電気伝導解析

電気伝導解析では、電気負荷を受ける構造内の電位の計算が行われます。

電気負荷がかかっている構造について解析すべき、基本的な有限要素方程式は、次のように表すことができます:(1) K C φ = f MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4samaaBa aaleaacaWGdbaabeaakiabeA8aQjabg2da9iaadAgaaaa@3B6F@ ここで、
K C MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4samaaBa aaleaacaWGdbaabeaaaaa@37B7@
電気伝導マトリックス
φ MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaeqOXdOgaaa@37B0@
Electric potential
f MathType@MTEF@5@5@+= feaahqart1ev3aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamOzaaaa@36DE@
電流

これは、電流の釣り合い方程式であり、未知の電位を求めます。

OptiStructの電気伝導解析

OptiStructのスタンドアロン電気伝導解析ケースは、次のタイプに分類できます:
定常電気伝導(SSEC)
荷重(電流または強制電圧)は時間に依存しません。
SSECは、追加の定常熱伝導解析でジュール熱を発生させるためにジュール熱計算で使用されます。
例:
SUBCASE 1
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 1
   LOAD = 2
   TEMP(MAT) = 4
多重定常電気伝導(MSEC)
荷重(電流または強制電圧)は時間に依存します。
MSECは、主に、追加の過渡熱伝導解析でジュール熱を発生させるために使用されます。
例:
SUBCASE 1
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 1
   DLOAD = 3
   TEMP(MAT) = 4

電気連成解析

電気解析は、熱伝導解析と連成できます。

電気連成解析を使用すれば、電気解析からのジュール熱を追加の熱伝導解析に渡すことができます(車のフロントガラスの霜取りなど)。連成には単方向と双方向があります。
  • 定常(線形 / 非線形)熱伝導解析が連成できるのは、SSECのみです。
  • 過渡(線形 / 非線形)熱伝導解析が連成できるのは、MSECのみです。
    注: 過渡(線形 / 非線形)熱伝導解析は、DLOAD(SSECサブケースを参照しているTLOADを参照する)を介してSSECサブケースを呼び出すこともできます。これは連成ではなく、このケースではQVOLなど、SSECからの解が荷重として使用されます。

    ユースケースの例として、電気負荷が一定で、電気材料が温度に依存しない場合は、この方法によって、計算時間を大幅に短縮できます。この方法を使用しない場合は、時間ステップごとに解を求める必要があります。

単方向連成

電気材料が温度に依存しない場合は、単方向連成で十分です。材料特性が一定なので、電気サブケースを一度で解くことができます。以下にいくつかの例を示します:
例1:定常熱伝導解析でSSECを荷重として呼び出す
Subcase 101
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 20
   LOAD = 22
Subcase 102
   ANALYSIS HEAT
   SPC  = 21
   JOULE = 101
   LOAD = 25
例2:SSECで定常熱伝導解析を使用して材料を更新する
SUBCASE 101
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 20
   LOAD = 22
   TEMP(MAT) = 102
SUBCASE 102
   ANALYSIS HEAT
   SPC  = 21
   LOAD = 25
例3:過渡熱伝導解析でMSECを荷重として呼び出す
SUBCASE 101
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 20
   DLOAD = 23 
SUBCASE 2
   ANALYSIS HEAT
   SPC  = 21
   DLOAD = 26
   TSTEP  = 9
BEGIN BULK
TLOAD1, 26, 101, ,JOULE, 28
TABLEG,28,
+,…
注: この時点で、MSECはスタンドアロンサブケースとして使用できません。 過渡熱伝導サブケースを使用して材料を更新することはできません。

双方向連成

電気材料が温度に依存する場合は、双方向連成が必要または使用されます。以下にいくつかの例を示します:
SSECで定常熱伝導解析を使用して材料を更新する
SSECからのジュール熱が定常熱伝導解析に適用されます。
SUBCASE 101
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 20
   LOAD = 22
   TEMP(MAT) = 102
SUBCASE 102
   ANALYSIS HEAT
   SPC  = 21
   JOULE = 101
   LOAD = 25
MSECで過渡熱伝導解析を使用して材料を更新する
MSECからのジュール熱が過渡熱伝導解析に適用されます。
SUBCASE 101
   ANALYSIS ELEC
   SPC = 20
   DLOAD = 23
   TEMP(MAT) = 102
SUBCASE 102
   ANALYSIS HEAT
   SPC  = 21
   JOULE = 101
   DLOAD = 24 $ This DLOAD cannot refer TLOAD of TYPE = JOULE
   TSTEP  = 9

単方向連成と双方向連成の例は、非線形定常熱伝導サブケースに拡張できます。

入力

電気伝導解析における関連入力ファイルエントリのサマリー。

関連サブケース情報エントリは次のとおりです:
表 1. サブケース情報エントリ
エントリ 目的
ANALYSIS = ELEC 電気伝導解析サブケースを定義する
JOULE 熱電気連成解析で熱伝導サブケースからの電気伝導解析サブケースを参照する
関連バルクデータエントリは次のとおりです:
表 2. バルクデータエントリ
エントリ 目的
SPCSPCD 電位
CURRENT 節点電流
CDENST4 電流密度
MAT1EC 等方性電気材料
MAT2EC 異方性電気材料
MATT1ECMATT2EC 温度依存性材料
PGAP ギャップ要素の電気抵抗特性
PCONTEC CONTACT要素の接触電気抵抗(CEC)

TLOADエントリは、ジュール損失密度励起(TYPE = JJOJOU、またはJOUL)をサポートします。EXCITEIDは、ジュール損失密度を過渡熱伝導サブケースに適用可能な定常状態電気サブケースのIDを参照します。

類似点

次の表に、一部の電気伝導解析エントリと既存の熱 / 構造解析の類似点をまとめます。

表 3. 電気伝導解析の類似点
タイプ 電気伝導解析 熱解析 構造解析
結果出力 電位 温度 変位
電界 温度勾配 ひずみ
荷重および境界条件 CURRENT   FORCE
CDENST4 QBDY1 PLOAD4
SPC(電位) SPC(温度) SPC(変位)
SPCD(電位) SPCD(温度) SPCD(変位)
材料 MAT1EC MAT4 MAT1
MAT2EC MAT5 MAT9
MATT1EC MATT4 MATT1
MATT2EC MATT5 MATT9

問題の設定

電気伝導解析の設定例。

次の入力ファイルスニペットは、電気伝導解析の設定例を示しています:
$ *************************************************************
$ EXAMPLE TO DEMONSTRATE AN ELECTRICAL ANALYSIS SETUP
$ *************************************************************
OLOAD     = 11 
VOLTAGE   = 11    
GPCURRENT = 11    
ELECMAT   = 22 
ELECFIELD = 22    
HEAT      = 22
CURRDEN   = 22    
 
SUBCASE        1
  LABEL HEAT
  ANALYSIS HEAT
  IC =        1
  JOULE =     2
  TSTEP =     9
  DLOAD =     28
  SPC   =     12
  NLPARM =    6
  
SUBCASE        2
  LABEL ELEC
  ANALYSIS ELEC
  DLOAD   =   3
  SPC     =  10
  TEMP(MAT) = 1.

BEGIN BULK
...

母線システムにおけるジュール熱のモデリングの視覚的な例。

母線は、さまざまな電子装置に電力を供給するためにさまざまな用途で広く使用されています。

モデルは、5つの回路からなる電気システムで構成されます。回路は、薄い誘電体層を介して互いに分離されています。


図 1. 母線モデル

摂氏20度の初期温度がすべてのボディに適用されます。

点電流は端子のCURRENTバルクデータエントリを使用して指定され、0Vの電圧はSPCを使用して適用されます。


図 2. 母線モデル上の境界条件. 赤色で示されているように、ゼロ電位が適用されます。
モデル上の温度分布は次のとおりです:


図 3. 母線上の温度分布
モデル上の電位は次のとおりです:


図 4. 母線上の電位

出力

サポートされる電気伝導解析の出力要求。

現時点で、結果は別の*_elecht.h3dファイルで、.h3dフォーマットでのみ提供されます。

サポートされる出力要求は次のとおりです:
表 4. サポートされる電気伝導解析の出力要求
結果 目的 詳細
VOLTAGE 電圧 デフォルトで提供
HEAT ジュール損失密度 デフォルトで提供
CURRDEN 電流密度 デフォルトで提供
ELECFIELD 電界  
ELECMAT 導電率と抵抗率  
GPCURRENT ギャップ電流  
OLOAD 節点電流に適用される  

電流平衡サマリーテーブルは、定常電気伝導解析用の.outファイルで提供されます。これは、SPCFORCE出力テーブルに似ており、合計印加電流とSPC電流で構成されます。

このテーブルは、現在、MSEC解析では使用できません。