スペクトル解析(FFT)

概要

空間量またはI/Oパラメータの関数をフーリエ級数に分解した結果を表示できます。

この結果を得るには、高速フーリエ変換法から開始します。

操作

次の手順でスペクトルを生成します。

段階 説明
1 2D curveエンティティの基本曲線にユーザーがSpectrum Analysis (FFT)コマンドを適用します。
2 対称性の適切なプロパティを使用して、解析対象の関数が全周期にわたって外挿されます。
3 高速フーリエ変換法により、外挿された関数がフーリエ級数に分解されます。高調波のさまざまな特性(振幅、位相、次数)を表現したスペクトルが表示されます。
4

次の新しい2D曲線エンティティが作成されます:

  • 元の関数を外挿した関数のグラフ
  • その関数について計算されたスペクトル

原理

次の2つの段階でスペクトル解析が実行されます:

  • 第1の段階では、空間量またはI/Oパラメータの関数が全周期にわたって外挿され、対応する曲線がプロットされます。
  • 第2の段階では、外挿した関数に高速フーリエ変換法を適用することによってスペクトルが生成されます。

曲線の関数がf(x)であるとすると、次の式に従ってフーリエ変換の各係数が計算されます。

ここで:

  • T: 基本信号の周期
  • k: 検討対象とする高調波の次数(k = 0, n
  • この解析ではFFTアルゴリズムが使用されます。このアルゴリズムは、2n+1個のポイントを一定のステップで配置したパーティションに基づいています。高調波の番号は2n-1-1になります。

周期関数: 留意事項

周期関数には次の性質があります:

  • 次のフーリエ級数で表現できます。
  • 次の3つの要素で構成されています:
  • 直流成分である定数a0
  • a1b1で特性を記述した基本波成分
  • 上記以外のフーリエ係数anbnの値で特性を記述した、次数nが2以上の高調波成分(基本周期の分数値を周期とする成分)

曲線の外挿

スペクトル解析は全周期にわたって実行されます。解析対象の時間間隔が周期の一部のみである場合は、全周期を考慮して曲線が外挿されます。

周期の一部を一定の間隔で繰り返しコピーすることによって、曲線が全周期にわたって外挿されます。

Fluxに用意されている外挿のタイプは、解析で考慮する初期間隔によって異なります。これらのタイプを次の表に示します。また、その詳細をそれにつづく各表に示します。

表現された周期の部分 外挿のタイプ
全周期
  • 一致外挿
1/2周期
  • 正規対称性外挿
  • 偶数対称性外挿
  • 奇数対称性外挿
1/4周期
  • 偶数対称性外挿
  • 奇数対称性外挿

例(1)

1/2周期からの曲線の外挿を次の表に示します。

外挿のタイプ イメージ
正規対称性外挿 f(T/2+t)=-f(t)
偶数対称性外挿 f(T/2+t)=f(T/2-t)
奇数対称性外挿 f(T/2+t)=-f(T/2-t)

例(2)

1/4周期からの曲線の外挿を次の表に示します。

外挿のタイプ イメージ
偶数対称性外挿 f(T/4+t)=f(T/4-t)、f(T/2+t)=-f(t)
奇数対称性外挿 f(T/4+t)=-f(T/4-t)、f(T/2+t)=f(t)

デシベルモード

線形モードまたはデシベルモードで振幅のスペクトルを表現できます。デシベルモードでは、指数方式で量を強調した表示が得られ、線形モードではわかりにくい差異を確認できます。

留意事項:

デシベルは、測定量を対数で表した単位であり、同じ単位による基準量に対する物理量の大きさを表現します。

これは無次元量です。

デシベルモードでの振幅は次の式で計算します。,

ここで

  • An: 高調波nに相当する振幅の測定値
  • A0: 0dBに相当する基準振幅

デシベルモードで演算するために、Fluxには基準値を設定する方法として次の2種類があります:

  • 1次高調波の振幅値をデシベルで定義します。1次高調波は成分です(デフォルトではは100に設定されます)。
  • 0dBに相当する基準値A0を定義します(デフォルトではA0は1に設定されます)。

Displaying or not the DC component

このオプションを選択すると、0次高調波に相当するスペクトル成分が表示されます。

スペクトル解析の実行

スペクトル解析を実行するには、2D曲線(空間量またはI/Oパラメータの関数)を外挿した曲線をプロットし、それに相当するスペクトルを表示して以下の指示に従います。

ステップ 動作
1

Curve > 2D curve (…)の順にメニューを選択してSpectrum analysis (FFT)をクリックします。

2

選択ダイアログで、目的の2D curveエンティティを選択します。

3

Spectrum analysis (FFT)ダイアログで以下の手順に従います:

  • 解析する基本曲線を選択します。
  • 解析間隔に相当する周期のタイプを選択します。
  • この周期が全周期ではない場合、外挿に適用する対称性のタイプを選択します。

  • 計算する高調波の数を選択します。
  • Displaying or not the DC componentを選択します。
  • (オプション)スペクトルのスケールをデシベルモードで変更します。
  • 高調波の値の表現タイプを選択します。
  • スペクトル振幅の値を選択します。
  • 外挿した曲線に名前を割り当てます。
  • スペクトルのセットに名前を割り当てます。
  • 2本の2D曲線が作成され、外挿した曲線の2D曲線のシートとスペクトルの2D曲線のシートにそれぞれ表示されます。
  • この2本の新しい2D曲線がデータツリーに保持されます。