
  • タイプ2:古い定式化で、推奨されない。
  • タイプ3:アンチアワグラス力の計算時には塑性が考慮される。面内と面外アワグラスモードを修正。シェルでのみ使用可能。
  • タイプ4:タイプ1と似ているが、アンチアワグラス力の計算で追加の高次項を使用し、面外アワグラスモードも修正。シェルでのみ使用可能。
2番目の手法は強力で、メッシュ品質が良い時に用いることができます。物理安定化法は次のRadioss要素に導入されています:
  • QEPHシェル
  • HEPHソリッド
  • HSEPHソリッド-シェル

アワグラス定式化の選択は結果の品質に不可欠な役割を持ちます。メッシュが十分に細かい場合、物理安定化法を用いることができます。そうでない場合、シェルメッシュに対してはタイプ 3 と 4 の定式化が推奨されます。材料が弾塑性挙動下にある場合にはタイプ 3定式化がより効率的です。アワグラス係数hmhfは0.1にセットすることが推奨されます。しかしながら、hrにはデフォルト値hf=0.01を用いることができます。