機体の応力解析

モデル化の概念

構造解析に必要な有限要素モデルの精度は、設計プロセスを通して変化します。以下のフローチャートでは、航空機の構造解析のプロセスを簡単に示しています。


図 1. 航空機の設計と解析の概要

設計の全般的な決定において、航空機の設計と解析の最初のステップとなるのは荷重です。最初に、構造設計基準が策定されます。ここでは、航空機のさまざまな動作条件に起因する荷重、飛行パラメータ、および顧客によって指定される追加の荷重が考慮に入れられます。

これらの入力に基づき、空気力学と飛行質量を考慮して、全体的な荷重ケースデータが生成されます。図 1 は、飛行中の航空機が受けるさまざまな航空機荷重のうちのいくつかを示しています。これらに加えて、考慮すべき他の荷重ケースとしては、振動、音響騒音、システム圧力、地上操縦時のさまざまな動作および荷重が挙げられます。これらの荷重ケースのすべてが設計プロセスに影響するわけではないため、設計にとって重要な荷重ケースを特定することが重要です。これらの荷重は各時間ステップについて複数回解析されて、設計変更を考慮する臨界荷重が特定されます。このプロセスは、荷重エンジニアが特定荷重の詳細な臨界荷重を特定する際に役立ちます。


図 2. 航空機に作用するさまざまな荷重


図 3. モデル化プロセス

グローバル有限要素モデル(GFEM)

設計プロセスの次のステップでは、グローバル有限要素モデル(GFEM)または外部荷重モデルを作成します。このモデルをさらに使用して、すでに取得されている外部荷重を解析します。GFEMモデルは航空機構造をシンプルに表現したものであり、その大部分を構成しているのは、シェル要素とバー要素を使用して粗いメッシュによって表現された理想化されたフレーム、パネル、縦通材です。図 4 は、胴体機首部分のGFEMモデルを示しています。このモデルでは、1D要素を使用してモデル化されているフレームと縦通材からなる単一の要素としてパネルが表現されています。ほとんどのケースでは、航空機の各コンポーネントは、基準ステーションで荷重がかけられた状態で別々に解析されます。これらの基準ステーションには、その基準ステーションの節点をフレームにリンクする多点拘束(MPC)が定義されています。一般に、すべての外部荷重ケースが解析された後に、これらの解析に対応する内部荷重を要求して、詳細な解析のために使用できます。


図 4. 胴体機首部分のGFEM表現

詳細な有限要素モデル(DFEM)

この解析ステージでは、より詳細な航空機モデルが作成され、GFEMから取得された内部荷重が各コンポーネントに適用されて、応答が解析されます。ほとんどの場合、このステージでは、1Dモデルはより正確な2D表現や3D表現に置き換えられます。たとえば、GFEM内で最初は1D要素として表現されていたフランジは、DFEMプロセスでは2Dモデルによって更新され、フランジの3D表現が得られます。後続のセクションでは、DFEMシミュレーションで使用できるいくつかのツールとプロセスについて説明します。


図 5. 胴体機首部分のDFEM表現
次の図では、GFEMとDFEMの結果を比較しています。


図 6. GFEMとDFEMの結果の比較

モデルファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

ここで使用されているモデルファイルには以下のものが含まれます:
  • Fusealage_GFEM.fem
  • Fusealage_DFEM.fem
  • Fusealage_FBD_DMIG.fem
  • Fusealage_FBD_DMIG_AX.pch
  • Fusealage_FBD_Final_using_DMIG.fem
  • Fusealage_section.fem