Ogden材料

LAW42は、以下のOgden材料モデルのひずみエネルギー密度表現を使用します。(3) $$W\left({\lambda }_1,{\lambda }_2,{\lambda }_3\right)={\displaystyle \sum _{p=1}^5\frac{{\mu }_p}{{\alpha }_p}\left({\overline{\lambda }}_1{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_2{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_3{}^{{\alpha }_p}-3\right)}+\frac{K}{2}{\left(J-1\right)}^2$$

ここで、

$$W$$

ひずみエネルギー密度

${\lambda }_i$

ith主工学ストレッチ

$$J$$

相対体積は次のように定義されます： $$J={\lambda }_1\cdot {\lambda }_2\cdot {\lambda }_3=\frac{{\rho }_0}{\rho }$$

${\overline{\lambda }}_i=J^{-\frac{1}{3}}{\lambda }_i$

偏差ストレッチ

${\alpha }_p$ および ${\mu }_p$

材料定数係数ペア。

５つまでの材料定数ペアを定義できます。

初期せん断弾性率$\mu$および体積弾性率（$$K$$）は、次のように与えられます：(4) $\mu =\frac{{\displaystyle \sum _{p=1}^5{\mu }_p\cdot {\alpha }_p}}{2}$

および(5) $K=\mu \cdot \frac{2\left(1+\nu \right)}{3\left(1-2\nu \right)}$

パラメータ${\alpha }_p$および${\mu }_p$は、初期せん断弾性率が以下となるように選択されなくてはなりません：(6) $\mu =\frac{{\displaystyle \sum _{p=1}^5{\mu }_p\cdot {\alpha }_p}}{2}>0$

材料の安定性のためには、各材料定数ペアが以下のとおりである必要があります： (7) $${\mu }_p\cdot {\alpha }_p>0$$

Ogden材料モデルのシンプルなケースが、ひずみエネルギー密度関数の次の式を使用して表現可能なNeo-Hookenモデルです：(8) $W=C_{10}\left(I_1-3\right)$

ここで、

$I_1$

右Cauchy-Greenテンソルの第1不変量

$C_{10}$

材料の定数

LAW42 Ogden材料モデルの少し複雑なケースが、ひずみエネルギー密度関数の次の式を使用して表現可能なMooney-Rivlinモデルです：(9) $W=C_{10}\left(I_1-3\right)+C_{01}\left(I_2-3\right)$

ここで、

$I_1$ および $I_2$

右Cauchy-Greenテンソルの第1および第2不変量

$C_{10}$ および $C_{01}$

材料の定数

材料が真に非圧縮性である場合、$\nu =0.5$。しかしながら、これは無限体積弾性率、無限音速、ひいては無限に小さいソリッド要素時間ステップをもたらすため、実践的には使用するのは不可能です。 (10) $K=\mu \cdot \frac{2\left(1+\nu \right)}{3\left(1-2\nu \right)}=\mu \cdot \frac{2\left(1+\nu \right)}{3\left(1-2*0.5\right)}=\infty$

ポアソン比と体積弾性率の影響は、他のOgden材料則と同様になります。

図 2.

LAW42では、材料の非圧縮性は、密度の変化に比例して圧力を計算するペナルティアプローチを使用して求められます：(11) $$P=K\cdot Fscal{e}_{blk}\cdot {\mathrm{f}}_{blk}\left(J\right)\cdot \left(J-1\right)$$

ここで、

$$K$$

体積弾性率

$$J=\frac{V}{V_0}=\frac{m{\rho }_0}{m\rho }=\frac{{\rho }_0}{\rho }$$

質量が一定の場合に相対密度に簡易化される相対体積

$${\mathrm{f}}_{blk}\left(J\right)$$

体積係数スケールファクターvs相対体積関数

$$Fscal{e}_{blk}$$

右記の関数の横軸のスケールファクター； $${\mathrm{f}}_{blk}\left(J\right)$$

超弾性材料の体積弾性率（$$K$$）は一般的に非常に大きい値であり、非圧縮性条件（$$J$$=1）を保持するために必要な圧力-抵抗を提供します。しかし、材料が圧縮し始めた場合（$$J$$ < 1）、体積係数値のスケーリングを$$J$$の関数とすることが可能なfct_ID_blk入力関数を含めることにより、体積弾性率を増加させることができます。デフォルトではスケーリングはなく、関数識別子が0であれば、体積スケーリング関数の値は1に等しくなります。密度のばらつきが小さくなるように、つまり、 $$J$$の値が1に近付き材料が非圧縮性であるよう、LAW42コンポーネントの材料密度を出力（/ANIM/BRICK/DENS）し、確認することが推奨されます。

図 3. 体積弾性率スケールファクター関数fct_ID_blk

LAW42ではMaxwellモデル（剛性$$G_i$$とダンパ${\eta }_i$を持つn個のスプリングの系として簡単に記述することができる）を使用した粘性（速度）効果がモデル化されます：

図 4. Maxwellモデル

Maxwellモデルは、Prony級数の入力（$G_i,{\tau }_i$）を使って表現されます。超弾性初期せん断弾性率$\mu$ は、Maxwellモデルの長期せん断弾性率$$G_{\infty }$$と同じであり、${\tau }_i$は緩和時間です：(12) $${\tau }_i=\frac{{\eta }_i}{G_i}$$

この材料則の超弾性挙動は、以下のひずみエネルギー密度関数を用いて定義されます：(13) $W({\lambda }_1,{\lambda }_2,{\lambda }_3)={\displaystyle \sum _{i=1}^N\frac{2{\mu }_i}{{\alpha }_i{}^2}\left({\lambda }_1{}^{{\alpha }_i}+{\lambda }_2{}^{{\alpha }_i}+{\lambda }_3{}^{{\alpha }_i}-3+\frac{1}{\beta }(J^{-{\alpha }_i\beta }-1)\right)}$

ここで、

$W$

ひずみエネルギー密度

${\lambda }_i$

$$i_{th}$$ 主ストレッチ

$J$

以下で定義される相対体積 式 13

$$\beta =\frac{\nu }{\left(1-2\nu \right)}$$

${\alpha }_i$ および ${\mu }_i$

材料定数係数ペア。

５つまでの材料定数ペアを定義できます。

ポアソン比は$0<\nu <0.5$でなければなりません。この材料則は、低いポアソン比の値を定義することによって、圧縮性、またはハイパーフォーム材料とも呼ばれる材料のモデル化に使用できます。

LAW62ではMaxwellモデル（剛性$$G_i$$とダンパ${\eta }_i$ を持つn個のスプリングの系として簡単に記述することができる）を使用した粘性（速度）効果がモデル化されます：

図 5. Maxwellモデル

Maxwellモデルは、Prony級数の入力を使って表現されます。初期せん断係数は：(15) $$G_0={\displaystyle \sum _{i=1}^N{\mu }_i}$$

${\mu }_i$の合計は0よりも大きい必要があります：(16) $G_0=G_{\infty }+{\displaystyle \sum _i{G}_i}$

剛性比は：(17) ${\gamma }_{\infty }=\frac{G_{\infty }}{G_0}=1-{\displaystyle \sum _i{\gamma }_i}$ (18) ${\gamma }_i=\frac{G_i}{G_0}$

ここで、 (19) ${\gamma }_i\in \left[0,1\right],{\displaystyle \sum _i{\gamma }_i}<1$

および、グラウンドせん断係数(20) $G_0=G_{\infty }+{\displaystyle \sum _i{G}_i}$

相対時間${\tau }_i$は正の値であることが必要です：(21) ${\tau }_i=\frac{{\eta }_i}{G_i}$

使用されるひずみエネルギー密度定式化は、law_IDに基づきます。

• law_ID = 1 （Orgden則）：(22) $$W\left({\lambda }_1,{\lambda }_2,{\lambda }_3\right)={\displaystyle \sum _{p=1}^5\frac{{\mu }_p}{{\alpha }_p}\left({\overline{\lambda }}_1{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_2{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_3{}^{{\alpha }_p}-3\right)}+\frac{K}{2}{\left(J-1\right)}^2$$
• law_ID = 2 （Mooney-Rivlin則）：(23) $W=C_{10}\left(I_1-3\right)+C_{01}\left(I_2-3\right)$

非線型最小2乗フィッティングの精度を向上させるために、以下を推奨します。

• 実験データ曲線は、横軸点が一様に分布するスムーズな単調増加関数を表します。実験データ曲線内のデータ点の数は、パラメータペアN_pair）の数より多くする必要があります。
• 工学ひずみは圧縮では負、引張では正となります。圧縮試験データの場合、工学ひずみは-1.0より大きくなるはずですが（100%圧縮最大）、応力ひずみデータのみが使用できます。
• N_pair≥ 3の場合は、試験データのカバー率を引張ひずみで100％以上、圧縮ひずみで50％以上にする必要があります。
• N_pairは、フィッティング手順での減衰を回避するために大きい値に設定しないようにする必要があります。

単軸圧縮試験に含まれる摩擦のために、等しい2軸引張試験データを使用し、これを、非圧縮材料に有効であるこれらの式³を使って単軸圧縮データに変換したほうが、通常、より精確となります。(24) $${\epsilon }_c=\frac{1}{{\left({\epsilon }_b+1\right)}^2}-1$$ (25) ${\sigma }_c={\sigma }_b{\left(1+{\epsilon }_b\right)}^3$

ここで、

${\epsilon }_c$

単軸工学圧縮ひずみ

${\epsilon }_b$

2軸工学等引張ひずみ

${\sigma }_c$

単軸工学圧縮応力

${\sigma }_b$

2軸工学等引張応力

この材料は、シェル要素とソリッド要素に使用できます。LAW42またはLAW62と比較すると、この材料則は、式 26で与えられる異なるOgdenひずみエネルギー密度定式化を使用します。LAW82ひずみエネルギー密度定式化は、他のいくつかの有限要素ソルバーの超弾性モデルで使用されているものと合致します。したがって、このOgdenひずみエネルギー密度の形式の材料パラメータは、材料サプライヤーやその他のソースから入手できる場合があります。(26) $W={\displaystyle \sum _{i=1}^N\frac{2{\mu }_i}{{\alpha }_i{}^2}}\left({\overline{\lambda }}_1{}^{{\alpha }_i}+{\overline{\lambda }}_2{}^{{\alpha }_i}+{\overline{\lambda }}_3{}^{{\alpha }_i}-3\right)+{\displaystyle \sum _{i=1}^N\frac{1}{D_i}{\left(J-1\right)}^{2i}}$

ここで、

$W$

ひずみエネルギー密度

$N$

右記の数； 材料定数${\alpha }_i$、${\mu }_i$および $D_i$

${\overline{\lambda }}_i=J^{-\frac{1}{3}}{\lambda }_i$

偏差ストレッチ

$J$

以下で定義される相対体積 式 2

初期せん断係数：(27) $\mu ={\displaystyle \sum _{i=1}^N{\mu }_i}$

体積弾性率は、以下のルールに基づき、$K=\frac{2}{D_1}$のように計算されます：

• $\nu =0$の場合、$D_1$が入力される必要があります。
• $\nu \ne 0$の場合、$D_1$入力は無視され、再計算されて、下記を用いてStarter出力に出力されます：(28) $$D_1=\frac{3(1-2v)}{\mu (1+v)}$$
• $\nu =0$で$D_1$=0の場合、$\nu =0.475$のデフォルト値が使用され、$D_1$が以下を用いて計算されます 式 28

ドラッカー安定性条件は、対数ひずみ（真ひずみ）における微小な変化に対応するキルヒホッフ応力の変化が下記の不均衡を満足する際にチェックします。(29) ${\displaystyle \sum _{i=1}^{3}d{\tau }_{i}d{\epsilon }_i>0}$

対数ひずみの変化(30) $d{\epsilon }_i=\frac{d{\lambda }_i}{{\lambda }_i}$

$d{\tau }_i=J\cdot d{\sigma }_i$

キルヒホッフ応力の変化

$d\tau =D:d\epsilon$

キルヒホッフ応力と対数ひずみとの間の関係

ドラッカーの安定性条件は：(31) ${\displaystyle \sum d\epsilon :D:d\epsilon >0}$

ここで、$D$は接線材料剛性マトリックスで、応力-ひずみ曲線の勾配でもあります。(32) $D=\left[\begin{array}{ccc}{D}_{11}& D_{12}& D_{13}\\ D_{21}& D_{22}& D_{23}\\ D_{31}& D_{32}& D_{33}\end{array}\right]$

安定した材料の場合、接線材料剛性$D$が正（応力-ひずみ曲線の傾きが正）になるよう要求します。接線材料マトリックス$D$は、下記の条件が満たされる場合に正です：(33) $I_1=tr\left(D\right)=D_{11}+D_{22}+D_{33}>0$ (34) $I_2=D_{11}{D}_{22}+D_{22}{D}_{33}+D_{33}{D}_{11}-D_{23}{}^2-D_{13}{}^2-D_{12}{}^2>0$ (35) $I_3=\det \left(D\right)>0$

Ogdenモデルのキルヒホッフ応力が：(36) ${\tau }_i={\displaystyle \sum _p{\mu }_p\left[{\overline{\lambda }}_i{}^{{\alpha }_p}-\frac{1}{3}\left({\overline{\lambda }}_1{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_2{}^{{\alpha }_p}+{\overline{\lambda }}_3{}^{{\alpha }_p}\right)\right]+K\left(J^2-J\right)}$

$D_{ij}=\frac{\partial {\tau }_i}{\partial {\lambda }_j}$であるため、与えられたOgdenパラメータ${\alpha }_p,{\mu }_p$（条件$I_1>0,I_2>0\text{ and }{I}_3>0$）について、ドラッカー安定性における材料のひずみ範囲が計算されます。

図 6.

次に、ドラッカー安定性がRadioss Starterで自動的にチェックされ、結果がStarter出力ファイル*0.outに出力されます。これは、与えられたOgdenパラメータでどの不安定度でひずみが起こり得るかを示します：

CHECK THE DRUCKER PRAGER STABILITY CONDITIONS   
      -----------------------------------------------
     MATERIAL LAW = OGDEN (LAW42) 
     MATERIAL NUMBER =         1
       TEST TYPE = UNIXIAL  
        COMPRESSION:    UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LESS THAN -0.3880000000000    
        TENSION:        UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LARGER THAN  0.9709999999999    
       TEST TYPE = BIAXIAL  
        COMPRESSION:    UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LESS THAN -0.2880000000000    
        TENSION:        UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LARGER THAN  0.2780000000000    
       TEST TYPE = PLANAR (SHEAR)
        COMPRESSION:    UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LESS THAN -0.3680000000000    
        TENSION:        UNSTABLE AT A NOMINAL STRAIN LARGER THAN  0.5829999999999

この材料は、以下のOgdenひずみエネルギー密度関数に基づきますが、他の多くの超弾性材料モデルとは異なり、材料定数の抽出に曲線フィッティングを必要としません。 ⁴(37) $W=\underset{deviatoricpart}{\underbrace{{\displaystyle \sum _{i=1}^3{\displaystyle \sum _{j=1}^m\frac{{\mu }_j}{{\alpha }_j}}}\left({\overline{\lambda }}_i{}^{{\alpha }_j}-1\right)}}+\underset{sphericalpart}{\underbrace{K\left(J-1-\ln J\right)}}$

損傷モデルを使用する場合、載荷と除荷の両方に載荷曲線が使用され、除荷応力テンソルは次の式に従って減少します：(38) $$\sigma =\left(1-D\right)\sigma$$

ここで、(39) $$D=\left(1-Hys\right)\left(1-{\left(\frac{W_{cur}}{W_{\max }}\right)}^{Shape}\right)$$

ここで、

$$W_{cur}$$

現在のエネルギー

$$W_{\max }$$

準-静的挙動に従った最大エネルギー

$$Hys$$ および $$Shape$$

ユーザーによる入力

除荷曲線が与えられる場合、これらのオプションが使用できます：

引張

載荷と除荷

= 0

図 7.

載荷は右記を使用； 載荷関数fct_ID_Liおよび ${\dot{\epsilon }}_{Li}$

除荷は、除荷関数fct_IDを使用_unL

= 1

図 8.

載荷と除荷はすべて右記を使用； 載荷関数fct_ID_Liおよび ${\dot{\epsilon }}_{Li}$

= -1

図 9.

載荷は右記を使用； 載荷関数fct_ID_Liおよび ${\dot{\epsilon }}_{Li}$

• 引張

  除荷は、除荷関数fct_IDを使用_unL

• 圧縮

  除荷は右記を使用； 載荷関数fct_ID_Liおよび ${\dot{\epsilon }}_{Li}$