/MAT/LAW58 (FABR_A)
ブロックフォーマットのキーワード この材料則は、超弾性異方性繊維材料を記述します。この材料則は異方性の角度を持つ異方性座標系を使用し、要素の変形に従います。
この材料定式化では、繊維間の物理的な相互作用を再現するために、縦糸と横糸方向の結合が提供されます。せん断自由度は並進自由度から完全に切り離されます。オプションで、縦糸と横糸方向とせん断に対して、載荷と除荷の非線形応力-ひずみ曲線を指定できます。
フォーマット
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/MAT/LAW58/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/FABR_A/mat_ID/unit_ID | |||||||||
mat_title | |||||||||
E1 | B1 | E2 | B2 | Flex | |||||
G0 | GT | Gsh | sens_ID | ||||||
Df | Ds | Gfrot | ZeroStress | ||||||
N1 | N2 | S1 | S2 | Flex1 | Flex2 |
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
fct_ID1 | Fscale1 | ||||||||
fct_ID2 | Fscale2 | ||||||||
fct_ID3 | Fscale3 | ||||||||
fct_ID4 | fct_ID5 | Fscale4 | Fscale5 | fct_ID6 | Fscale6 |
定義
フィールド | 内容 | SI単位の例 |
---|---|---|
mat_ID | 材料識別子 (整数、最大10桁) |
|
unit_ID | 単位識別子。 (整数、最大10桁) |
|
mat_title | 材料のタイトル (文字、最大100文字) |
|
初期密度 (実数) |
||
E1 | 縦糸方向のヤング率 (実数) |
|
B1 | 縦糸方向の軟化係数 デフォルト = 0.00(実数) |
|
E2 | 横糸方向のヤング率 (実数) |
|
B2 | 横糸方向の軟化係数 デフォルト = 0.00(実数) |
|
Flex | 繊維曲げ率減少係数 デフォルト = 0.01(実数) |
|
G0 | 初期せん断係数 デフォルト = G、ここで (実数) |
|
GT |
における接線せん断係数 (実数) |
|
せん断ロック角度 (実数) |
||
Gsh | 横せん断係数(多層プロパティでのみ使用される) デフォルト (実数) G0 = 0の場合、 |
|
sens_ID | 参照ジオメトリをアクティブ化するためのセンサー識別子 8 (整数、最大10桁) |
|
Df | 縦糸と横糸方向における減衰係数(0.0 <Df < 1.0) 2 デフォルト = 0.00(実数) |
|
Ds | 縦糸と横糸方向における摩擦係数(0.0 <Ds < 1.0) 6 デフォルト = 0.00(実数) |
|
Gfrot | せん断摩擦係数 6 デフォルト (実数) G0 = 0の場合、 。 |
|
ZeroStress | 参照状態形状を使用した、引張および圧縮における初期応力のゼロ応力フラグ 7
(実数) |
|
N1 | 縦糸方向の繊維密度(単位長さあたりの繊維の本数) 2 デフォルト = 1(整数) |
|
N2 | 横糸方向の繊維密度(単位長さあたりの繊維の本数) 2 デフォルト = 1(整数) |
|
S1 | 縦糸方向のひずみ矯正 5 デフォルト = 0.10(実数) |
|
S2 | 横糸方向のひずみ矯正 5 デフォルト = 0.10(実数) |
|
Flex1 | 縦糸方向の繊維曲げ率減少係数 5 デフォルト = Flex(実数) |
|
Flex2 | 横糸方向の繊維曲げ率減少係数 5 デフォルト = Flex(実数) |
|
fct_ID1 | (オプション)縦糸方向の工学応力対工学ひずみの載荷関数識別子 4 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale1 | (オプション)関数1の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_ID2 | (オプション)横糸方向の工学応力対工学ひずみの載荷関数識別子 4 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale2 | (オプション)関数2の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_ID3 | (オプション)繊維方向(異方性軸)間の工学せん断応力対余角(単位=度)の載荷関数識別子 6 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale3 | (オプション)関数3の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_ID4 | (オプション)縦糸方向の工学応力対工学ひずみの徐荷関数識別子 4 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale4 | (オプション)関数4の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_ID5 | (オプション)横糸方向の工学応力対工学ひずみの徐荷関数識別子 4 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale5 | (オプション)関数5の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
|
fct_ID6 | (オプション)繊維方向(異方性軸)間の工学せん断応力対余角(単位=度)の徐荷関数識別子 6 デフォルト = 0(整数) |
|
Fscale6 | (オプション)関数6の縦軸のスケールファクター デフォルト = 1.0(実数) |
例(繊維、パラメータ入力)
#RADIOSS STARTER
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/UNIT/1
unit for mat
kg m s
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#- 2. MATERIALS:
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/MAT/LAW58/1/1
FABRIC
# RHO_I
722.5
# E1 B1 E2 B2 FLEX
450000000 0 450000000 0 0.01
# G0 GT AlphaT Gsh sensor_ID
0 10000000 60 0 0
# Df Ds GFROT ZERO_STRESS
.05 .05 0 0
# N1 N2 S1 S2 FLEX1 FLEX2
1 1 .05 .05 0 0
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#ENDDATA
/END
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
例(繊維、関数入力)
#RADIOSS STARTER
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/UNIT/1
unit for mat
kg mm ms
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#- 2. MATERIALS:
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/MAT/LAW58/1/1
Altair test fabric LAW58
# RHO_I
8e-07
# E1 B1 E2 B2 FLEX
0.38 0 0.38 0 1
# G0 GT AlphaT Gsh sensor_ID
0.0035 0.0055 7.175 0 1
# Df Ds GFROT ZERO_STRESS
0.00 0.00 0 1
# N1 N2 S1 S2 FLEX1 FLEX2
1 1 0 0 0 0
# fct_ID1 Fscale1
500 1
# fct_ID2 Fscale2
501 1.07
# fct_ID3 Fscale3
502 1
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FUNCT/500
stress-strain curve dir 1
# true strain true stress
0.0000000000e+000 0
9.9503308532e-003 2.9636979188e-003
1.9802627296e-002 5.3682944250e-003
2.9558802242e-002 7.1312474875e-003
3.9220713153e-002 8.7543744167e-003
4.8790164169e-002 1.0626227281e-002
5.8268908124e-002 1.2828957400e-002
6.7658648474e-002 1.5214981140e-002
7.6961041136e-002 1.7923677525e-002
8.6177696241e-002 2.0931047458e-002
9.5310179804e-002 2.4244941875e-002
1.0436001532e-001 2.8050134750e-002
1.1332868531e-001 3.2157106333e-002
1.2221763272e-001 3.6791281562e-002
1.3102826241e-001 4.1811352500e-002
1.3976194238e-001 4.7185817708e-002
1.4842000512e-001 5.3009665500e-002
/FUNCT/501
stress-strain curve dir 2
# true strain true stress
0.0000000000e+000 0
9.9503308532e-003 3.7850414917e-003
1.9802627296e-002 6.6041801875e-003
2.9558802242e-002 8.9026150938e-003
3.9220713153e-002 1.1200598067e-002
4.8790164169e-002 1.3569178437e-002
5.8268908124e-002 1.6244941225e-002
6.7658648474e-002 1.9356706823e-002
7.6961041136e-002 2.2930409250e-002
8.6177696241e-002 2.7109342313e-002
9.5310179804e-002 3.1773431250e-002
1.0436001532e-001 3.6903321313e-002
1.1332868531e-001 4.2590270333e-002
1.2221763272e-001 4.8734555250e-002
1.3102826241e-001 5.5311888000e-002
1.3976194238e-001 6.2350489167e-002
1.4842000512e-001 6.9690045000e-002
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FUNCT/502
stress-strain curve dir 12
# angle true stress
-16.170000000e-000 -1.5741500000e-003
-7.1750000000e-000 -4.3750000000e-004
0.0000000000e+000 0.0000000000e+000
7.1750000000e-000 4.3750000000e-004
16.170000000e-000 1.5741500000e-003
#ENDDATA
/END
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
コメント
- この材料則は、プロパティ/PROP/TYPE16 (SH_FABR)、/PROP/TYPE19 (PLY)、/PROP/TYPE51、/PLYおよび/PROP/PCOMPPと使用されます。
- 繊維特性:
- N1とN2は、両方の繊維方向の応力の計算に使用される単位長さあたりの繊維の本数です。
- 繊維方向(経糸および横糸)は、異方性の局所軸を定義します。材料データは各方向とせん断で個別に指定されます。
- 材料の塑性挙動の結果として発生する不安定性を抑制するために、繊維の減衰を使用します。繊維方向Dfにおける減衰係数の推奨値は0.05です。
- オプションの載荷応力ひずみ曲線と除荷応力ひずみ曲線の入力関数に関する規則。
- 表形式の入力曲線は単調増加であることが必要です。入力に誤りがあって単調増加入力になっていない場合は、Radioss Starterからエラーメッセージが出力されます。
- 除荷の過程が存在しない場合(fct_ID4=fct_ID5=fct_ID6=0):
すべての載荷関数はオプションです。解析定式を使用できるほか、任意の方向に載荷関数を定義できます。任意の方向に表形式挙動と解析挙動の混在を指定できます。
- 除荷関数を1つ以上定義し、ヒステリシスを設定した載荷 / 除荷の場合:
- 載荷関数を表形式入力として、すべての方向に載荷が必要です。関数fct_ID1、fct_ID2、fct_ID3をすべて定義する必要があります。載荷での解析定式は除荷関数と混在できません。
- 除荷曲線をすべて定義する必要はありません。いずれかの方向で除荷曲線が欠落している場合、載荷と除荷はヒステリシスを伴わずに同じ経路をたどります。
- 載荷関数と除荷関数を定義する場合は、ヒステリシスループを定義する唯一の交差点を必ず設定する必要があります。入力に誤りがあるとエラーメッセージが出力されます。せん断関数はこの例外で、負数側と正数側の2つの交差点が必要です。
- 入力に誤りがあるとエラーメッセージが出力されます。
- 引張および圧縮での応力とひずみの関係。
- 非線形関数を使用する場合:fct_ID1とfct_ID2で載荷の挙動を定義し、fct_ID4とfct_ID5で除荷の挙動を定義します。
- パラメータを使用する場合は、載可および除荷のどちらの場合においても、応力とひずみとの解析的関係を次のように定義します:
-
(1) -
(2)
非線形関数(fct_ID1、fct_ID2、fct_ID4およびfct_ID5)を指定すると解析パラメータは使用されません。ただし、値E1、E2は、参照形状からの予応力を計算するために尚も必要とされます。この場合、E1、E2は、対応する非線形関数(fct_ID#)の平均剛性(平均勾配)に対応する必要があります。
-
- 非線形関数を使用する場合:
- 織物の初期矯正効果この材料では、織物の初期の矯正効果を考慮に入れることができます。
- 矯正相では引張方向でより穏やかになると想定されます。2軸引張には矯正相が存在しないので、繊維は荷重相の最初から荷重を負うことになります。
対応する方向のE率または関数 (fct_ID1またはfct_ID2をスケーリングするには、スケールファクターFlexiを使用します。
(関数入力)
(パラメータ入力)- Flex1またはFlex2の値が0に等しい場合は、Flexの値が使用されます。
- このひずみの矯正部分は、方向1および2にそれぞれ対応するひずみS1とS2によって与えられます。
- 関数のfct_ID1とfct_ID2は2軸引張に対応し、初期矯正は考慮されません。1軸引張では、応力の計算でFlex1とFlex2を使用することによって矯正効果が考慮されます。これは、曲線の代わりにE1とE2が指定される際と同様です。
- 圧縮では、ヤング率は常に:
- 矯正相では引張方向でより穏やかになると想定されます。2軸引張には矯正相が存在しないので、繊維は荷重相の最初から荷重を負うことになります。
- せん断での応力-ひずみ関係。
- 表形式入力を指定すると、載荷にはfct_ID3が使用され、除荷にはfct_ID6が使用されます。
- fct_ID6を指定しない場合、材料は超弾性であると見なされるので、載荷経路と除荷経路は同じになります。
- fct_ID6を指定すると、せん断方向のさまざまな載荷と除荷の経路に対してヒステリシス挙動を示します。
- 非線形関数(fct_ID3、fct_ID6)は必須ではありません。これらの関数が指定されていない場合は、G0およびGTの対応する値が材料の応力とひずみの関係の計算に使用されます。
- せん断における載荷と除荷を決定する関数fct_ID3、fct_ID6は度で設定する必要があります。これらの関数は角の負および正の値について指定します(通常関数は対称)。
- 角の絶対値およびその値は90度未満でなければなりません、
- 載荷関数と除荷関数は、ポイント(0,0)を通過しなければなりません。載荷曲線と除荷曲線は、負の角に1つの交点、正の角にもう1つの交点を有している必要があります。
異方向軸間の現在の角度と90度との差に等しい異方性余角 。
- せん断応力と角度の間の関係を記述するためにパラメータが使用される際、2つの異なるせん断の状況が記述できます:
- 面(1 - 2)せん断:せん断ロック角 の前:
(3) せん断ロック角 の後:(4) ここで、- せん断ロック角度
- GT
- 右記におけるせん断係数;
- G0
- 右記におけるせん断係数;
- G0 = 0の場合、 で不連続にならないように、この値が次のように計算されます:G0 = G
- 非線形関数(fct_ID3およびfct_ID6)を指定した場合、G0およびGTの値は無視されます。ただし、値G0は、参照形状からの予応力を計算するために尚も必要とされます。この場合G0は、対応する載荷関数の平均剛性(平均勾配)に対応する必要があります。
-
は初期余角で、シェルプロパティ(/PROP/TYPE16 (SH_FABR))で定義された異方性軸間の初期角度と90度との差と等しくなります。 注: プロパティに指定された繊維軸間の初期角度が90度と等しくない場合、繊維材料には初期予応力が存在することに注意してください。
- 繊維間の相互作用のせん断応力を記述することも可能です。Gfrot(せん断係数)は、繊維間の相互作用のせん断応力( )を計算するために使用します。繊維間の摩擦面内せん断応力は、 として計算されます。
- 面外せん断:
せん断率 で複数層(プライ)間の横せん断を描写することが可能です。
- 面(1 - 2)せん断:
- 表形式入力を指定すると、載荷にはfct_ID3が使用され、除荷にはfct_ID6が使用されます。
- 折りたたまれたエアバッグの初期応力を削除するには、ZeroStressフラグを使用します。これらの初期応力は折りたたみプロセスの過程で発生します。数値的には、この予応力は、折りたたまれていないエアバッグの状態を表す参照エアバッグ形状を通して指定されます。ZeroStress =1の場合、圧縮および引張の初期応力はゼロに設定され、展開開始後、徐々に実際の値まで増加します。
- sens_IDは、ZeroStress > 1で、参照エアバッグ形状である場合にのみ使用されます。これはセンサーから出力された値に基づいて、予応力をアクティブ化します。これはtime to fire > 0のエアバッグで役立ちます。
- ポスト処理用出力:この材料の使用する異方性座標系では、材料座標系の軸(異方性の角度)が要素の変形に基づいて更新されます。応力、ひずみ、せん断角度alphaの評価には、特別なユーザー定義の出力を使用します。Starterファイルの/TH/SHELエントリと/TH/SH3Nエントリ、およびEngineファイルの/H3D/SHELLまたは/ANIM/SHELLで以下を指定する必要があります。
- 繊維方向1の/H3D/SHELL/USER/UVAR=1または/ANIM/SHELL/USR1 - 応力
- 繊維方向2の/H3D/SHELL/USER/UVAR=2または/ANIM/SHELL/USR2 - 応力
- せん断方向の/H3D/SHELL/USER/UVAR=3または/ANIM/SHELL/USR3 - 応力
- 繊維方向1の/H3D/SHELL/USER/UVAR=4または/ANIM/SHELL/USR4 - ひずみ
- 繊維方向2の/H3D/SHELL/USER/UVAR=5または/ANIM/SHELL/USR2 - ひずみ
- /H3D/SHELL/USER/UVAR=6または/ANIM/SHELL/USR3 - - tan(α)
- /H3D/SHELL/ALPHA - 材料/MAT/LAW58のせん断角度alpha(単位: 度)
特別な材料定式化(繊維間の特殊な相互作用とDOFを分離)により、応力成分が応力テンソルを形成しないので、フォンミーゼス応力や主応力などの通常のテンソル評価はこの材料では意味を持ちません。