OS-T:1100 異方性材料特性を用いたプリント回路基板の温度応力解析

プリント回路基板(PCB)は電子部品を機械的に支え、部品間を電気的に結合するために用いられます。それらの製造には、絶縁体であるグラスファイバー / エキポシ複合材基板上に置かれた銅の層のエッチングが含まれます。続いて、電子部品は基板上にマウントされ、銅の配線にはんだで結合されます。

はんだ付けの間の集中した、強い加熱が基板材料に応力を生みます。本演習では、このプロセスをシミュレートし、プロセスの結果として生ずる応力やひずみが受け入れられるものかどうかを究明します。

そのモデル化には外表面にシェル要素(CQUAD4)の表皮を持つヘキサ要素(CHEXA8)を用います。

このシミュレーションで用いられる一貫した単位系は以下のとおりです: kg、mm、GPa、kN、°C

rd1100_strain_control_card
図 1.

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルのオープン

  1. File > Open > Modelをクリックします。
  2. optistruct.zipファイルから自身の作業ディレクトリに保存したcircuit_board.hmファイルを開きます。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  3. Openをクリックします。
    circuit_board.hmデータベースが現在のHyperMeshセッションに読み込まれます。

モデルのセットアップ

ソリッド要素のためのMAT9材料の作成

このMAT9材料タイプは、線形、温度非依存の異方性材料特性を定義します。この材料モデルは、複合材構造の基板を対象とする本チュートリアルに適しています。積層材のX、Y、Z方向に異なる弾性定数と線膨脹係数を持っています。ソリッド要素にMAT9材料を用いることにより、シェルモデルを用いて、個々の層に異なる向きと特性を定義する場合のモデル化を単純化できます。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Materialを選択します。
  2. NameにPCB_solidsと入力します。
  3. Card ImageにMAT9を選択し、、確認のYesをクリックします。
  4. 複合材の指向性の弾性定数とせん断係数に以下の値を入力します:
    G11
    17.0
    G22
    16.2
    G33
    7.00
    G44
    4.93
    G55
    4.70
    G66
    2.03
  5. 線膨張比と参照温度に以下の値を入力します:
    A1
    1.6e-5
    A2
    1.9e-5
    A3
    8.0e-5
    TREF
    10.0

    os_1100_pcb_solids
    図 2.

シェル要素のためのMAT2材料の作成

前のステップで、materials/createパネル内にまだ残っているはずです。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Materialを選択します。
  2. NameにPCB_shellsと入力します。
  3. Card ImageにMAT2を選択し、確認のYesをクリックします。
  4. シェル要素の材料特性に以下の値を入力します:
    G11
    17.0
    G22
    16.2
    G33
    4.90
    A1
    1.6e-5
    A2
    1.9e-5
    TREF
    10.0

材料に関連するプロパティの生成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Propertyを選択します。
  2. NameにShellと入力します。
  3. Card Imageには、PSHELLを選択します。
  4. Materialに、Create > Materialをクリックします。
  5. Select Materialダイアログで、材料のリストからPCB_shellsを選択し、OKをクリックして材料選択を完了します。
  6. シェルコンポーネントの板厚として、Tをクリックし、0.001と入力します。

    os_1100_13_04
    図 3.
  7. 手順1.から6.までを繰り返し、Solidsという名称のもう1つのプロパティを、Card ImageをPSOLID、MaterialをPCB_solidsとして生成します。
  8. Modelブラウザで、pcb_solidsコンポーネントをクリックします。
    コンポーネントのエントリが下のエンティティエディターに表示されます。
  9. Propertyに、Unspecified > Propertyをクリックします。
  10. Select Propertyダイアログで、Solidsを選択し、OKをクリックしてプロパティの選択を完了します。
  11. 手順8.から10.までを繰り返して、solder_padsとshell_facesのプロパティ名にshellを選択します。

マウント穴の変位拘束の生成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにconstraintsと入力します。
  3. Card Image欄はNoneのままにしておきます。
  4. 適当な色を選択します。

    os_1100_13_05
    図 4.
  5. Constraintsをクリックし、Constraintsパネルを開きます。
  6. nodes > by setsをクリックします。
  7. エンティティセットconstrain_nodesを選択し、selectをクリックします。
  8. 6自由度全てを選択されたままにして、createをクリックします。
  9. returnをクリックし、メインメニューに戻ります。

はんだパッド位置に作用する温度荷重の生成

  1. temperature_loadsという名の荷重コレクターを作成します。
  2. Card Image欄はNoneのままにしておきます。
  3. BCs > Create > Interfacesをクリックし、Temperaturesパネルを開きます。
  4. nodes > by collectorをクリックします。
  5. solder_padsコンポーネントの横のボックスにチェックを入れます。
  6. selectをクリックします。
  7. constant value(value=を示す欄のラベル)が選択されていることを確認し、345.0と入力します。
  8. load types=にTEMPがセットされていることを確認します。
  9. createをクリックし、temperature_loadsを生成します。
  10. returnをクリックし、メインメニューに戻ります。

荷重ステップの作成

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
    デフォルトの荷重ステップテンプレートが、Modelブラウザの下のエンティティエディターに表示されます。
  2. Nameに、thermal_loadingと入力します。
  3. Analysis typeに、ドロップダウンメニューからを選択します。
  4. SPCに、Unspecified > Loadcolを選択します。
  5. Select Loadcolダイアログでconstraintsを選択し、OKをクリックします。
  6. TEMP_LOAD で、Unspecified > TEMPをクリックします。
  7. Select Loadcolダイアログでtemperature_loadsを選択し、OKをクリックします。
    慣性リリーフ拘束点に荷重コレクター SPCs、力に荷重コレクターstatic_loadsを参照したOptiStruct荷重ステップが生成されました。

コントロールカードの解析への追加

  1. Setup > Create > Control Cardsをクリックし、Control Cardsパネルを開きます。
  2. OUTPUTが表示されるまでnextをクリックして進み、OUTPUTをクリックして出力結果フォーマットのカードを追加します。
  3. パネル下部のnumber_of_outputs欄に、2と入力します。
  4. KEYWORDの1つにOP2をセットしてOP2フォーマットの結果の出力設定を行い、2番目の出力にはH3Dフォーマットを指定します。FREQ(頻度)には、ALLをセットすることができます。
  5. returnをクリックし、Control Cardsパネルに戻ります。
  6. nextをクリックしてコントロールカードの2番目のページに進み、もう1度クリックして3番目のページに進みます。
  7. SCREENカードをOUTオプションでアクティブにします。
  8. Control Card パネルに戻ります。
  9. 最初のページのGLOBAL_OUTPUT_REQUESTを選択して出力設定にアクセスします。
  10. ひずみの結果出力のSTRAINオプションをアクティブにします。このカードはデフォルトの設定のままにします。
  11. returnをクリックし、Control Cardsパネルに戻ります。
  12. SYSSETTINGカードが表示されるまでnextをクリックして進み、SYSSETTINGをクリックしてシステム設定を変更します。
  13. UNDEFTEMPを有効にし、ZEROオプションを選択します。
    OptiStructは、温度が指定されていない節点に対して値0を使用します。
  14. returnを2回クリックし、メインメニューに戻ります。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 5. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてcircuit_boardと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、circuit_board.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、circuit_board.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。