OS-T:1080 線形熱伝導/構造連成解析

本チュートリアルでは、スチールパイプの熱伝導 / 構造連成解析行います。

Figure 1に示すように、パイプは一端が地面で固定され、他端に熱流束が加えられます。

線形定常熱伝導解析の解が最初に定義されます。次に TEMPにより構造解析に参照され、温度/構造連成解析が実行されます。問題はHyperMeshで定義され、OptiStruct陰解法ソルバーで解かれます。熱伝導と構造の結果のポスト処理はHyperViewで行います。

rd1080_model_review_2
図 1. モデルのレビュー

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したpipe.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

温度 / 構造連成材料とプロパティの作成

コンポーネントコレクターの生成前に材料およびプロパティコレクターを生成します。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Materialを選択します。
    デフォルトのMAT1材料がエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameにsteelと入力します。
  3. MAT4の横のボックスをクリックします。
    材料情報エリアのMAT1の下にMAT4カードイメージが表示されます。MAT1カードは等方性構造材料を定義します。MAT4カードは一定値の温度材料に用いられます。MAT4にはMAT1と同じ材料IDを用います。

    括弧〔〕の設定の下に数値入力欄がない場合、入力オフとなっています。

  4. 値を追加するために、括弧内の量をクリックします。
    入力欄がその下に現れます。
  5. entry欄をクリックして値を入力します。
  6. エンティティエディターで、材料steelに以下の値を入力します。
    [E] ヤング率
    2.1 x 1011 Pa
    [NU] ポアソン比
    0.3
    [RHO] 材料密度
    7.9 x 103 Kg/m3
    [A] 熱膨張係数
    1 x 10-5/ °C
    [K] 熱伝導率
    73W / (m * °C)
    新しい温度 / 構造材料steelが生成されました。

    os_1080_mat1
    図 2. 材料のEntity Editor
  7. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Propertyを選択します。
    デフォルトのPSHELLプロパティがエンティティエディターに表示されます。
  8. NameにSolidsと入力します。
  9. Materialに、Unspecified > Materialをクリックします。
  10. Select Materialダイアログでsteelを選択し、OKをクリックします。

    os_1080_solid
    図 3. 材料steelをプロパティsolidに割り当て
  11. Card Imageに、ドロップダウンメニューからPSOLIDを選択し、確認に対してYesをクリックします。
    ソリッドのスチールパイプのプロパティが3D PSOLIDとして生成されました、材料情報はこのプロパティに関連付けられています。

モデルへの温度荷重と境界条件の付与

構造の拘束spc_structは、パイプを地面に拘束するRBE2要素に付与されています。2つの空の荷重コレクターspc_heatheat_fluxが事前に生成されています。このセクションでは、温度境界条件と熱流束をモデルに与え、それぞれspc_heatheat_fluxに保存します。

熱拘束条件の作成

  1. 下の図に示されたように、フッターバーの右隅にある Set Current Load Collectorパネルをクリックします。
    荷重コレクターのリストが現われます。

    rd1070_lc_setcurrent
    図 5. 現在の荷重コレクターの設定
  2. 現在の荷重コレクターとしてspc_heatを選択します。
  3. Analysisページからconstraintsをクリックします。
  4. createサブパネルに入ります。
  5. エンティティ選択スイッチをクリックし、ポップアップメニューからnodesを選択します。
  6. nodes > by setsをクリックします。
  7. 予め定義されているエンティティセットheatを選択し、selectをクリックします。
    固定端の選択節点がハイライトするはずです。
  8. dof1dof2dof3dof4dof5dof6の前のボックスのチェックをはずし、入力欄は0.0のままにします。
  9. load types =をクリックし、ポップアップリストからSPCをクリックします。
  10. createをクリックします。
    これで選択された節点セットに温度拘束条件が付与されます。
  11. returnをクリックし、Analysisページに戻ります。

CHBDYEサーフェス要素の生成

熱流束がパイプの自由端に付与されます。そのため、熱伝導境界条件のためのサーフェス要素CHBDYEが最初に生成される必要があります。
  1. BCs > Create > Interfacesをクリックします。
  2. Nameにheat_surfと入力します。
  3. Card Imageに、ドロップダウンメニューからCONDUCTIONを選択します。
  4. パレットから色を選びます。
  5. Secondary Entity IDsに、Elementsをクリックします。
    Secondary Entity IDsパネルがGraphicsブラウザの下に表示されるようになります。
  6. elemsのスイッチボタンをクリックし、ポップアップリストからfacesを選択します。
  7. ハイライトされたsolid elemsをクリックし、ポップアップ選択メニューからby setsを選択します。
  8. 要素セットsolid elemsを選択し、selectをクリックします。
  9. face nodes欄内のnodesをクリックします。
  10. 図 6に示すように、熱流束が作用するソリッド要素表面の4節点を選択します。

    rd1080_surface_element_2
    図 6. サーフェス要素の節点
  11. addをクリックします。
    これでCHBDYEサーフェス要素が、図 7に示されたソリッド要素の同じ側の全ての要素の表面に加えられます。

    rd1080_chbdye_2
    図 7. CHBDYEサーフェス要素
  12. returnをクリックし、エンティティエディターに戻ります。
  13. Closeをクリックします。

サーフェス要素への熱流束の生成

このステップでは均一な熱流束がQBDY1エントリを用いてCHBDYE に定義されます。
  1. current load collectorにheat_fluxをセットします。
  2. Analysisページからfluxをクリックし、Fluxパネルに進みます。
  3. createサブパネルに入ります。
  4. elems > by groupをクリックします。
  5. heat_surfを選択し、selectをクリックします。
    サーフェス要素がハイライトされます。
  6. load types=をクリックしQBDY1を選択します。
  7. value=欄に1.0と入力します。
  8. createをクリックします。
    サーフェス要素への均一な熱流束が定義されます。
  9. returnをクリックし、Analysisページに戻ります。

熱伝導荷重ステップの生成

OptiStruct定常熱伝導荷重コレクタステップが荷重コレクターspc_heatの温度条件と荷重コレクターheat_fluxの熱流束条件を参照して生成されます。熱伝導解析の勾配、流束、温度出力も、荷重ステップで要求されます。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重ステップがエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameにheat_transferと入力します。
  3. エンティティエディターでAnalysis typeの横のValue欄のドロップダウンメニューをクリックし、Heat transfer (steady-state).を選択します。
  4. SPCにUnspecified > Loadcolをクリックします。
  5. Select Loadcolダイアログでを選択し、OKをクリックします。

    os_1080_heat_transfer
    図 8. 制約条件の選択
  6. LOADにUnspecified > Loadcolをクリックします。
  7. Select Loadcolダイアログでheat_fluxを選択し、OKをクリックします。
  8. Analysis typeがHEATに設定されていることを確認します。
  9. OUTPUTの横のボックスにチェックを入れます。
  10. サブリストのFLUXTHERMALオプションをアクティブにします。
  11. 各結果選択の下で、FORMATの横のスペースをクリックし、ドロップダウンメニューからH3Dフォーマットを選択します。THERMALに、Tableアイコンtable_pencilをクリックし、開いたテーブル内のドロップダウンメニューからH3Dを選択します。
  12. OPTIONの下のボタンをクリックし、図 9のようにALLを選択します。
    FluxおよびThermal出力は AnalysisページのControl Cardsパネルでも要求できます。

    os_1080_output_option
    図 9. 熱伝達荷重ステップの設定

構造の荷重ステップの作成

温度 / 構造連成解析の実行には、熱伝導SUBCASEが必要で、構造SUBCASEでTEMP カードを通して参照されます。これはHyperMeshで直接はサポートされていないため、線形構造解析のサブケースを作成し、SUBCASE_UNSUPPORTEDを使って温度を追加するか、もしくはモデルを出力した後で.femファイルを編集する必要があります。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重ステップがエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameにstructure_tempと入力します。
  3. エンティティエディターでAnalysis typeの横のValue欄のドロップダウンメニューをクリックし、Linear Staticを選択します。
  4. SPCにUnspecified > Loadcolをクリックします。
  5. Select Loadcolダイアログでを選択し、OKをクリックします。
  6. SUBCASE_UNSUPPORTEDの横のボックスにチェックマークを入れます。
  7. Data: Commentsの右にあるTableアイコンtable_pencilをクリックし、ポップアップテーブルの最初の行に次のように入力します:
    TEMP=1
    注: 上で使用されるTEMP IDは、現在のモデルと異なるかもしれません。熱伝導サブケースの IDがTEMPに選択されていることを確実にします。
  8. Closeをクリックします。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 10. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてpipe_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、pipe_complete.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、pipe_complete.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。

結果の表示

定常熱伝導解析では温度勾配と流束コンターが、構造解析では応力と変位がOptiStruct出力から計算できます。結果のポスト処理には、HyperViewが使用されます。

線形熱伝導解析結果の確認

  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
  2. 表示されたら、Closeをクリックし、メッセージウィンドウを閉じます。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. 下に示すように、Results タブでcurrent load caseとしてSubcase 1 - heat transferを選択します。

    rd1080_heat_transfer
    図 11. HyperViewのResultsタブ
  5. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Element Fluxes (V)を選択します。
  6. Applyをクリックします。
    熱流束のコンターイメージが表示されるはずです。
  7. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Grid Temperatures (s)を選択します。
  8. Applyをクリックします。
    流束と温度の両方の結果が下のように表示されます。

    rd1080_results
    図 12. 熱伝導解析の結果

温度 / 構造連成解析結果の表示

  1. Load Case and Simulation Selectionウィンドウで、structure analysis subcaseを選択します。
  2. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Element Stresses [2D & 3D] (t)を選択します。
  3. Result typeの下の2つ目のプルダウンメニューを選び、vonMisesを選択します。
  4. Applyをクリックします。
    フォンミーゼス応力を示すコンタープロットが表示されます。モデルのそれぞれの要素は、与えられた荷重と境界条件に対する結果の要素のフォンミーゼス応力の目盛の色で表示されます。
  5. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Displacement (v)を選択します。
  6. Result typeの下の2つ目のプルダウンメニューを選び、Magを選択します。
  7. Applyをクリックします。
    応力と変位の両方のコンターが下のように表示されます。

    rd1080_structural_analysis_2
    図 13. 構造解析の結果