動的空力弾性解析
動的空力弾性解析は、力と加速度が時間に依存する、空力荷重がかかる柔構造でのたわみを調査するものです。
フラッター解析
空力弾性フラッターは、空力荷重、弾性荷重、および慣性荷重の相互作用に関連付けられた構造の動的不安定性です。
空力弾性システムのフラッター解析では、システムの速度(およびマッハ数)と、システムがフラッターの状態に達する振動周波数の特定が必要です。この現象では、弾性体にかかる空力荷重が、その固有振動モードと連成し、振幅が増加する振動運動を生じさせます。
これが、壊滅的な構造破壊につながる可能性があります。したがって、空力荷重がかかる構造はフラッターを避けるように慎重に設計する必要があります。
有限要素解析では、フラッターの予測で一連の複素固有値解析が行われます。OptiStructは、選択された周波数範囲内の構造振動モードが自由度として使用されるモーダルアプローチを使用します。
手法
OptiStructでサポートされるフラッター解析の手法には、K、KE、PK、PKNLの4つの種類があります。
後述するこれらの手法のそれぞれで、特定のケースについて複素固有値( )が抽出されます。これにより、空気速度と減衰のペア( - )と、空気速度と周波数のペア( - )を特定できます。
固有値の正確な形式は、手法によって異なります。
- 過渡減衰速度係数。
- 円振動数。 で与えられます。
- K法:
- K法の背景にある考え方は、人工的な減衰を伴う(構造減衰項の形で)システムを導入することで、システムをフラッターポイントに持っていくというものです。
- FLFACTエントリからの密度、マッハ数、および換算振動数のすべての組み合わせで複素固有値のセットが出力されます。
- そのため、K法から得られる結果は、解釈がやや難しくなります。
- KE法:
- KE法は、K法の派生手法で、次のような違いがあります。
- 粘性減衰項は無視されます。
- 複素モードは出力されません。
- フラッター出力は、モードに基づいて配置され、固有値外挿手法を使用してソートされます。
- このような特徴から、KE法は、K法の計算コストが低く、解釈しやすいバージョンだと言えます。
- KE法は、K法の派生手法で、次のような違いがあります。
- PK法:
- PK法では、反復プロセスを使用したダブレット格子法による空気力学(単振動を前提とする)を使用して一般的なフラッター解析を実行することができます。
- この手法では、剛性マトリックスに対する虚数の寄与が無視されます。これは、構造減衰項とPARAM, KDAMP, -1によるモード減衰が考慮されないことを意味します。
- 固有値抽出は、FLFACTエントリからの密度、マッハ数、および速度のすべての組み合わせに対して実行されます。
- 換算振動数の初期推測( )は、出力が更新された換算振動数を返す複素固有値問題の解析(収束まで繰り返されるプロセス)に使用されます。モードは、左と右の複素固有ベクトルを使用してさまざまな空気速度にわたって追跡されます。
- PKNL法:
- PKNL法は、‘ループなし’で設計されたPK法のバリアントです。
- この手法では、密度比、マッハ数、および速度に関するFLFACTデータ内のエントリの数を同じにする必要があり、固有値抽出が密度比、マッハ数、および速度の線形選択ごとに実行されます。
- シナリオ1: フラッター解析が以下のポイントで実行されます:(0.5, 0.3, 100)、(0.5, 0.3, 200)、(1.0, 0.3, 100)、(1.0, 0.3, 200)、(0.5, 0.4, 100)、(0.5, 0.4, 200)、(1.0, 0.4, 100)、および(1.0, 0.4, 200)。
$--1---><---2--><---3--><---4--><--5---><--6---><---7--><--8---><---9--> FLUTTER 103 PK 1 2 3 L 4 FLFACT 1 0.5 1.0 FLFACT 2 0.3 0.4 FLFACT 3 100.0 200.0
- シナリオ2: フラッター解析が以下のポイントで実行されます:(0.5, 0.3, 100)と(1.0, 0.4, 200)。
$--1---><---2--><---3--><---4--><--5---><--6---><---7--><--8---><---9--> FLUTTER 103 PKNL 1 2 3 L 4 FLFACT 1 0.5 1.0 FLFACT 2 0.3 0.4 FLFACT 3 100.0 200.0
入力
エントリ | 説明 |
---|---|
AERO | 飛行条件を定義します。 |
MKAERO1/MKAERO2 | 空力マトリックスの陽的計算用のマッハ数と換算振動数のペアを指定します。 |
FLFACT | フラッター解析のフラッターパラメータの値(密度比、速度、および換算振動数)を指定します。 |
FLUTTER | フラッター解析の手法(K/KE/PK/PKNL)とパラメータを選択します。このエントリは、FLFACTの定義も参照します。 |
EIGC | K法用の複素固有値手法を選択します。 |
EIGRL/EIGRA |
|
PARAM, VREF | 出力速度をスケーリングするために使用されます:Vout = V/Vref。 |
DMI | 実マトリックスデータブロックを定義します。 |
問題の設定
$ ************************************************************
$ SNIPPET OF AN INPUT FILE FOR AEROELASTIC FLUTTER ANALYSIS
$ ************************************************************
SUBCASE 101
SPC = 101
METHOD = 102
FMETHOD = 103
CMETHOD = 104
BEGIN BULK
$--1---><--2---><--3---><--4---><--5---><--6---><--7---><--8---><--9---><--10-->
EIGRL 1 0.0 100. 4 MASS
EIGC 109
FLUTTER 103 K 1 2 3 L 4
FLFACT 1 0.1
FLFACT 2 .90
FLFACT 3 0.001 0.18 0.26 0.34 0.6
AERO 102890. 2200. .123E-110 0
MKAERO1 0.3 +
+ 0.01000 0.03359 0.06717 0.20152 0.33587 0.47022 0.60456 0.67174
$ other aeroelastic and structural entries
出力
- 固有値(
は、式 1を使用して空気速度(
)と減衰(
を求めるために使用されます。 注: この方程式は、実数成分用と虚数成分用の2つの方程式に分割して、2つの未知数を求めることができます。
- の値が、 が物理的である(実数)場合は、速度、減衰、および周波数の計算値が出力されます。
- の値が、 が物理的でない(複素数)場合は、速度、減衰、および周波数の値の安定性情報のみが出力されます。
- このようなケースでは、
- g < 0
- の場合にシステムが不安定になり、
- g > 0
- の場合にシステムが安定します。
-
の決定値とユーザー指定の換算振動数(
)および基準翼弦長(AEROエントリからのREFC)を組み合わせて、周波数(
)を計算するために使用できます。
(3) 式 3から計算された を使用して、(4) - KE法はフラッターサマリーをモード別に配置するため、減衰の符号が切り替わるタイミングを目視で確認することで、フラッターポイントを簡単に特定できます。
- 周波数(
)と減衰(
)は、式 2を使用した固有値の形式から抽出されます。 注: この方程式は、実数成分用と虚数成分用の2つの方程式に分割して、2つの未知数を求めることができます。
報告される減衰は次のとおりです:
(5) - 実根のみの場合は、減衰が次のようになります:
(6)
.fltファイルをHyperWorksの空力弾性モジュールの“フラッターカーブ”機能に読み込むことによって、外部のポスト処理ツールを使用しなくても、( - )および( - )曲線を簡単に生成することができます。
フラッター解析の出力
- DISPLACEMENT (Modalオプションも使用)
- SDISPLACEMENT - K法、PK法、およびPKNL法の場合にのみ使用可能
手法 | コメント |
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K法 |
|
KE法 |
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PK法 / PKNL法 |
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