シェル要素
シェル要素(/PROP/SHELL)
シェルは曲率を持つ中立面と板厚hで定義され、板厚は他の2つの寸法に比べて非常に小さいことが想定されています。シェル要素は最も一般的な要素で、自動車の衝突モデルの少なくとも90%はシェル要素からなっています。
Kirchhoffモデルは精度的に劣っていても、L/hの比が20より大きい場合、このKirchhoffによる条件は正確です。しかしL/hの比が10と20の間の場合、中立面に直交する平面が変形の間も直交するという仮定条件は成り立たず、横せん断ひずみを考慮したMindlin板要素の使用を考えるべきです。Radiossでは、低減積分シェル要素(4節点および3節点シェルの両方)は Mindlinの仮定に基づいています。要素の中立面を節点からオフセット可能にする特定の定式化はないため、薄肉構造を中立面上で離散化 することは非常に重要です。
メッシュ | 要素名 | 積分点の数 | アワグラス定式化 | コメント |
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BT (古典的なQ4) |
1 | ペナルティ法に基づいた4タイプ | 一定法線ベクトル アワグラス定式化タイプ 3と4 がデフォルトで用いられるタイプ1よりもずっと優れる |
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QEPH | 1 | 物理安定化 | 節点での法線ベクトル 出力にアワグラスエネルギーなし |
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QBAT | 2x2 | 完全積分要素 | 節点での法線ベクトル アワグラスエネルギーなし |
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C0 | 1 | --- | 平面要素 アワグラスエネルギーなし |
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DKT18 | 3 | --- | Kirchhoff シェル(薄肉シェルのみ) 高い t/Lでは低い時間ステップ |
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S3N6 | 1 | --- | Kirchhoff シェル(薄肉シェルのみ) 回転自由度なし 側面の回転は隣接要素の鉛直変位によりきめられる |
- BTは単純で効率的で低コストです。低減積分要素はメッシュの品質にそれほど敏感ではなく、粗いメッシュの場合に用いることができます。
- 準-静的解析、細かいメッシュ、反ったサーフェス、座屈の場合には、 QEPHまたはQBAT要素の使用を推奨します。
- QBATは、Radiossで最も高精度の要素です。しかしながら、完全積分要素で、そのコストはBT要素の2から3倍になります。
- QEPHはコストと品質から最高の妥協点になります。一般的に、コストはBT要素の15%増し以下で、 この要素で得られる結果はQBATに近いものになります。
- 三角形は推奨しません。C0要素は硬く、DKT18は高コストになります。高い品質を保証するためにはメッシュの中の三角形の全数は一般的に5%に制限されます。
- S3N6は、曲げに関してDKT18同様良い挙動を示します。これはスタンピングのシミュレーションの様な特定の適用分野に用いることができます。
板厚方向の積分
弾性シェルでは、板厚方向の直応力の変化は線形になります、このため、内部エネルギーは解析的な積分で得ることができます。塑性の場合は、応力分布が非線形となり、その非線形性を考慮するためには少なくとも3積分点が必要になります。応力の非線形分布はいくつかの付加された積分点で値を測定することにより近づくことができます。内部エネルギー推定の品質は積分点の数と コストに依存します。コストと品質の良い妥協点は、材料の非線形性と板厚と曲げの比を考慮するとにより見つけることができます。積分点の数は、Radioss V5xで10点まで増加されました。特に板厚が2mm以上の場合、5積分点の使用はより良い結果をもたらしますが、CPU時間の増加は無視できなくなります。曲げと横せん断のない膜要素のモデル化には1積分点のみの使用で十分です。弾性材料(LAW1)では、解析的計算によりこのオプションは無視されます。
十分な精度を低いCPUコストで得る1つの方法はグローバル積分を用いることです。これはvon Mises塑性基準をいわゆるIlluyshin基準に変換することからなり、積分点での応力成分は内力(N、M、Tなど)に置き換えられます。
反復塑性投影
塑性の計算では、2つの基本的な仮定を満足する必要があります。最初に、塑性領域の応力は塑性の基準を検証する必要があります(例えば von Mises 基準)。2番目に、主応力空間で加工硬化による方向()は、降伏局面に直交することです。
板厚変化
デフォルトでは、シェルの板厚は変形の間一定として取り扱われます。初期板厚がひずみの計算と応力の積分に用いられますが、ポストプロセスの理由から板厚変化は計算されます。可変板厚(Ithick =1)が用いられた場合、真の板厚がポストプロセッシングだけでなく、ひずみの計算と応力積分にも用いられます。
コメント
- 結果の精度のためには、特にネッキングまたはスプリングバックの時は、 反復塑性投影と板厚変化を用いることが強く推奨されます。
要素オプションのガイドライン
適用分野 | 材料 | プロパティ | アワグラス | 積分点の数 | 板厚 | 塑性 |
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基本的な衝突 | 2 | 1 | 1 | 0(グローバル) | 定数 | 半径方向 |
台形のラップされたシェルとグローバル回転を伴う衝突 | 2 | 1 | 3(c)またはQEPH | 0(グローバル) | 定数 | 半径方向 |
スプリングバック(中精度)を伴う衝突 | 2/36 | 1 | 1 | 3 | 定数 | 反復 |
スプリングバック(高精度)を伴う衝突 | 2/36 | 1 | 3(c)またはQEPH | 3 | 変数 | 反復 |
材料破壊(延性破壊)を伴う衝突 | 2/36(a) | 1 | 1 | 5 | 変数 | 反復 |
高品質な衝突 | 2/36(a) | 1 | 3(c)またはQEPH | 5 | 変数 | 反復 |
材料破壊(脆性破壊)を伴う衝突 | 27 | 11 | 1 | 3/5 | 変数 | 反復 |
フロントガラス | 27 | 11 | 1 | 3+1+3(b) | 変数 | 反復 |
膜または布 | 1/2/19/36 | 1 | 1 | 1 | 定数/変数 | 半径方向/反復 |
複合材 | 25 | 9/10/11 | 1 | 1~30 | 未使用 | 未使用 |
局所的なアワグラス励起を用いたモデル | 2/... | 1 | 3(c)またはQEPH | 0/3/5 | ||
低塑性および低速度のモデル | 2/... | 1 | 3(c)またはQEPH | 3/5 |
- 可変板厚と反復塑性により、ネッキング破壊をモデル化することができます。材料の硬化は正確である必要があります。
- ガラス、プラスチック、およびガラス製フロントガラス(3つのガラス層、1つのプラスチック層および3つのガラス層)に対応。精度の低い、2+1+2も使用できます。より複雑なガラスプラスチック製のフロントガラスの場合は、より多くの層を使用することができます。
- 弾塑性アワグラス(3)を使用する場合は、hmとhf に0.1を使用し、hrにデフォルトを使用することを推奨します。