HyperMesh

HyperWorksのチェックは可能な限り、著名ソルバーとの互換性を保持するよう努めています。

2Dおよび3D要素チェック

以下のチェックは、両方のタイプの要素に適用されますが、3D要素に用いられる際は通常、要素の各フェイスに適用されます。最悪の値をもつフェイスが、3D要素の全体の品質値としてレポートされます。
Aspect Ratio
縦横比、すなわち、要素の最も長いエッジと最も短い辺のエッジ、もしくは、最も長いエッジとコーナー節点から向かい合うエッジへの最短距離(正規化された最小の高さ)の比を言います。HyperWorksは、Length (min)チェックと同じ方法を使用します。
3D要素については、要素の各フェイスが2D要素として扱われ、その縦横比が決定されます。これらのフェイスのうち最も大きい縦横比をもつフェイスが、3D要素の縦横比として戻されます。
縦横比は5:1を超えることはほとんどありません。
Chordal Deviation
要素エッジの中心と関連付けられているサーフェスとの最も離れている距離です。
2次要素の場合、計算にコーナー節点を使用するため、1次要素と同じ値を返します。


図 1. Chordal Deviation
Interior Angles
内部角度の最大および最小値は、三角形要素と四角形要素についてそれぞれ別々に評価されます。
Jacobian
要素の理想的または“完全”な形状(例えば三角形であれば正三角形)からの逸脱の度合いを示します。
ヤコビアン値は0.0から1.0の範囲の値で、1.0は完全な形状の要素を表わします。ヤコビアン比の決定子は、全体座標スペースにフィットさせるために必要なパラメトリックスペースの局所ストレッチングに関係しています。
HyperWorksは、要素の各積分点(ガウス点とも呼ばれる)もしくは要素のコーナー節点におけるヤコビアンマトリックスの決定要素を求め、最小値と最大値間の比率をレポートします。ガウス点におけるヤコビアン評価の場合、値が0.7以上であれば、通常許容されます。どちらの評価方法(ガウス点またはコーナー節点)を用いるかは、Check Element Settingsウィンドウで選ぶことができます。
Length (min)
要素の最小長は、以下の1つの方法のうちのいずれかで計算されます。
  • 要素の最も短いエッジ。この方法は、四面体以外の3D要素に使用されます。
  • コーナー節点から向かい合うエッジ(四面体要素の場合はフェイス)への最短距離(正規化された最小の高さ)。


図 2. Length Check
どちらの方法を用いるかは、”Element Check Settings”ウィンドウで選ぶことができます。
注: この設定はAspect Ratioチェックの計算時に影響します。
Minimum Length / Size
これは、以下の方法で計算されます。
Shortest edge
各要素に使用されている最小エッジの長さが使用されます。
Minimal normalized height
これは、より正確ですが、より複雑な高さです。
各コーナー節点(i)について、HyperWorksは、三角形の高さを含む、向かい合う辺への最短(垂直)距離h(i)を計算します。MNH = min(hi) * 2/sqrt(3.0)。スケーリングの係数2/sqrt(3.0)は、正三角形の場合、MNHが最も短い辺の長さであることを確実にします。


図 3. Minimal Normalized Height for Triangular Elements
四角形要素の各コーナー節点において、HyperWorksは、この節点を含まない四角形の脚を含む、向かい合う辺への最短(垂直)距離を計算します。上の図は、これらの脚を赤い線で示しています。”minimal normalized height”は、8つのラインと4つの辺すべて(すなわち12の候補)のうち最も短い長さをとります。


図 4. Minimal Normalized Height for Quadrilateral Elements
Minimal height
これは、”minimal normalized height”と同じですが、スケーリングファクターは含みません。
Skew
三角形要素のスキュー角度は、各節点から向かい合う辺の中点へのベクトルおよび要素の各節点における隣接した1つの中辺間のベクトルの間の最小角度を求めることによって計算されます。


図 5. Skew of Triangular Elements
求められた最小角度から90度引いたものが、要素のスキュー角度としてレポートされます。
注: 四角形要素のスキューは、HyperMesh-Alt の品質チェックの1つです。
Taper
四角形要素のテーパ比はまず、各コーナーグリッドポイントに形成される三角形の面積を求めることによって定義されます。


図 6. 四角形要素の場合の計算
次に、これらの面積は、四角形の面積の半分と比較されます。
HyperWorksは続いて、これらの三角形の面積と四角形要素の総面積の1分の1との比で最も小さいものを求めます(上の図では、"a"が最小)。求められた値を1から引いたものが、要素のテーパー(尖り具合)としてレポートされます。すなわち、テーパーが0に近付くほど、形は長方形に近付くことになります。
t a p e r = 1 ( A t r i 0.5 × A q u a d ) min
三角形には、HyperWorksがそれらをテーパーの大きい四角形と間違えて"failed"(不合格)としてレポートすることを回避するため、値0が割り当てられます。
Warpage
ねじれ、即ち、ある要素(ソリッド要素の場合は要素面)が元の平面から逸脱している量。3つのポイントが平面を定義するため、このチェックは四角形要素にのみ適用されます。四角形要素は対角線に沿って1つの三角形に分割され、三角形の法線間の角度が計測されます。
ねじれが5度程度までであれば、通常許容されます。


図 7. Warpage

3D要素のみのチェック

Minimum Length / Size
最小要素サイズの計算には2つの方法が使用されます。
Shortest edge
各要素に使用されている最小エッジの長さが使用されます。
Minimal normalized height
これは、より正確ですが、より複雑な高さです。
HyperWorksは、各コーナー節点について、向かい合う面への最短(垂直)距離を計算します。


図 8.
結果の最短長/サイズは、そのようなすべての距離のうち最小のものです。
Tetra Collapse
四面体要素の高さは、4つの節点それぞれから要素の向かい側の面への距離をその面の面積の平方根で割ることによって求めます。


図 9.
求められた4つの値のうち最小のもの(節点毎に1つ)を1.24で割って正規化します。四面体がつぶれるにつれて値は0.0に近づき、完璧な四面体の場合は値が1.0です。四面体以外の要素には、HyperWorksがそれらを品質の悪い四面体要素と間違えないよう、値1が与えられます。
Vol. Aspect Ratio
四面体要素の評価は、最も長いエッジの長さを求め、それを最も短い高さ(節点から向かい合うフェイスへの距離)で割ることによって行われます。六面体要素など、その他の3D要素は、最長エッジと最短エッジの比に基づいて評価されます。
Volume Skew
四面体要素のみに適用され、その他の要素にはすべて値ゼロが割り当てられます。この体積スキューは、1から形状係数を引いたものとして定義されるため、スキュー0は完全、1は最悪の値となります。
四面体要素の形状係数shape factorは、要素の体積を、同じ外接円半径をもつ理想の(等辺)四面体の体積で割ることによって決定されます。四面体要素の場合、外接円半径は、四面体の4つの頂角を通る球の半径です。


図 10.