OS-T:1370 縮小されたブレーキシステムの複素固有値解析

本チュートリアルでは、単純化されたブレーキシステムのモーダル複素固有値解析が実行され、摩擦の効果が何らかのスキルノイズ(不安定モード)を引き起こすかどうかを見つけ出します。

単純化されたブレーキシステムは、摩擦面とバックプレートを持つブレーキパッド、コンタクトプレートから成っています。それらはすべてソリッド要素でモデル化されています。Figure 1に示すように、法線方向接触力を測定するために、スプリング要素(CELAS1)がコンタクトプレートとブレーキパッドの間に生成されています。コンタクトプレートとパッドの間の摩擦力は、法線方向接触力に比例するものとします。摩擦力と法線方向変位との関係を表す剛性マトリックスの項は、DMIGバルクデータファイルDMIG.pchに保存されています。ブレーキパッドは、プレートと常に接触しているものと仮定します。ブレーキパッドのバックプレートとコンタクトプレートは、地面に拘束されています。

rd2110_model_review
図 1. モデルのレビュー

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したbrake.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

EIGRLおよびEIGCカードの生成

このステップでは、複素固有値問題を解くのにモーダル法が用いられます。これは、複素モードを直接取り出すのと比べてより効率的に計算できます。このアプローチでは、最初に、実モードがノーマルモード解析を通して計算されます。次に、複素固有値問題が実モードに張られた部分空間に投影されて形成されます、そして、これは実空間に比べてずっと小さくなります。このケースでは、EIGRLカードとEIGCカードの両方が定義される必要があります。
  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Collectorを選択します。
  2. Nameにeigrlと入力します。
  3. Colorをクリックし、カラーパレットから色を選択します。
  4. Card Imageに、ドロップダウンメニューからEIGRLを選択します。
  5. NDに20と入力します。
    複素固有値解析のための縮小された空間を作り出すには、20の実モードが必要です。

    os_1370_01
    図 2.
  6. eigcという名称で、もう1つの荷重コレクターを作成します。
  7. Card Imageには、EIGCを選択します。
  8. NORMにMAXを選択します。
    固有ベクトルの正規化にMAXオプションが用いられます。
  9. ND0に12と入力します。
    取り出される根の数の目標は12となります。

摩擦データの取り出しと解析パラメータの定義

  1. Analysisページに入り、control cardsをクリックします。
  2. INCLUDE_BULKをクリックします。
  3. インクルードファイルのnameに、DMIG.pchと入力します。
  4. returnをクリックし、control cardsに戻ります。
  5. K2PPをクリックします。
  6. K2PPパネルで、number_of_k2pps = 1をセットします。
  7. K2PP=の欄にKFと入力します。
    KFはDMIGデータエントリの名前です。
  8. returnをクリックし、control cardsに戻ります。

摩擦係数をDMIG.pchファイルから取り出します。

  1. PARAMをクリックします。
  2. パラメータGの前の小さなボックスにチェックを入れます。
  3. [G_V1]をクリックし、構造減衰係数として、0.2と入力します。
  4. パラメータFRICの前の小さなボックスにチェックを入れます。
  5. [VALUE] をクリックし、0.05と入力します。
    摩擦の倍数0.05はDMIGデータエントリからの摩擦係数の倍数として用いられます。
  6. returnを2回クリックし、Analysisページに戻ります。

モーダル複素固有値解析の荷重ステップの定義

  1. Modelブラウザ内で右クリックし、Create > Load Stepを選択します。
  2. Nameにcomplex_eigenと入力します。
  3. Analysis typeをクリックし、ドロップダウンメニューからComplex eigen (modal)を選択します。
  4. SPCにUnspecified > Loadcolをクリックします。
  5. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからSPCを選択し、OKをクリックします。
  6. CMETHODに、Unspecified > Loadcolをクリックします。
  7. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからeigcを選択し、OKをクリックします。
  8. METHOD(STRUCT)にUnspecified > Loadcolをクリックします。
  9. Select Loadcolダイアログで、荷重コレクターのリストからeigrlを選択し、OKをクリックします。

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 3. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてbrake_complexと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、brake_complex.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、brake_complex.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。

結果の表示

複素固有値解析では構造の複素モードが計算されます。その複素モードの固有値は、brake_complex.outファイルで見ることができます。複素固有ベクトルは、HyperViewで確認できます。
  1. brake_complex.outファイルをテキストエディタに読み込みます。
    複素モードは虚部を含んでおり、それは振動の周波数を、その実部はモードの減衰を表しています。実部が負の場合、そのモードは安定していると言えます。(複素固有値解析では、そのような不安定なモードにはモード番号の横にアスタリスクが表示されます)。実部が正の場合、そのモードは不安定となります。複素モードの固有値を以下に示します:

    rd2110_eigenvalues
    図 4.

    7番目と11番目のモードは不安定であるものの、それ以外のモードはすべて安定していることが見てとれます。

    摩擦係数のパラメータは PARAM,FRIC の係数の値を0.05から0.01にセットし直すことにより減少させることができ、すべての根は安定になります。このことは、安定かどうかのしきい値が摩擦の倍数0.05と0.01の間にあることを示しています。この値は、そのモードの減衰値が0に近づくまで比例倍数PARAM, FRICの値をセットし直してモデルを再実行することにより求めることができます。

  2. Brake_complex.h3dファイルをHyperViewに読み込み、複素固有ベクトルを確認します。