積分方程式のテストと解法

積分方程式のテストでは、各三角形のエッジにその積分方程式を適用し、N個の未知数によるN個の方程式を得ます。これらの方程式はコンピューターで容易に解くことができます。

任意形状のボディでは、直線ワイヤと比較して積分演算がはるかに複雑になります。数学的に複雑な微分をいくつか扱う必要があるほか、次のような状況に陥りやすくなります:
  • 積分方程式のテストで、いわゆる自己定義項が問題になります。未知数と同じ位置またはそこにきわめて近い位置で積分方程式をテストすると、行列方程式の特異点またはその近傍に導かれます。Fekoでは、計算が効率的な方法を採用して、この問題に対処しています。
  • 積分方程式のテストでは、離散ポイントで境界条件(導電体のサーフェス全体にわたって接線方向の電界がゼロ)を適用します。このような離散ポイント間では境界条件が成立せず、境界条件からの偏差が“残差”となります。当然のことながら、このような残差によって正確な物理解からの偏差が発生します。この残差を最小限にするには、構造全体の平均残差を最小限にする方法があります。そのためには、一群のベクトル重み関数を定義します。さまざまな重み関数が提唱されていますが、Fekoでの重み関数の実装は、このドキュメントの取り扱い範囲外です。
    Note: 境界条件からの偏差を最小限にする手法は、“重み付き残差法”または一般的にモーメント法と呼ばれています。

Equation 2をテストすると、Equation 7にきわめて類似の正方行列が得られます。

LU分解ルーチンを使用してこの方程式を解くと、電流係数を求めることができます。