要素と節点の両方について理論的に安定な時間ステップは近似であり、後続の時間増分中に変化する可能性があります。
シミュレーションの安定性を保ち、発散を回避するために、計算された理論的安定時間ステップを時間ステップスケールファクター
で掛けます。時間ステップコントロールのオプションが使用されていない場合、Starter出力に出されるモデルの最小節点または要素時間ステップを時間ステップスケールファクターで掛け、Engine出力ファイル内のTIME-STEP
として結果が示されます。
Starter出力にリストされる最小時間ステップ:
SOLID ELEMENTS TIME STEP
------------------------
TIME STEP ELEMENT NUMBER
2.6322377948203E-04 11021
Engineファイルでアクティブ化されるデフォルトの要素時間ステップ:
/DT
0.9 0
Engine時間ステップはここで
TIME-STEP = 0.9 * 2.6322377948203E-04 = 0.2369E-03
となり、これはEngine出力ファイルのサイクル0と合致します:
CYCLE TIME TIME-STEP ELEMENT
0 0.000 0.2369E-03 SOLID
/DT/NODA/CSTや/DT/BRICK/CSTといった時間ステップコントロール法のいずれかを使用する際、時間ステップコントロールは、メッシュの最小時間ステップに時間ステップスケールファイクターを掛けたものが、入力された最小時間ステップ未満
である際にアクティブ化されます。
Starter出力にリストされる最小時間ステップ:
NODAL TIME STEP (estimation)
---------------
TIME STEP NODE NUMBER
6.9475433E-07 10009
一定節点時間ステップオプションがEngineファイルで使用される場合:
/DT/NODA/CST
0.9 7.0E-07
初期Engine時間ステップは:
(1)
この初期時間ステップが
未満であるため、メッシュの理論的時間ステップを大きくするために質量が付加されます。
となるよう、最小メッシュ時間ステップを大きくするために十分な質量を付加する必要があります。すなわち:
(2)
Engine出力は、時間ステップが入力されたものと同じであり、時間ステップを大きくするために付加された質量のせいで質量エラー(
MAS.ERR
)があったことを示しています。
CYCLE TIME TIME-STEP ELEMENT … MAS.ERR
0 0.000 0.7000E-06 NODE 10009 0.2887E-01
1 0.7000E-06 0.7000E-06 NODE 10009 0.2887E-01
2 0.1400E-06 0.7000E-06 NODE 10009 0.2887E-01
である場合、メッシュの理論的時間ステップをより大きくするために、更に多くの質量を付加する必要があります。
(3)
デフォルトの時間ステップスケールファクターである0.9はほとんどのケースで良好に機能しますが、場合によってはこれ以外の値が推奨されます。1つの例として、
図 1に示すように剛性が急激に増大するフォーム材を含んだモデルが挙げられます。
この剛性の増大により、モデルの限界時間ステップが小さくなり、シミュレーションの時間ステップがモデルの限界時間ステップを上回った場合、発散を生じる可能性があります。0.9以外の時間ステップが使用される一般的なケースは:
- 時間ステップを大きくするためにアドバンストマススケーリング/DT/AMSを使用しているモデル:
- フォーム材を含むモデル:
- 1要素のモデル:
- 2有限要素のモデル:
- 3つより多くの有限要素を有するモデル:
- 1.0より大きいスケールファクターは用いることができません。